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ひらみの小説集

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SF短編小説:「再会」

「ねえ、また大きくなったかしら?」  佐藤夏樹は視線の先にある満月へ話しかけた。満月は地平線の向こう、東の空へと浮かびあがろうとしている。しかしその大きさは、東の空を埋めつくそうといわんばかりに巨大だった。月の岩質が織りなすうさぎ模様や、クレーターもはっきり見える。かつて地球上に国家が存在していた頃に人々が見上げていた大きさとはまるで違っていた。満月の夜は、月からの光で夜も暗くならない。  大昔、南極大陸は氷で覆われていたという。けれど南極の氷は、夏樹が生まれるもっと前に