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映画・ドラマ・小説の感想

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観たり、読んだりした感想を書きます。
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#小説

還暦を迎えた女性暗殺者たちのミステリー: 「暗殺者たちに口紅を」読書感想

「暗殺者たちに口紅を」 ディアナ・レイバーン (著), 西谷 かおり (翻訳)を読みました。  読みながら、脳内でハリウッド映画を見ているようでした。特に暗殺というミッションをこなす還暦を迎えた女性4人組の描写の部分はスピード感があり、あっという間に読んでしまいました。若くて、暗殺者としては絶頂期というわけではなく、年齢を重ね、無理をすると身体がきつい彼女たち。けれどこれまでの経験から、狙撃名手がいれば、毒薬を使いこなしたり、武器が好きだったりと、自分たちそれぞれの経験と

「ブラックサマーの殺人」読了:一気読みしてしまうミステリー小説第2弾

 M W クレイヴン (著), 東野 さやか (翻訳)の「ブラックサマーの殺人」を読みました。  こちらは、「ストーンサークルの殺人」が1作目だったワシントン・ポーシリーズ2作目です。 「ストーンサークルの殺人」の読書感想はこちら⇩  今回も面白くて、一気読みでした。  6年前にポーが手掛けた殺人事件。三ツ星レストランのカリスマシェフが、娘を殺したとして有罪判決を受けた。しかし6年後、殺されたと思われていた娘が生きて現れた。シェフに対する冤罪疑惑が持ち上がり、ポーは窮

秋の夜長に読むサスペンス推理小説にオススメ!「ストーンサークルの殺人」”ワシントン・ポー”シリーズ、必読の理由

「ストーンサークルの殺人」M W クレイヴン (著), 東野 さやか (翻訳)を読みました!めちゃくちゃ面白かった!文庫本としては600ページ近くあるのですが、とにかく昨日1日で500ページぐらいを一気読みしました。そのくらい読みやすく、終始物語に飽きることがありませんでした。秋の夜長に面白い推理小説を読みたいという方には、かなりおすすめです。この作品はシリーズ化されているということで、2~4作目も買って読みたいと思っています。  この物語の面白かったところは、とにかく主

緻密さとエンタメ性と深淵が交錯する古典ミステリー:『グリーン家殺人事件』レビュー

 作家、中山七里先生がおさえておきたい古典ミステリー10選の中に選ばれた1冊「グリーン家殺人事件」を読んだのでレビューしたいと思う。  ちなみに、おさえておきたい古典ミステリー10選は、「中山七里のミステリーの書き方」(ポッドキャスト)の第一回で紹介されている。  「グリーン家殺人事件」は古典ミステリーとはいえ、読んでいて古臭さを感じさせない一作だった。  物語の舞台は、仲違いしている金持ち家族が住む館。そこで家族が一人ずつ殺されていく連続殺人が起こる。使用人も含めて、全

禁域の山で起こる謎と恐怖のエンタメ体験:バイオ・ホラー小説「ヨモツイクサ」レビュー

 バイオ・ホラー小説「ヨモツイクサ」(知念実希人 著)を読んだ。  フタを開けてみると、これはホラー、ミステリー、サスペンスの要素が融合した一冊だ。それぞれの要素が興奮と好奇心を刺激し続け、読めば読むほどこの物語の世界に引きずりこまれる。ホラーのエンタメ本を探している方にはぴったりの一冊だと思う。  今日はネタバレを避けて、「この小説のここが面白かった!」と感じた五つをご紹介。 kindleで読める無料お試し版もあります↓ ①怪奇現象の鍵を握る人物は誰かの謎  物語の