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『美男におわす』埼玉県立近代美術館

タイトルにひかれて『美男におわす』展へと行ってきました。

このタイトル、与謝野晶子の

かまくらや みほとけなれど 釈迦牟尼は 美男におわす夏木立かな

という句からつけられたそうだ。
この句、めちゃくちゃ良いと思いません?
 この感覚とことばのリズムにグッときます。
"おわす"って古語でもう使われていないけど
響きに品があって、使いたい言葉だなぁと思いました。

美男に、おわす

であると同時に

美男匂わす

にも懸けているのかなと個人的解釈。
美男っていい匂いしそうじゃないですか(笑)
色香ともいいますし。

紫式部だって、源氏物語の宇治十帖で、主人公の美男子二人に薫りをイメージしてますし。

夏木立という言葉に、鎌倉の景色だけではなく、なんとも爽やかな香りが風とともに漂ってくるような気がします。

そんなタイトルと、美男画があってもよいじゃないかというテーマにめちゃくちゃ惹かれて、これは絶対に見に行くぞ!と心に決めました。
できれば前期と後期の両方に行きたかったのですが、諸事情で後期のみに。
しかも、埼玉はちょっと遠い。
だけど、めちゃくちゃ行った甲斐のある展覧会でした。

私は自他共に認める美男子好きです。
美女ではなく、どこまでも美男子が好き。
こう書くとなんだかただの男好きな感じに聞こえるかもしれませんが、セクシャリティな感覚が全くないとは言いませんけど、あくまで男性が持つ造形美が好きなんですよね。

また色々私の好みを書き連ねると、じゃあそこに当てはまらない人は美男子とは言えないのかという人も出てくるかもしれないのですが、それは違うんですよ。
あくまで【私の】なんです。

この展覧会の第5章のテーマが、
『わたしの美男、あなたの美男』
なのですが、このテーマもめちゃくちゃ素敵だなと思います。
美男の定義って自分の中にあればよいと思うんですよね。こうあるべき!みたいな決めつけはよくない。絶対的な美というものはこの世には存在しないと思うし。

「私の美男はこうですけど、あなたの美男はそうなんですね。へぇ!なるほど!」みたいな感じで、お互いの好みなんて独立してればいいんじゃないのかな。
無下に否定する必要もないし、無理に同調しなくてもいい。
色んな人がいるなぁって認め合うことが多様性ってことだと思うんですけど。

そういう多様性のなかにあっても、時代を越えても変わらないものも感じたのも面白かったです。
わたしも好きだし、これを読んでる方にも好きな方が多いのではないかと思うのですけど、モチーフとしての天草四郎、源義経、平敦盛など悲劇の美少年とか。
歌舞伎役者の姿絵は今でいうところのブロマイドですよね。推しの姿を眺めてニヤニヤしちゃうのは、今も昔も変わらないのだなぁと思うと、ニヤニヤします。
あと、美男子と血の組合せとか、美男子と綺麗なお花の組合せとか。
ときめくものはいつの時代も共通してるのだわ。

美術館に行くこと自体が減ってるのですけど…個人的にもう1つの趣味の観劇が何時から始まるという時間に縛られるものであるので、美術館巡りぐらいは時間に縛られずに自由に楽しみたい気持ちが大きく、今の時間指定制度は空いててよい面もあるけど、どうにも気分が乗らずに行くことをためらってしまう。
美術品もやはり生で見ると感じるものが全然違うなと実感した日でもあった。
事前にこの展覧会のニュース記事やどんな作品があるのかのチェックをしていたのですが、その際にまったくグッとこなかった作品が、実物を見ると一番グッときた作品になったのだ。

金巻芳俊さんの『空刻 メメント・モリ』という木像作品なのだが、実際に目にした瞬間に、血が滾るような感動を覚えた。
綺麗なものや素晴らしいものを目にしたとき、まさに"滾る"という感覚に包まれることがあるんですよね。
芸術に触れたときに感じるものを言語化する修行をしたくてnoteを始めた部分があって
まだまだ下手くそなのですけど…。
この作品をみた瞬間に、よくわからないけれども、毛穴から入ってくる感覚のようなものを感じました(自分でも意味わからん)
死の象徴である骸骨を被っている姿なのですが、色んな取り方はあると思うのですが、私は「死を自分の中に取り込もうとしている」ように見えました。

彫刻の面白いところは360°どこからでもみられるとこなんですけど、この作品は背後から見るのがものすごく好き。

写真が下手くそすぎてわかりにくいかもしれませんが、背骨や骨盤の形の美しさ!
たまりません~。
実物を見るとちゃんと木を彫ってるのがわかります。

そして、この血管の浮き出ている足!

彫刻作品の血管の表現や筋肉の隆起の表現が細かいものが、私のドストライク大好き作品です。
もう、めちゃくちゃガン見しました。

出口までたどり着いて、いや、やはりもう一度見ておこうと思って、引き返しました。

行こうかどうか迷っている方がいましたら、是非に実物を見てほしい。
私はこの作品が気に入ったけど、きっとあなたのお気に入り作品に出会えるはずです。

また、生で見る醍醐味というのはこういうことだなと思ったのが、別室にあった印象派のシニャックの点描をみたときに、近くで見るのと離れてみるのとでは違ってみえるのを実感できること。
近くでみると点が少しずつ離れていくと面になる。どの段階で、点と面の認識変わるのかなぁと試してみたり。
天気も悪かったからか他に人がいなくて、思う存分場所を移動して見ることができたのが、お得でした。
ワガママだけど、美術館は空いててほしい(笑)

全般を通して、あらためて、私の美男にとはどういう人だろうかとも考え直すきっかけにもなりました。

私はやはり男性の体型が好きなんですよね。
だからギリシャの石像とか見るのが大好きなんですけど。
あんまりマッチョ過ぎるのは好きじゃなく、細マッチョな体型。背も高いほうが好きだし。
あと綺麗な手が必須。
肩幅は広めな人が好きだし、背中に一筋あるのが好きだし。
喉仏が割りと目立つのが好きだし、鎖骨にくっきりくぼみのある体型好きだし。
骨格大事だわ~なんて思ったんですよね。

今回、日本画も多かったので、こういう"うりざね顔"好きなんだよね、とも思ったのですが、うりざね顔って下ぶくれ顔ではないですよ。
やや面長で、色白で、中高(鼻筋が通っているの意)なのが、うりざね顔です。

で、ふと、思ったのです、それまんま推しやん!(笑)
前にも書きましたが、やはり「顔が好きで何が悪い」ってくらいに、顔が好きなんだわ~。

推し愛も再認識できる『美男におわす』展。

美男子好きには損がない、本当にめちゃくちゃ楽しかったです。


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