本と日記(3/12〜4/1)

読んだ本

『なぜ人間は泳ぐのか? 水泳をめぐる歴史で現在、未来』リン・シェール著 高月園子訳

読んだ理由

逆に7読んでないなと思って、7の棚に向かった。NDCの7といえば芸術で、絵画、デザイン、彫刻、音楽、演劇、映画、エトセトラ、世で芸術と言われているものはだいたいここに並べられている上に、スポーツ、茶道、遊びのようなものまで入ってくる。『芸術』の範囲を『人間を人間たらしめる文化的な活動』までに広げているような趣きがある。
冒頭に「逆に」と書いたのは、私が興味のままに本を選んでしまえば芸術系の本に偏ってしまいかねず、色んなジャンルを読もうとする際に意識して除外してしまっていたから。けど、そう言えばあんまり読んでないジャンルがあるな〜と思った。スポーツである。ずっと体育が苦手で、小2の逆上がりの時点で躓いている。特に苦手なのが水泳。浮いたりはギリできるけど進み方が分からない。高校を選んだ理由として「プールがなかったから」と言うくらいには水泳が苦手(本当はもっといろいろ志望理由はあるけど)。そんな折にこの本である。むしろこんな本は読みたいじゃないですか!って思って手に取った。

感想とか日記

また書くのに1週間かけてる……1週間かけてる訳じゃなく書く時間を捻出するのが面倒くさくなってなあなあに過ごし、いや流石に書かんとみたいな気持ちになるのがちょうど1週間くらい。おぼろげな記憶で書いています。固有名詞とかほとんど忘れている…

本の飾り罫が可愛い。これだけでとても嬉しかった。

ノンブルの上の飾り罫

ノンブルの上に波を模した罫線と泳ぐ女性のイラストが描かれており、上記の画像は10ページなんですが、パラパラ漫画的な要領で女性のイラストが進んでいく。動画のシークバーみたいだ!と思った。

多分これは、本書の稿と同時に描かれていく、著者のヘレスポントスの海峡横断ルポの進行とを重ねているのだと思われる。ヘレスポントスはヨーロッパとアジアを跨ぐ海峡で、伝説上にも世界史上にも様々な逸話が残っていて、さらにそんな海峡を横断したいと試みる水泳好きは今も昔もかなり多いらしい。なんなら野外を長距離水泳するアクティビティというの自体が今アツいっぽい。

全体的にルポとして読みやすくて面白かったんだけど、自分側に経験値がなさすぎる!!となった。
そら泳げないやつが泳法の進化の歴史を読んでも……みたいな。どういうストロークなのかみたいなすごく詳細に書いてくれていたんだけど、文字と体の動きが頭の中で結びつかなくて、まあ、これが自分が泳ぐのが(というより、運動全般が)苦手な理由なのかな〜と思った。高校までの体育の授業でも「重心を下に落として」とか「手首だけじゃなく腕全体を使って」とか言われても、言われたとおりに身体が動かないし、多分そもそもとしてどう身体を動かすのかがピンと来ていない感じ。
あ、でも水泳がどのように社会に存在したか?とか水着の歴史とかはとても興味深く読めた。
記録を出すための、まるでモータースポーツの自動車の改良の歴史のように語られるオリンピックでの競技用水着に話とか(改良の結果、大会の服装規定が厳しくなったという結末を迎えてしまったようだけれど)、服飾史として海水浴に来る人々の水着についてとか、特に変化が大きかったのが女性用水着らしく、100年くらい前まではほとんどドレスと変わらない服装で泳ぐというより水遊び用みたいな感じのものが、肌の露出が受け入れられるようになってきて、戦後には大胆に肌を露出したビキニスタイルが登場する。こういう既存の価値観を壊す闘いみたいな歴史が好きなのかも。

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