私が取材を受けるわけ
私は仙台市沿岸部の個人農家です。震災後にボランティア活動をきっかけに、地域外出身ですが就農しました。
毎年、3月が近づくと特に震災の特集が多くなります。今年は10年目にはいる節目?だからか特別多い感じはしますね。各報道機関の方々の「震災からの歩みを届けたい」という意思を感じます。
※メディア批判では無いので、そういうのは期待しないでくださいませ。
私は、大した取り柄や売り上げもない弱小個人農家ですが、取材を受ける機会が年間10件ほどはあるので、比較的多い方ではないかと思います。媒体は新聞、テレビ、ラジオ、広報誌、ネットメディアなど様々です。
人前で話すのも得意じゃないし、地域の周りの方から見て、悪目立ちするのも避けたいのですが、
基本的に、取材の依頼が来た時は断らないようにしています(番組やコーナーなど取材の意図に賛同できない時は断っています)。
正直、個人の零細事業主として、たとえ1時間取るのも一苦労ですし、よく勘違いされがちですが謝礼の様なものは発生しません。報道に出たからと言って、売り上げが上がったり、お客さんがお店に殺到して大変!なんてことも起きません(笑)
直接、自分の利益にならないとしても、私が、取材をできる限りお受けしている理由は、私という存在が、東日本大震災からの復興を伝える一つの題材になると感じているからです。
仙台の平松農園、平松希望という人間を知ってもらいたいというよりも、一つの題材として、震災や農業の取り巻く環境を伝えていきたいと思っています。
メディアの伝える力
私はメディアの伝える力の大切さを実感した事がふたつあります。
ひとつめ
震災の時、私は仙台市青葉区にいました。停電し、見慣れぬ街で情報がどこにあるか分からず、不安でしかたなかったです。翌日、新聞社の前に張り出されていた紙面を見て、息を呑みました。その時、はじめて津波の被害の大きさを知ったからです。こんなことが起きているなんて、、、と無感情に受け止める他ありませんでした。停電でテレビも見れない、ネットも見れない中で新聞社の力を感じました。
取材、編集し紙面にした新聞社の方々はどれほど大変だったでしょう。発信が無ければ、知ることも出来ませんでした。
2つ目
大学に入学後、社会福祉協議会のボランティアセンターは閉鎖していたため、民間ボランティアセンターを立ち上げるスタッフとして関わっていました。
資金も発信力もない、市民と学生の集まりです。
チラシを作って、あちこちに置いたり、HPで発信していましたが、なかなか人が集まりません。ですが、そのうち、地元テレビ局や新聞社やラジオ局で取り上げて頂くようになり、それを聞いた人が参加。参加した人が口コミで広げてくださる。そんな繋がりで、7月の最初は1日に1人だったボランティアの方が、ついに1日100人を超えるようになりました。
少しでも早く生活の再建や、産業の再建をめざす、被災した地域にとって、沢山の方々が来てくださることは本当にありがたかったです。
他にも、ネット上のボランティア情報を周知するページなど含め、様々な形で発信をしていただきました。そのようにメディアとして載せて頂かなければ、小さなボランティア団体にあれ程早い段階から人が来ることはなかったでしょう。。
いま、伝えたいこと
東日本大震災で被災した地域や産業は、前と同じ形には戻れなくても、前を向いて取り組んでいます。いつになっても終わりのない復興だと思います。
地域の農家や、住民の方々が、取材を受けるのは様々な制約があります。正直、取材に対し不快な思いをした方もいらっしゃいますし、無理強い出来ることではありません。
いま、私に出来ること
地域の現状や地道に前向きに歩いていること、あと、地域や人の温かさ・魅力を、伝えていきたいと思っています。
全国から駆けつけてくださったボランティアの方々、移転先に引っ越した地域の方々、にも可能ならお伝えしていきたいとおもっています。
私が何か題材になるのであれば、出来る限り応じていきたいと思い、これまでやってきました。もちろん、メディアをとおしてだけではなく、自身のSNSを通じてもです。
そして、自分自身気を付けていることがあります。
・地域は、多くの方の想いがある場所です。生活を送る場所でもあります。家や人など許可がないものは絶対に映さない。撮影の時なども、周りに迷惑をかけない。
・私だけではなくて、ほかの地域の取り組みについて織り込んで取材できないか打診しています。(これは、掲載の枠が決まっていることや、焦点を絞って視聴者に届けやすくするために、かなり制限があります)
・正しい情報を伝えるために、私も、地域のことや農業のことを色んな場で学んで情報を更新して行かなければと思います。
・正直、一番伝えたいのは地域の魅力!!私ももっともっとこの場所のことを知って、もっと伝えていけるようになれたらと思います。
・また、ボランティアに来てくださった方への感謝とか、地域の方や農家の方の支えがあって私が農業をできていることとか、感謝を伝えていけたらと思います。
取材してくださる方にも、映してはダメなところ、話したくないところ、表現を変えて欲しいところ、など話しています。面倒とは思うのですが、適宜対応していただいていてありがたいです。
まぁ、私の話はいつもあちこちに飛んでいくので、全部は載ることはなくて、コンパクトに分かりやすく仕上がるのですが…!!
またこいつか😑と思われるのは重々承知ですが、生温かく見守っていただけたら嬉しいです。実は、我ながら、また私か🤔そうか🤔と思っていて、出来るだけ新しい話を入れるように気を付けています。
情報は消費されるものです。
いずれ私ではなく、ホットでヤングな(古い🙄)方々にバトンタッチしていくことになるので、それまでもうしばらくお付き合いくださいませ。
おしまい。
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