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荘子とミニマリズム

荘子の解説本を読了.

荘子は儒教文化圏に息苦しさを感じる人たちの実用書だと思う.本書は歴史的背景から概観し,内篇,外篇,雑篇等もダイジェストに読むことで荘子の思想をスムーズにインストールできる良書.混乱と無秩序を超えて混沌へ.

「ミニマリズム」というのは最近の流行りで,モノにせよ人間関係にせよあんまり持たない,いわば「足るを知る」思想.もちろん意図するところは違うんだけど,荘子のダイジェストを読みながらミニマリズムとの共通点を感じた.道枢にたどり着いたら是と非是も彼と此も一なり.

無為自然に分類(!)される荘子は,「赤子に帰れ」と一言で纏められ,儒教の理想主義を批判しつつもそれなお実用的でない理想主義と批判に遭うが,これは全体に対する啓蒙思想ではないと思うんだよね.でも諦念の思想っていうのはあたっている気がしていて,外が変わらないから俺たちの心を変えてカオスを愛そうぜみたいな.「規範として立てられた札は社会の混乱と無秩序の首まり」と書き孔子を人間から遠ざける戯曲を書くロックさを無視するわけではないけれど.

結局,至人とは崩れることのない己の心を拠り所として人生に処していくから悲しみと楽しみとによって自己を変え移されることがないから,周りをどうこうする必要がないし,モノも人間関係も何もいらないらしい.

世俗と離れモノを手放し外的要因に作用されない自己を作り上げる思想は,ミニマリズムと似ていると思った話でした.






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