見出し画像

社会保障費の問題

社会保障費の問題について整理してみた。

日本の社会保障制度は1960~70年代の東西冷戦下、社会主義側への対抗策として推し進められ骨格が築かれた。結果的に社会主義側の思想の一部が日本で受け入れられ今日まで継続している。「対立や衝突」が「安定や安心」をもたらしたのは少し面白い。

以下、本題です。


社会保障とは

社会保障制度は国民の「安定」や「安心」を支えるセーフティーネットで全ての人々の生活を生涯にわたって支える制度です。

①社会保険(年金・医療・介護)

医療や介護保険や年金制度など生活に困難をもたらすトラブルに遭遇した場合に一定の給付を行うもの
②社会福祉
障がい者などのハンディキャップのある方へ支援を行うもの
③公的扶助
生活保護など最低限の生活を保障し自立を助けるもの
④保健医療・公衆衛生
疾病予防を目的とした保健事業や、食品や医薬品の安全性を確保する公衆衛生を整えるもの


社会保障費はどれくらい

国民は134.3兆円の社会保障給付(以下、給付費)を受ける。本来であれば給付費の全てを我々の保険料で負担しなければならないが、53.2兆円(40.7%)は公費で賄われている。
公費のうち、国(政府)が負担する36.7兆円(28.1%)が社会保障費と言われている。

https://www.mhlw.go.jp/content/12600000/001094426.pdf

社会保障費の問題

社会保障費の財源は我々の税金と国債発行により賄われる。今は何とかなっている?ので大丈夫と思いたいが大きな問題が2つある。

①社会保障給付費はまだまだ上がる

給付費は高齢化により増加する年金(60.1兆円)・医療(41.6兆円)・介護(13.5兆円)で85%を占めており、団塊Jr.が65歳を超える2040年まで増え続けると予想されている。因みに2040年の予想給付費は188〜190兆円であり、団塊Jr.が定年することで保険料も激減する。

https://www.mhlw.go.jp/content/12600000/001094429.pdf
https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/000474989.pdf

②今もこれからも国債依存

国の財源のうち30%が国債発行により賄われる。給付費が増えれば社会保障費も増え、税金か国債を増やして財源を確保する必要がある。
増税は政治不信や経済停滞などの短期的なデメリットが大きい一方で、国債は短期的な副作用なく増やすことができ、今はそれに頼らざるを得ない。

https://www.mof.go.jp/zaisei/financial-structure/financial-structure-01.html
https://www.mof.go.jp/zaisei/financial-situation/financial-situation-01.html

全世代型社会保障

国は持続可能な制度設計への改革を検討・実行している。改革を通じて政府が各方面(国民、製薬企業、医療機関等々)に負担増をお願いする形になる。政府は社会保障制度の機能を維持しつつ、国民や経済界の支持を得つつ、選挙に勝たなければならないという難しい立場だ。

https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/special/reform/wg1/20230428/shiryou2.pdf

最後に

私は保険料を財源とした仕組みが随分と前から成り立っていないことを知らなかった。「ダムの貯水量が少ないので節水しましょう」というニュースは直観的に理解できるが、「社会保障費がどうたらこうたら」は入ってこない。
「保険料の増加」「医療や介護の自己負担額の増加」「消費税、所得税の増加」と今後も国民の負担は増えていく。
我々の生活において必要不可欠な社会保障制度が危機的な状態なことを国民が理解して、一人ひとりが何をすれば良いのかを国は積極的に発信した方がいいと思う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?