【個人的な補足】Covid-19の影響下に おける方言研究のあり方を模索するWS 第二弾

九大の下地さん(下地ゼミ)主催のWS,第二弾。昨年5月の第一弾に続いて,私が関わった卒論研究の事例紹介をしました。相変わらず強調したのは「仮説とその検証が大事」ということだけで,なんか半ば,精神論に近いところもあって,自分で発表してても,実践的じゃないなぁと思いながら話していました。まぁ私の前のお二人,さらに私の後のお二人,そして,学生さんたちの発表で,その点は補われたものと思います。


今日の発表で最後言えなかったことが2つ。

1つはTwitterにもチラッと書きましたが,この状況下で最後までやり遂げた学生さんたちへの敬意。これは,私のゼミ生にだけではなく,この状況下で,いろいろな困難を乗り越えた全ての人たちに,と思います。

もう1つは,自分の研究の来年度からのことです。以下は「つけたり」のスライド。

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1つ目のポイントは,言い訳です。本当に調査研究はできなかったんですよね。成果公表に力を入れたと言えば,聞こえはいいかもしれませんけど,結局書いたのは2本。調査データの整理もまだまだです。

2つ目のポイントが,次年度以降につながる話です。オンライン調査を前提にした計画で民間の研究助成や学内の研究助成に応募したり,新規に応募した科研費課題も少なくとも来年度いっぱいは現地調査ができないことを前提にした計画を立てたりしてます。

具体的には,とりあえず,旅費の代わりにレコーダーなどの購入費を申請してます。それらを話者の方にお送りして,オンライン調査をしようという計画を立てています。科研費課題の方は,1年目は文献日本語史的な研究をしつつ,2年目以降に使う調査票の整備をすることにしています。

そして,一番大事にしているのが,オンライン調査やその後のことを見越して,話者と交流を継続していること。

ラポールの話があったけど,これまでの蓄積がある程度ある我々(プロの研究者)としては,今まで築いてきたそれを保って行くことが,まずは大事なことだと思います。

そうじゃない人たちのことを考えなければいけないのだけど,これは,小西さんがおっしゃっていた通り,case-by-caseだと思うので,そこは全力で自分のコミュニケーション能力を発揮しなければいけないし,また,指導教員はそれを全力でサポートしなければいけないと思います。この分野の未来のためにも。


下地さんが,研究の複線化の話を上げていましたが,我が意を得たり,という感じでした。5月のWSで大学院生の皆さん向けに「研究人生の中のプランBを」というような話を少ししたと思いますが,そこにもつながる話だと思って聞いていました。大学陸上部時代の先輩が,中距離を専門にしながら,400mハードルもやってたんですけど,先輩曰く,中距離でうまくいかなかった時でも,400mHでうまくいってると,精神衛生上良い。その逆もある。どっちも悪い時も,たまにはあるけど,どっちかだけだったら,精神的に辛いばっかりだ,ということでした。研究を複線化するのは,それと似ているのかもしれません。

私の場合は,元から文献資料を使った日本語史的研究に多少足を突っ込んでいたこともあり,また,そうしたことが好きなこともあり,そして何より,先生から「方言も文献もやってこそだ」と言われて,常に複線的に研究を進めたいと思っています。ただ,私は,どっちもうまく行っていないと凹んでしまって,どっちかだけではダメだ!となってしまうんですけども。


そういうわけで,今年度の主なお仕事は今日の発表で終わりとなりました。次回は,今年度のまとめでも書こうと思います。