J.イエレンが財務長官になる意味

(論説レベル☆☆)

1月に始動するアメリカの新しい政権の財務長官として、バイデン新大統領は元FRB議長のイエレン氏に就任してもらう予定と表明しました。この人選は単なる「大物の起用」ではないでしょう。この文章を読んでくれている皆様には、筆者のイメージをシェアさせて頂こうと思います。

イメージの結論から書きますと、この人事を加え、チームバイデンのこれからの4年間における経済運営は、これまでの経験や常識通りでない、米国人にとって明るいものにされていくだろう、です。株式市場は想像(というか期待)を絶する上昇となり、そのおかげで米国人の年金を含む個人資産が潤い、住宅を買ったり消費を増やしたりという意欲が増し、米国の経済(指数)が繁栄していくイメージです。筆者は更に運用金額を増やすことに致しました。

拓トラストのHPに8月21日に掲載したレポート「パンデミックがもたらした勝ちと負け(https://hiraki-forum.jp/report/894/)」では、中央銀行と呼ばれる機関の積極的な融通なしではコロナ対策どころか、各国の通常予算さえ首尾よくいかなくなっているという邪推を、そして中央銀行こそが「すべてに近いほど」各国の経済運営のレバーを握っているように見えるという見方を書きました。ただしとても控えめに。大げさに書くと陰謀論に見えてしまうからでした。そこに記したことに加えますと、実際、米国のコロナ経済対策が練られた春にFRBにおいて中小企業の倒産防止ファンディングプログラムが加えられたのですが、それをパウエルFRB議長に提案したのは、前の前のFRB議長ベン・バーナンキと前議長のジャネット・イエレンだったという事実があります。現在までのパウエルFRBの金融政策立案・実行力、そして積極性に加え、それを支えてきた前議長イエレン財務長官が財政政策を司る、コロナ禍という歴史にない情勢の中でのこの組み合わせがどのくらいのマグニチュードになるのか、20年後の経済学者の論評が楽しみになってきます。

一般に言われているイエレン氏の風評、例えば庶民派だとか所得分配論者である等に関する論評はここでは致しません。クリントン政権での大統領経済諮問委員会長、FRB議長であったそれぞれの当時に共に働いた方々の評価が、氏の課題に対する理解力や解決力に関して大変高いものであることは複数の元当事者から生でも聞きました。対峙する両院議会等との調整能力、ひいては共和党からの評価が高いことも74歳の年齢に対する懸念をオフセットする前向きな要因であると言われています。

それ以上にここに残す現時点での筆者の見方は、米国経済の資金量(前代未聞の額になるであろうマネーストック)をパウエルFRB議長が司り、コロナ禍、再開期、回復期にそれぞれ有効な財政政策をイエレン氏が惜しまずに打ち続け(財政悪化懸念議論は主流にならないと筆者は見ている)、更にリーマン危機から結局効率的に復興させた(+ふたりの仲良しであろう)バーナンキ氏がその裏に付いているというトリオのパワーの甚大さです。このチームをしばらくの間、米国の「経済省」とみなして世の中を俯瞰していこうと思っております。


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