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此島正年『青森県の方言』

今の私の内省だと「こう」なのに、60年前の時点で「まだこの段階」なのか!という形式もあったりして面白かった。
(推量の意を表す形式として「ビョン」が挙げられますが、本書では「ベオン」の段階であることが伺えたり)

あとは「もうないなぁ」なんて形式も。
(上記の「オン」に関連して)「ジオン」という形式はこれまで生きてきた中で聞いたことが無かった…

そして、本書を通して、当時は今以上に共通語教育に比重が置かれていたのだと感じました。

これまでは方言母語話者に対する共通語教育にあまり前向きな姿勢ではなかったのですが
当時は、共通語を話せないことでかなりの不利益を被っていたのかなぁと…

私はアクセントやイントネーションのみを保持している世代なので、
被った不利益と言えば
うまく聞き取ってもらえず何度も聞き返されたり、
すれ違いざまに「訛ってる(笑)」と言われるくらいで。
基本的には「自分の方言が好きだ」のスタンスでいますが…

実際に当時を生きた世代ではないので全て想像に過ぎませんが、
本書を読む限り、当時の共通語教育への姿勢は
現在の日本語教育と同じような
「生きるための言語教育」という雰囲気を感じました。

ちなみに、現在の学校教育でも「訛るんじゃない」と児童に指導する先生がいらっしゃる噂は聞いたことがありますが
若年層はメディアの影響で、基本的に共通語と方言のバイリンガルである方が多い印象があるので
この先生はどういう意図で指導されているのか気になるところ…

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