2-13 青年が憧れる、骨太の政党でいてくれ

チェ かつて外務省のラスプーチンと呼ばれた佐藤優氏。今やすっかり親学会派のジャーナリストです。彼は著作〈創価学会を語る〉の中で、「結党50年を迎えた公明党の次なる50年の課題は、首班政権の樹立」だと明言していますが、私は、今の公明党の軌道上には、首班政権の樹立は無いと思っています。
 自民党は簡単に公明党との連立を容易に解除はできないでしょう。その意味では政権のキャスティングボードを握っていると言うことも可能です。同時に、キャスティングボードを握るだけの議席数を確保するには、自民党からの選挙協力が不可欠となっています。これは、総県以上の学会幹部数人から聞きました。つまり自民党が政権を握り続けるためには公明党の存在が必要ですが、公明党が連立に足るパートナーであり続けるには、自民党の助力が必要なのです。

博士 アメリカとの同盟関係を維持するための日本の姿勢と似通っていますね。
 コロナ禍における「特別給付金10万円」などは、山口代表の鶴の一声で決まった印象でしたが。

チェ あれは素晴らしかったですね。胸のすく思いでした。多くの学会員が、「やっと公明党がバシッと言ってくれた」と快哉を叫びました。ただその後は、存在感を示すことが少なく、物足りなさを感じているのも事実です。

博士 「今の軌道に乗っていては首班政権はとれない」とするならば、どうすれば首班政権をとれるとお考えですか。

チェ もう一度、野党に戻ることです。

博士 いったん遠ざかった方が、近くなる、と。

チェ 正確には、野党に戻ることも辞さない姿勢ですね。公明党の強さは、シンプルで後ろ暗さが無いところでした。かつて自民党に対して一歩も引かずに言うべきことを言っていた公明党は、いま自民党をかばうために言うべきことを言えなくなっています。いまの公明党に、青年は憧れません。

博士 確かに、党は躍進したはずなのに、立場は弱くなっているように感じます。
 しかし野に下るのも辞さずというのは、いささか簡単に考えすぎではないでしょうか。気迫と信念だけで政治が動かせるならば、他の党もそのスタンスを選ぶでしょうから。

チェ 野党のときに、政権に対して文句を言うのは簡単です。それが仕事ですから。与党から野に下る選択を出来るのは公明党をおいて他にありません。理由は二つです。ひとつは創価学会という、これ以上ない規模での支持団体を持っていること。もうひとつは支援者がほしいのは利権ではなく、本当に世の中をよくした実感であることです。日本最大の組織票が躍動するには、肩身の狭い与党でいることよりも、信念を貫く政党であることが大切なんです。
 公明党は政権運営の実力を持つ党として、もう一度アイデンティティを構築し直す段階にあります。当然、今すぐに連立を解消しろと言うのではありません。今してもらいたいのは、学会員に説明できない政策を無くすことです。そして「大衆とともに語り、大衆とともに戦い、大衆の中に死んでいく」との結党精神に基づいた振る舞いを、与党内でしていくことです。

博士 骨太の政党でいろ、と。

チェ 学会員に限らず、世の心ある青年が憧れるような党にならなければ、政権政党への道はありません。青年が憧れるのは必死に体面を保つ党ではなく、信念を貫ける党です。
 野に下ってそれを実行すれば、然るべきタイミングで与党に戻るでしょう。大切なのは、野党に戻ることではなく、野党と与党を自在に行き来できる信念と力をつけることです。

博士 野党にいても、与党にいても、大衆のために政治を動かす力を持った党になることですね。公明党は〈実現力〉をウリにしていますが、重要な法案では自民になびいているように感じてます。もっとも、公明党が強くあるためには、学会員がどこまで得票できるかという問題がありますが。

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