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2-14 「公明党はもう要らない」と言う人たちへ

博士 いま公明党が抱えているのは、与党にいるからこその悩みですね。安保法制は公明党にとってもギリギリの選択、苦渋の決断だったと思います。「名を汚(けが)して実(じつ)を取った」との見方もできるのではないでしょうか。
 集団的自衛権の行使には〈国家の存立危機事態〉という縛りが付けられていますが、これも解釈のしようによっては「石油が日本に送られなくなれば、国家の存立が危機に瀕する」として自衛隊が中東に送られることもありえます。
 安保法制の国会質問で山口代表は「ホルムズ海峡の機雷撤去は現状では集団的自衛権の、範疇ではない」(15年9月15日 要旨)との答弁を安倍首相から引き出しました。この線引きが、公明党の意地であったと思います。
チェ 重要な答弁でした。この点、学会員への理解が浸透していないようにも思えます。閣議決定による憲法解釈変更で「自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力をもって阻止する権利」イコール集団的自衛権の行使が容認された。国民投票による改憲を経てではなく、閣議で実質的な改憲と同じくらいの変更ができてしまう事実。ここに公明党が存在していなければ、さらにユルい条件で自衛隊が出動できてしまう国になっていたかもしれません。タラレバ論になりますが、名を汚して実を取ったとも言えることは確かです。
 私の中でも二つの意見がせめぎ合っています。先生の教えに背いてはならない。かといって「実を取るから」と何でもアリになってもいけない。このバランス感覚を、学会員ひとり一人が意識することが、これからの価値創造であると考えます。

博士 先出の天野達志氏は「#もういらないだろ公明党」のハッシュタグで公明党不要論を掲げています。また野原善正氏は「自民党は、もうアウト! 公明党も学会も死に体で崩壊寸前! (中略)いよいよ社民党の出番」と主張(両方ともツィッターより)しています。チェ・ゲバラ似の男さんの考えはいかがですか。

チェ 私もいろいろ言っているし、彼らの主張を抜粋して論じてはいますが、同意見ではないんです。公明党にも学会にも、これから重要な役割があると考えています。

博士 公明党が今後果たす、重要な役割とは何でしょうか。

チェ 先に言っておくと天野さん、野原さん、元職員三名をはじめ、学会を内部から批判している人の気持ちは痛いほど分かります。池田先生の指導と公明党の主張の矛盾点、学会本部で起こっている理不尽な状況、これを知るにつけ、池田先生をないがしろにして、会員を丸め込んでいるのではないかと怒りが湧いてきます。しかし、そこで「もう公明党いらない」とか「学会は死に体」と言ってしまうのは、会員の側に立っているようでいて、ちょっと違うと思ってしまうんですね。
 池田先生の弟子であるならば、怒りに身を任せて再生のための破壊をするよりも、もっと対話ベースでの切り拓き方を求めたいと思うんです。もちろん、学会や公明党が対話に応じないから、彼らは「もういらない」との声を上げるんですが、私は対話するべき方向は、上ではなく下あるいはヨコ、つまり本部や幹部でなく〈草の根の同志〉だと思っています。
 学会・公明党ともに、官僚化していることは明確です。幹部や職員への取材からも、それは明らかです。しかし、だからといって不要ではありません。野原さんは「池田先生が公明党の前身である政治結社を立ち上げたとき、公明党が平和福祉を忘れて国民をいじめた時には遠慮もいらない潰してしまえと言った」と主張し「公明党を潰す」と演説しています。安保法制は先生の思想に沿っていないかもしれない。基地問題で苦しんできた沖縄の人からすればなおさらでしょう。ただ、それと同じくらい公明党を潰そうというのも、先生の思想には沿っていないと考えています。
 なぜなら、先生は「もう公明党いらない」とは言われないと思うからです。もし要らないなら、先生がもっと早い段階で、表舞台におられるうちに言われていたのではないでしょうか。ちなみに先生は「本部執行部は何もしていない」と表舞台にいるうちに何度も言われていますが、これについてはまた別に語ります。
 一貫して言っている、「今こそ学会員が変わる時」というのが、ここなんです。

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