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これからのビアンキュイをどうしていくか

最近、これからのビアンキュイをどう発展させていこうかと考える時間が増えてきました。

今までビアンキュイを運営してきて目指してきたことは、「シェフが認めるようなパンを作れるになる」ことです。「パン教室」とは名乗ってきましたが、本心では「うちはパン教室ではなくてパン学校だ!」という気持ちでいましたし、講師をお願いするシェフにもそのように伝えてきました。

「学校」と名乗るのは「成長できる」という価値観を第一に置いているからです。


「成長できる」ということをもっとも具現化しているのがレッスンカリキュラムで、ビアンキュイは基本的に長期的なレッスン参加を前提としていて、毎年2月ぐらいに翌年3月までのレッスンカリキュラムを公表しています。

そして基本的には年間申し込み、短くても3か月単位の申し込みしか受け付けていません。

単発レッスンのコースを作ってほしいという要望はそれはもう何100回も受けてきましたが、特別なレッスンを除いて、お受けしたことはありませんしこれからもそうだと思います。申し訳ありません。

理由は「学校」だからです。「成長できる」ために必要だからです。単発レッスン1回受講してそれで楽しい思いはできても「成長できる」のは難しいと考えているからなんです。

「成長できる」ようになるための工夫はカリキュラム以外にいくつかあり、その中のひとつが修了証のシステムです。詳しい仕組みはここでは記載しませんが、一番のポイントは、アドヴァンスとマスターの修了証検定はかなりの確率で落第するというところです。
※修了証についてご興味のある方は以下のページをご覧ください
https://biencuit.jp/certificate/index.html

いわゆる私的な「資格」は、まず落ちることは少ないと思います。テキストをきちんと読んで、必要なレッスンを受講すれば90%以上の確率で受かるところが多いのではないでしょうか。

それがビアンキュイでは合格率が50%を切る年がざらにあります。

過去を観ても合格率が90%を超えた年は無いと思います。もちろんわざと落としているわけではなく、ただシェフが本気で採点しているからです。最初のころは「まさか落とされるとは思わなかった」と半分怒ったように言われることもありました。

何度か挑戦を繰り返すうちに諦めてしまう会員さんもいらっしゃいます。私はそれが残念なことだとか、恥ずかしいことだとは思いません。本当に厳しい基準でシェフが採点していることを知っているからです。もちろんそれも私からお願いしていることです。

月1レッスンの限界

成長できる」ためのシステムとして有効に機能した修了証制度でしたが、それでもまだ十分ではありませんでした。

どうしてもある程度のところで壁に当たってしまう生徒さんがほとんどで、その壁を超えることができずにいるのがシェフの眼から見ても明らかな状況が続きました。

「学校」という意識で運営していても、月に1回のレッスンでは限界がありました。また、人によって技術や理解のムラがバラバラなところも頭の痛い点で、シェフが一方的に教えるシステムではそこをもれなくカバーすることができません。

何より、シェフの眼から見ると不十分にもかかわらず、自分では「出来てる」と思い込んでるポイントが多く、どうしても個別に指導する必要がありそうです。

この問題をシェフとなんども話し合った結果生まれたのがビアンキュイカルテです。

ビアンキュイカルテが成長を促す

検定や自主練で持ってきたパンを見て、シェフがずっと思っていた「何が原因なんだろう?」を明確にするために、毎月宿題をだしてパンを提出、そして画期的なのはこね上げから窯入れまでの生地の扱いをスマホで撮影してデータを事前に集めてシェフが個別診断をするシステムです。

これは毎月のことなので生徒さんも負担が大きいのですが、運営側の負担もめちゃめちゃ大きくなります。スマホでうまく撮影するコツや簡単にそのデータをアップロードできる仕組みを構築して、それでも上手く操作できない方には個別で連絡を取りながらスマホの操作をアドバイスして全員のデータを集めます。

そのデータを整理して、送られてきたパンと一緒にデータをシェフに個別診断していただきます。診断結果を各自のカルテに記載してレッスン当日を迎えます。

レッスンの当日は、今まで休憩時間だったところを個別診断のフィードバックタイムとして確保して、順番に一人づつシェフからカルテをベースに「出来ているところ」と「出来ていないところ」の指導を受けます。一人当たりの時間はたっぷりとは取れませんが、データという材料があって事前に整理もできているので、改善しなければいけないポイントは明確になります。

ほとんどの人が、「自分はココはできている」と思っていたところに多くの問題があり、それをシェフが個別に指導していくのです。

これは劇的な効果を生みました。

成長プラス楽しさ

直すべきところがはっきりするとウソのようにうまくなる生徒が続出しましたし、わかってもすぐには直せないような難しいポイントも段階的に指導することができます。
ホントにビアンキュイカルテは劇的な効果が出ましたね。

カルテのレッスンは、何が悪いのかをわからないまま無駄に試行錯誤する無駄をなくすことが出来て、しかも一流のシェフが正しい改善策を指摘してくれるので、忙しかったり「時間を大切にする」方にとっては何物にも代えがたいシステムとなりました。

そのカルテも2年目に入り、栗原シェフと話し合いながらさらに効果を上げるようにブラッシュアップをしていきます。

ただちょっと気になっていることが一つ。

「成長できる」を意識しすぎるあまり、ちょっとストイックにありすぎているかなと。楽しさが欠如しすぎてないかなと。

本来パンづくりって楽しいものじゃないですか。でも「成長」とか「克服」とかにこだわりすぎると「つらさ」とか「課題やらなきゃ」みたいなことがやたら大きくなると、ただつらい修行みたいなことになりかねないですし、そうなると本末転倒で努力する気もなくなりますよね。

なので、これからは大変だけど楽しい!という要素をどんどん増やしていきたいなと思っています。先日、生徒の皆さんと一緒に水戸の栗原シェフのお店を見学してシェフのお話を聞きに行ったのもその一環です。

やっぱり場所と空気が変わると、普段のレッスンでは聞けないような話がたくさん聞けるし楽しかったですよね。何より、パンがおいしい(笑)。
今度は児玉シェフのお店に行ってみようかな。でも今とても忙しそうなんで難しいかもしれません。

楽しみながらうまくなれる、そういう講座、そういうシステムをこれから構築していきたいと思っています。何かヒントとかご希望あったら、どんどんご意見ください。
よろしくお願いします!


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