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英語の多読は英語貯金

近年、スピーキングやリスニングを重視する実用英語の風潮が広がっていますが、その中で英文法や英文読解を中心とした従来の英語学習法が役に立たないもののように思われがちで、それよりもスピーキングやリスニングの方が上位にあるものだと言われているように感じます。

スピーキングやリスニングに対して、ライティングとリーディングを分けて、関係性が薄い別のものとして扱っているような感じがします。そういう風潮の中で、英語を読むことの重要性が軽んじられがちだと思います。

以前もnoteに書きましたが、英語を話すというのは「空気中に英語を書く」ということを意味していて、本質的な部分ではスピーキングとライティングは同じ土台の上に立った言語のアウトプットです。この論理で言えば、英語を聴くというのは「空気中に書かれた英語を読む」という英語のインプットです。

インプットの手段として有効な多読

そして、この英語のインプットの手段として、「英語を読む」というのが有効な手段です。特に、自分が好きな分野や興味のある分野に関する英書やネット記事を多読することをお勧めします。

自分が興味のある分野なら何でもいいんです。車が好きな人は車に関する英書を、料理が好きな人は料理に関する英書を、サッカー好きはサッカーに関する英書を、動物好きは動物に関する英書を読んで、それぞれの分野に関連した英語の表現や単語に慣れていくんです。

自分が興味のある分野についての英語の本や記事を読むことこそ、本当に有効で良い英語の勉強法だと私は思います。興味のある分野だから楽しめますし、興味のある内容を読みながら文脈の中で単語がどう使われているのかを知ることができるので、内容と英語が連動していて、その単語や表現をどこで覚えたのかを忘れません。

読む力を伸ばすことが語学のカギ

作家の佐藤優さんは著書の中で、次のように述べています。

語学を勉強するときのコツは、読む力をつけることです。読む力がその人の外国語力の天井になる。読む力を超えるほどの、聞く力、書く力、話す力は絶対につきません。だから、読む力で天井を上げておく。これが非常に重要です。

読む力を重視する佐藤優さんの考え方に私は強く共感します。私は以前、学生時代に元同時通訳者の松本道弘さんに影響を受けたことについてnoteに書きましたが、松本道弘さんの著書を通じて、英語を多読してインプットを増やすことがいかに重要かを痛感するようになりました。

英語を多読すると、英語の聴き取り能力、リスニングも向上します。たくさんの英語に触れることで、ある文脈の中で使われている単語やフレーズ、表現を覚え、語感を磨く機会を多く作ることができるので、話されている内容に対する先読み力や推測力が増すのです。逆に言うと、知らない単語は聴き取ることができません。

これまでに英語界に名を残している英語の達人の中で、英語を読むことの重要性を説かなかった人なんていないのではないかと思います。例えば、松本道弘さんは著書の中で、松本享さんから“Speak less, listen more. Write less, read more.”(「話すよりも聴きなさい。書くよりも読みなさい」)と言われたと言っています。

ちなみに、私が翻訳学校で日英翻訳を教わったカリフォルニア出身のネイティブ翻訳者も、翻訳力を向上させるためのコツとして“Read a lot.”(「たくさん読みなさい」)と言っていました。

ネット上の英語媒体を有効活用

以前のnoteの繰り返しになりますが、ネットが当たり前の社会インフラとなった今の時代には、ネット上に英語情報が溢れています。海外の報道機関のサイトには、英語で書かれた記事が無数にアップされており、英語で記事を書くことを専門としたネイティブのジャーナリストが書いた記事をいくらでも読むことができます。

海外のメディア報道以外にも、ネット上に無料で読むことができる小説や文芸作品もたくさんアップされています。例えば、Planet Publishというサイトには、海外の有名な古典作品がPDF形式でダウンロードできるようになっています。短編小説名作100選(100 Great Short Stories)のサイトもお薦めです。もちろん、今はアマゾンで簡単に英書を買うこともできます。

何度も繰り返しますが、今の時代、ネット上に無料で読める英語媒体が豊富に揃っているので、それを最大限に利用しない手はないと思います。

英語の多読は英語貯金です!

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