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カリド・コーザー著『移民をどう考えるか:グローバルに学ぶ入門書』

本投稿では、私が和訳を担当させていただいたカリド・コーザー著『移民をどう考えるか:グローバルに学ぶ入門書』(勁草書房)についてご紹介したいと思います。

本書は今年の7月1日付でアマゾンでの発売が開始され、出版から2ヶ月後の投稿となりましたが、本書の内容について以下に簡単にご紹介します。

本書の概要

本書はオックスフォード大学出版局(Very Short Introductionシリーズ)から刊行された移民・難民問題に関する入門書です。最新の研究に基づいて特定の地域に偏らずグローバルな動向を意識し、バランスのとれた視点を大切にするという姿勢で書かれた学術的な入門書です。

目次
第1章 なぜ移民が問題なのか
第2章 移民とは誰のことなのか
第3章 移民とグローバリゼーション
第4章 移民と開発
第5章 非正規移民
第6章 難民と庇護希求者
第7章 社会における移民
第8章 国際移住の未来

著者カリド・コーザー氏とは

著者カリド・コーザー氏(Khalid Koser)は、マーストリヒト大学教授で、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンで博士号を取得し、アメリカのブルッキングス研究所やオーストラリアのローウィー研究所のシニアフェロー、イギリス王立国際問題研究所やジュネーブ国際開発高等研究所のリサーチアソシエイトなども歴任、ダボス会議の国際移民に関するセッションの議長も務めてきたという方です。

ツイッターでの反応

ツイッターでタタール・ディアスポラ研究者の櫻間瑞希先生地政学者の奥山真司先生から本書について、次のようにツイートしていただけてたいへん光栄に思います。

出版に至るまでの経緯:転機は2019年12月

ここで本書の出版に至るまでの簡単な経緯についてご紹介したいと思います。

私が本書の出版を勁草書房さんにご提案したのは2019年の3月のことでした。その時に、まずは第一章の試訳を出して欲しいということで、私が第一章を訳し提出し、勁草書房で内容について検討していただきました。しかし、その時には残念ながら企画が成立せずに、途中で企画倒れとなりました。

ところが、2019年の12月頃に勁草書房側から、方針変更して、出版に向けて再検討したいというありがたいお話をいただき、年が明けて2020年になって出版に向けて動き出しました。私は4月の半ば頃から5月の中旬ぐらいまでの間に全訳を終えました。

ただ、皆さんもご存知のとおり、昨年2020年は新型コロナウイルスのパンデミックに見舞われた大変な年で、編集者が監訳担当者である国立社会保障・人口問題研究所国際関係部部長の是川夕氏(OECD移民政策専門家会合政府代表)と打ち合わせしたのは、緊急事態宣言明けのことでした。

そこから監訳作業が始まる形になり、そこに諸々の事情も絡み、最終的に2021年7月1日の出版の運びとなりました。

こういう紆余曲折がある中で出版実現となったので、翻訳を担当した者として嬉しく思います。

ちょうど今年8月末の米軍のアフガニスタンからの撤退でアフガン人移民・難民について注目が集まっていますが、本書には著者カリド・コーザー氏がアフガニスタンとパキスタンの移民密航業者に取材した話も記述されています。

最後になりますが、以下の勁草書房のサイトに「第1章 なぜ移民が問題なのか」の一部が掲載されています。

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