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【イベントレポート】平井オープンボックス オープニングイベント「別視点」で平井を歩こう!~書籍『マニア流!まちを楽しむ「別視点」入門』刊行記念・まち歩きイベント~

2023年5月20日(土)、平井オープンボックスの正式オープンに先駆けて、「別視点」で平井を歩こう!~書籍『マニア流!まちを楽しむ「別視点」入門』刊行記念・まち歩きイベント~を開催しました!

「別視点」で平井を歩こう! 開催の経緯

「視点」を変えれば何でも楽しめる

「別視点」で平井を歩こう!は、平井オープンボックスのオープン記念&書籍『マニア流!まちを楽しむ「別視点」入門』刊行記念として開催されたお散歩イベント。

2023年5月22日(月)に正式オープンした平井オープンボックスは、様々な強みを持つクリエイターやマニアと地域・企業をつなぐコミュニティスペースです。そんな平井オープンボックスに集まるマニアさんたちの面白さや視点を知ってもらいながら、平井をより身近に感じてもらえるような機会はないか?と考え、この企画が立ち上がりました。

別視点はこれまでに専門家やマニアがガイドするバスツアー「別視点ツアー」や、100組以上のマニアが大集合する「マニアフェスタ」などを通じて多くのマニアさんと関わってきました。

植木鑑賞道を究める!下町・平井駅の植木鉢をひたすら鑑賞するツアー

そして偶然にも別視点で最初に企画したツアーが「下町・平井の植木鉢をひたすら鑑賞するツアー」でした。そういった意味でも平井は思い入れのある町です。そんな中でマニアの方それぞれに独特の視点があることを目の当たりにしてきました。マニアさんと歩けば何でも楽しめる!

今回のイベントでは、5名のマニアの視点をインプットしたあとに、参加者に実際に平井を歩いて気になるポイントを記録してもらいました。なにげなく歩く道も視点を変えることで、きっと新たな発見があるはず。
 
今回は、まちのチャーミングマニア(木村りべかさん)、歩行者天国マニア(内海皓平さん)、硯マニア(丸山恵美さん)、路上園芸マニア(村田あやこ)、平井の本棚オーナー(津守さん)の5名をゲストに迎え、まちを楽しむ独自の視点について伺いました。

■実施内容

・5人のマニアの視点をレクチャー

初回の別視点ツアーのツアーガイドでもある木村りべかさん

最初にプレゼンしたのはまちのチャーミングマニアの木村りべかさん。木村さんは「生活」をテーマに活動されているアーティストです。「町を歩いていると、自分の生活を良くしようと思って行動した痕跡が見えてくる。それってすごくチャーミングな状態だなと思っています。自分の生活はすごく平凡だけど、実は色々なことが巻き起こっている。それが70億人分あるのってすごいことだな、と思う」と木村さん。

個性豊かな平井のわんちゃんたち

特に気に入っているチャーミングなものとして「ラブリー飼われ犬」を紹介する木村さん。人に飼われている犬が眼の前に飛び出してきたり、自転車につながれたモップみたいなわんちゃんがいたり。「大きい犬とか豚とか連れてる人、平井にいますよね」と平井が地元の硯マニア・丸山さん。

張り紙で閉店を知らせる林家さん

他にも「今日の林家」と称して、平井にあった和菓子屋さんの植木鉢の位置を毎日写真に撮っていたのだそう。「毎日配置が変わるのが面白くて」と話す木村さんは本当に楽しそう。残念ながら現在は閉店してしまったそうです。

木村さんは「平井は川に囲まれている町で、うかつに外に出られない。“歩きつぶしがい”のある町。ほんとに飽きない町、閉ざされた地形だからいいのかな」と分析していました。

町、建築、アートなどに関わる仕事をされている内海皓平さん

次にポイントを発表してくれたのは歩行者天国マニアの内海皓平さん。
歩行者天国マニアという肩書きですが、もともと散歩して人の家を見るのが好きなのだそう。

階段が物置になっている…?

たとえばこの写真の家を見ると、どういった経緯でどう建物が改造されていったのかが読みとれる、と内海さん。

「ライフステージの地層みたいですね」

最初は階段だけだったところが植物の置き場所になって、ゴルフの練習場ができて……と増築された順番を数字で表してくれました。家主の生活の変化が家から読み取れる、と思うとふつうの住宅街が輝いて見えてきます。

「何かのレジスタンスなんですかね?」(平井の本棚オーナー・津守さん)

続けて「車道」という路面標示がある道に花壇が置かれている写真を紹介。「将来車道になる予定の場所なのかもしれないですが、こういった矛盾しているような場所は例えばメタバースの世界とかには絶対ないじゃないですか。そういう感じがとっても好きです」と内海さん。

内海さんは人のお家からもうひとつ興味深いものを紹介。「置物の犬をリードで繋いでいる家がけっこうあって。置物だから逃げないのに(笑)。この人がどういう考えでやっているのか想像してしまいます」。硯マニアの丸山さんは「昔ペットを飼っていて、その子の遺品なのかな、とか色々考えちゃいますね」と考察していました。

そんな「硯マニア」の丸山恵美さんは書道歴25年の書道家。子どもの頃から文字を見てきただけあって町にあふれる看板やポスターなどの文字がとても気になる様子。

プレゼンでは平井で見かけた「定休日 第3日旺日」という手書きの文字について解説。「新字体という文字としては新しいものなのに、古くて手書きの営業時間が書いてあるのが好き。日曜日の曜が旺になっているけど、これは誤りで、王じゃなく玉にするのが正解です」と丸山さん。これは「曜」の新字体として昔はよく使われていたのだそう。

手が出てお金を受け取ってくれる……?

他には「夜間金庫を平井でしか見たことがない」と紹介。「これなんだろう?と思っていたけど誰も珍しがっていない、不思議なスポットです」

「この道入ったらもう戻って来れなさそうだな、という道が好き」(丸山さん)

「人のマンションや使用地っぽいから入れないけど、ここ通ってみたいなという場所が平井にたくさんあります。平井が地元なんですけど、地元の友達の家に泊まりに行くたびに、その子なりのショートカットの道があって、毎回これはどこに出るんだろう?と思うのがワクワクして楽しかった記憶があります」と本当に楽しそうに語ってくれました。

「きれいな場所を探すよりも、時の経過を感じるようなものを見ると俳句を作りやすいと俳句の先生が言っていました。そういう意味で平井は俳句が作りやすい町」(津守さん)

平井生まれ平井育ちで、現在も「平井の本棚」という新古書店のオーナーをしている、いわば平井マニアの津守恵子さんも平井の魅力をプレゼン。

「喫茶店や立ち飲み屋などのお店にも注目してほしいです。わたしは、平井でお店をやる人はへそが曲がっている(笑)と思っています。何もない町とよく言われるのですが、その分ブルーオーシャン。なぜ平井にお店を開いたのか、店主にお話を伺ってみると面白いですよ。深く入らないとわからないことがたくさんあるのが平井の面白さです」と語りました。

これには平井でシェアスペース「SHARE STAND HIRAI 」の管理人をしている内海さんもにっこり

「以前には「インスタ映えないまち、平井」として、撮ってきた写真を「映えないねー」とみんなで言い合う会をやったこともあります。町にある何かを擬人化してみたりとか、時の経過を感じるようなものを見つけるとか、視点を少し変えて「スキマ」を探すのが平井の楽しみ方です」と津守さん。

「この人はこれをスキマと感じるんだ、という人の視点を共有できるのは楽しいものです。写真を撮ってそれにキャプションをつける(名付け・意味づける)感覚をもつと面白いと思っています」

「路上園芸学会」を独自に立ち上げるほど植物に魅了された村田さん

最後に路上園芸マニアの村田あやこさん。路上園芸鑑賞家・ライターとして、『たのしい路上園芸観察』、『はみだす緑 黄昏の路上園芸』などの書籍を出版されています。 

街角のアスファルトなどの間から生えている植物や、植木鉢におさまりきらないほど大きく育った植物の姿が好きなのだとか。村田さんいわく、平井には裏道やうねうねしている道が多くあって、そういう町には植木鉢が多いとのこと。「安心してのびのびと植木鉢を育てている印象がありますね」と村田さん。

マニアから平井を楽しむコツを伝授してもらい、いざ散策へ!

・それぞれ平井のまちを散策!

マニアたちの視点をみっちりインプットしたあとは、60分間の散策タイム!平井のまちへ実際に繰り出して自分の気になるポイントを見つけます。参加者もマニアも散り散りになって思い思いの「別視点」を探しました。

丸山さんと木村さんがさっそく何かを発見したようです。

平井駅北口からすぐの場所にある「平井ショッピングセンター」。上を見上げると、こんなところに文字が!

昭和43年から続く老舗のプリンアラモード、食べてみたかった……。

2面に看板があるのは珍しいですね。こちらの純喫茶も、残念ながら2021年に閉店してしまったそうです。

丸山さんは、平井ショッピングセンターの近くにあった街区表示板にも注目。「平」の点の向きが通常と違います。

時の流れを感じる街区表示板

書道家の丸山さんいわく、これは「隷書」と呼ばれる書体とのこと。日本は楷書で書くのがスタンダードですが、古い工場の技術では複雑な楷書の文字をつくるのが難しい。そこで、隷書で文字を書くことが多かったのだとか。文字一つでも、知識があるだけで歴史を感じられるんですね。

30分しか販売していない……?気になる

そのまま南口の商店街を目指していると、不思議な張り紙を発見。一般住宅の一角で30分だけめだかを販売している場所。誰が販売しているのか?なぜ30分なのか?それは9時30分にこの場所に来れば聞くことができます。

カレー屋さんの看板を見つめています。

商店街に行くと、さらに気になることだらけ!丸山さんが撮影しているのはこちら。

カレー屋さんで、「今夜はじっくり語ろう」
「発注したら勝手に文章がついてきたのかな?」と丸山さん。看板の側面に文字がついているのも珍しいし、カレー屋さんぽくもない文言。好奇心がそそられます。

商店街の入り口にひっそり佇むワンちゃんを見つける木村さん

なぜ?というツッコミどころがたくさんあり、歩くだけで楽しい町です。

例の夜間金庫。小さな階段が面白いと指差す木村さん。

店長はどこへ?

曇ったガラスに指でなぞったような「軽食 スナック」

「パッチワークみたいな駐車場だ!」(木村さん)

コインランドリーの中では新しいものと古いものが混ざり合う

・気になったポイントをツイートして共有

散歩を終えて、平井オープンボックスに戻ってきました。参加者は自分の気になるポイントを「#平井別視点さんぽ」でTwitterに発信。プロジェクターに映して発表しました。

●THERMOSの園芸
https://twitter.com/beefbeef/status/1659809740829097984
THERMOSのコップに植物を植えているお宅があることを参加者の2名が発見しました。こういう別の用途のものが鉢植えになることを「転職鉢」と呼んでいます、と路上園芸マニアの村田さん。

●「ダンジョン階段」と名付けてワクワクを増幅
https://twitter.com/beefbeef/status/1659809039742808064
普段からダンジョン階段と名付けて「登りたいなぁ」と考えているという参加者の方。確かにRPGに出てくる階段に見えてきます。

●パイロンの足跡が増えてる
https://twitter.com/uchiumi_k/status/1659809288020434945
直したての道路を人が踏んで足跡がつかないようにパイロンをおいたが、そのパイロンのあとがついてしまっている、というお茶目な一枚。報告してくれた内海さんは「以前から気づいていたけど最近また増えた」と報告。これを置いた職人さんが気になります。

●平井の人は語呂合わせが好き
肉屋に1129、株式会社ヨンパチに48のナンバープレートが使われている、などナンバープレートに着目した参加者さんもいました。これもどんな町でも楽しめそうな視点ですね。

そのほか、マニアや参加者さんのツイートは#平井別視点さんぽでチェックしてみてください!

建物、看板、地形、街の歴史など興味のあるものについて調べる、普段歩く道に昨日と違う場所はないか?と時間の経過に着目する、一見特徴がないような場所も面白がって見てみる。マニアさんは日常が楽しくなるコツを見つけるのが上手です。そんなマニアさんたちの視点を通して、今ある環境や住んでいる街の景色をさらに愛おしく感じられるイベントになりました。

■イベント概要

企画・運営:合同会社 別視点
日時:2023年5月20日(土)  13:00〜16:30
会場:平井オープンボックス

平井オープンボックスのサービス内容や利用方法についてはこちら
https://note.com/hirai_openbox/n/n231cabcce1a8


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