見出し画像

白骨化スマホ

暇潰しに祖父の本棚で見つけた死神召喚の儀式を試すと、簡単に死神が呼び出せた。

「わ! 本当に出た」

「呼ばれちゃったかー」

「え?」

「本来は契約の話に移るんですが、今はそれどころじゃなくて」

「はあ」

「困ったな。あ、これ契約のかわりに差し上げます」

死神はスマホのようなものを差し出した。

「なにこれ」

「それは『白骨化スマホ」って言って、撮影すると、死期の近い人間は白骨化して写るんです。自分は写せませんが。」

「面白そう、貰っていいの」

「はい、連絡用は他にあるし、それはもう必要ないので。あのー、本当に忙しいんで帰りますね、では」

死神はそう言い残して消え去った。

「拍子抜けだが、まあ試してみるか」

若者は、二階の自室から通りを歩く人々を次々と撮影した。

「あれっ、全員白骨化してるぞ。くそー、あの野郎騙しやがったな。それか設定が悪いのか」

「ん? なにこれ、検索履歴?」

そこにはこんな言葉が並んでいた。


地獄 獄卒 転職
地球以外 死神 待遇
隕石衝突 いつ



                (410字)
           お題「白骨化スマホ」

#毎週ショートショートnote

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?