30万の価値

私の目には30万の価値がある

……。

私の目の疾患を明るく簡単に説明してみた。
両眼に裂孔原性網膜剥離
左目に白内障を抱えている。
治療は終わったので″抱えていた″の方が正しかろう。

中三の秋、ちょうど今通っている高校のオープンキャンパスで症状に気づいた。黄色い。世界が黄色いのである。普段、病院に行くなんて全く言い出すことが無かった私であったが、その時はこれは病院に行かないとまずいぞと第六感のような物が働いていた。
とりあえず近所の眼科に飛び込んだのだが、紹介状書かれて大学病院へ。時間外だったが即検索。左目の網膜剥離。
そこからが早かった。翌日の昼には入院し、精密検査。その翌日には手術。症状発覚から48時間である。
手術は成功。一週間で退院。めでたしめでたし……

ここで終わればただの昔話。

今度は視界が白い!はい、病院。
次は白内障らしい。網膜剥離の治療で巻いたナイロンバンドで眼圧が上がったことが原因らしい。
先生「手術するね。12/25でいい?」

12/25……
クリスマスじゃねえか。彼女いないの知ってたのかよ先生…

手術は30分程度で終わった。左目の水晶体を抜き、そこに人工のレンズを入れる。先生からのクリスマスプレゼント。これで視界は綺麗になったが、焦点は遠くに固定された。バイバイピント。
めでたしめでた…

今年の6月。左目の術後の経過観察。先生の顔が曇ったのを私は見逃さなかった。
右目の網膜に穴が空き、剥離の一歩手前の状態だったらしい。おかえり、網膜剥離。
手術は屁でもなかったが、コロナ禍での入院は心配だった。PCR検査は二度とゴメンだ。

めでたしめでた……

手術後一週間。眼帯を外した私は驚いた。焦点が合わない。左目は近くが見えず、右目は至近距離しか見えない。術後は視力が安定していないからメガネを作れない。齢18にして、私は老眼鏡ユーザーである。俺って大人だな()

手術3回。私の目には30万の価値がある。