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養鶏についての簡単な整理

養鶏の方法について大まかに整理してみました。
建屋で2つ、飼育方法で3つに分類する事ができます。

本心ではウィンドレス鶏舎とケージ飼いについて書きたくなったのですが、まずは簡単な整理をしてからと思いました。
前段としておいておきます。

建屋は2つ

鶏小屋の事を鶏舎(ケイシャ)と呼びます

無窓鶏舎
建屋をすべて壁で囲ってしまい、ファンとモーターによって強制換気するもの。
ウィンドレスや閉鎖型とも呼ばれます。
ウィンドレス鶏舎は、一般的に良いイメージが持たれていません。
ですが本来は、北米などの寒さが厳しい地域で鶏を守るために始まりました。
空調設備が完備していればという条件付きですが、最も動物愛護的な方式です。

開放鶏舎
建屋の一部を柵やネットなどで張り、自然の通風を取り入れるもの。
オープン鶏舎とも呼ばれ、開放部のとり方によって2面開放・全面開放などと言います。

飼育方法は3つ

ケージ飼い
カゴを使用した方法で、一羽づつならば単飼ケージ、数羽ならば群飼とか複飼ケージと言います。
最近ではファーニッシュドケージあるいはエンリッチドケージというものもあります。
ファーニッシュドとは、家具が揃っているという意味で、ケージ内に止り木と砂場代わりの人工芝があります。

平飼い
建屋の中で自由に行動させるもので、床に木くずやモミガラをしいたり、スノコを置いたりします。
地面にしくものを敷料(しきりょう)あるいはリターと言い、まさとうではモミガラを使用しています。
スノコの事はスラットと言います。使用の程度によって、オールリターとかオールスラットとかスラットアンドリターとか言い分けます。
土間のまま敷料を入れないものや、エイビアリーと呼ばれる多段式のものもあります。

放し飼い
屋外を利用したものを言います。
最近は鶏に対しても放牧の用語が用いられる場合があります。
JAS法では、平飼い鶏舎でも昼間に自由に行き来できる運動場があれば、放し飼いと言ってよいことになっています。

これでも「放し飼い」と表記できます

さまざまな方法があるのは、管理都合や鶏の習性や動物愛護に対する考え方によるものです。
それぞれの飼育方法にはメリット・デメリットがあります。
比べてどれが一番というものでもありませんが、鶏の健康や食の安全を、最もバランス良く実現できるのが平飼いだと思います。

上記の分類でいくと、まさとうの鶏舎は
2面開放型オールリターに分類できます。

さて、まさとうが実践する開放鶏舎での平飼い。実際どんな良い点があるのでしょうか?

自由な行動がとれる点
日向で朝日を浴びて体を温めたり、日陰に掘った地面に体を押し付けて熱を逃がす事も出来ます。羽や足を広げてノビをしたり、地面をかいて砂浴びをする事ができます。
鶏を飼うと決めた時から、自由な運動を確保するという思いはありました。
しかし、頭にあったのは運動ではなく、行動の自由だったなと今になって思います。
土間床にモミガラをしき詰め、コンクリートやスノコを使用しなかったために提供できた事があります。
それは「掘る」という事です。
獲物を探しているとか、寄生虫を落とすとか言われていますが、本当にそれだけなのでしょうか?
砂場で遊ぶ子供たち、庭を掘り返す犬、砂浴び・泥浴びをする野生動物など。生き物にとって、ただただ掘るという事は、そこに意味や目的は無くとも本能的で重要な動作なのではないかと思います。


習性に沿ったものである点
夜には高い所に上って寝るのが習性ですが、床に集まって寝るグループもあります。
暑い時期には、この集団が時間とともにバラけてきます。
寒い時期には、一晩中暖めあっています。
こういった行動を取れる事が、平飼いが鶏に提供できる良い点です。
その上で、野生動物や過度な光や低温・高温などから守る事が加えられます。

卵を確実に集められる点
鶏は卵を産む際、見つかりにくい場所に産もうとする習性があります。
広い場所を与えてしまうと、人には見つけ難い場所に産んでしまいます。そうなれば、そこにある卵がいったいいつ産み落とされた卵なのか判別がつきません。また、地面に直に産むと泥や水分が付着します。
そこで、狭い場所・暗い場所に産もうとする習性を利用したのが「ネスト」と呼ばれる巣箱です。飼育スペースの中で、最も魅力的な隠れ家として用意された場所がネストなのです。
鶏がネストで産卵すると、卵がアミの上を転がって部屋の外のトレーに集められる仕組みになっています。
毎度全ての卵が確実に集められる「目の届く管理」こそ、平飼いが安全を担保できる点です。


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