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10月個展作品紹介3(23年)

新作の紹介です。

 日女つまり太陽の名をいただく少女

冬のように寒々とし、静まり返った空間、後戸

ただただじっと座して待つ 目覚めの時を

作品紹介

 紫陽花ではなく菊の作品です。
 私の作品といえば頻繁に紫陽花が登場します。作品に登場させる花には必要条件がありまして、大ぶりな花が適しています。小さい花ですと、少女を小さく描く都合上、組み合わせた時に花のディテールが乏しくて作品全体もあっさりとして見ごたえのないものになってしまいます。一方で大輪の花ですと、拡大しても構造が密に詰まっているお陰で画面に動きが生じて見ていて楽しいものになります。
 そういった理由で菊を選びました。この菊は奈良県の橿原神宮の境内で撮影したものです。昨年の秋のことです。朝の7時前くらいには到着したでしょうか、まずは神武天皇陵に参拝したのですが、朝の空靄がかったしっとりとした空気と相まって厳かでありそこだけ別世界のような感覚があったのを強く覚えています。とても静かでありながらその内にこの世ならざる力を蓄えた感覚です。これは私が後戸の作品に込めたいものです。圧倒的な存在感を放ちながらただじっとそこに存在する。そこには理由などを考える必要もなく日本の歴史のようにひたすらに長い時を経てきたという事だけで十二分の存在価値を持ちます。
 私達人間はそういった歴史からしてみたらほんの一瞬の存在です。しかし、私達を構成する物質、エネルギーは宇宙が誕生したときから存在している要素です(もしかしたらそれ以前から・・・)。個体としては一瞬でも世界の一部としては途方もない時間を内包しているのです。
 そんな宇宙の始まりの中心地点が私の作品の舞台です。

 私の作品の少女は小さいです。その事をよくおやゆび姫に例えられることがあるのですが、ここで言う姫(ひめ、プリンセス)は本作の題名の日女(ひめ)とは持つ意味合いが違います。日の神(天孫)の子として存在する本作の少女はこれから新しい世界を照らす太陽となることを暗示しています。

新たな展開

 前回、前々回と説明したように本作も、菊からは本来発生しない葉っぱが茂っています。 始まりの地ではすべてがひとつに溶け合っています。
 ひとつ不思議な植物を画面においてみるとそこからまた普通ではありえないものが派生してきます。見ていただく人にとっても思考を柔らかくしていただいて色々な見方で作品を観てほしいと思います。

 実はこの作品にはアマガエルが隠れています。こうやって拡大切り抜きすると神社の御幣守られているようにに見えてきて、神聖なカエルさんのようですね。他にもオタマジャクシも泳いでいます。両生類は水中と地上で生をまっとうする生き物です。本作の舞台のように様々な境界がない様子を象徴するようにカエルを配しています。

 最後まで読んでくださりありがとうございました。
 引き続き個展作品の紹介をしますので、よろしくお願いします。

【作品情報】

題名: 花の日女 (後戸 _∅_ 菊組の座より)
大きさ:F6 号(410*318mm)
技法:パネルに油彩
価格:198,000 円(180,000 円 + 税)

【出品情報】

こちらの展示でご覧いただけます。

平林孝央個展
”再生 世界のみる思い出”

2023年10月20日(金)-29日(日)
24,25日休み
12:00-20:00
最終日は19:00まで

ギャラリーフェイストゥフェイス
〒167-0054 東京都杉並区
松庵 3-35-19 SHOEI BLDG.2 #102
(西荻窪駅南口徒歩 2 分)
03-6875-9377

https://www.facetoface2000.com/

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