ワイヤレスイヤホンで喫茶店気分

彼は自宅でコーヒーを飲みながら、最近買ったワイヤレスイヤホンを耳に取りつけた。スマホと連携させ、YouTubeで音楽を聴いた。

休日だからといって、一日中家にいると、なんだかもったいない気分になる。そして、それが一人きりだとなおさらだ。彼はそう考えている。彼の妻は今日は仕事なのだ。自由は自由なのだが、と彼は独り言を言った。

外に出ると、金がかかる。それに人混みもあまり好きではない。そして、ショッピングモールに行ったところで、今、特別に欲しいものはない。強いていえば、お金か。

ゆくゆくの副業としてなにか出来ないかと思案し、挑戦するものの恐怖心からか、お金を稼ぐところまでいっていない。彼はどこか無力感を感じていた。

そんな時、外出するとしたら喫茶店だ。彼は喫茶店が好きなのだ。しかし、外に出れば金がかかる。その上、近所にお気に入りの喫茶店を見つけていない。探索すれば良いのだが、なんだか喉の調子も悪い。

そこで彼は閃く。家をカフェと見立てればいいのではないかと。コーヒーのオカワリもし放題。それに、人目を気にする必要も無い。早速、テーブルの上を片付けた。そして、音楽を聴く。紙に雑念を書きつつ、気になったことを調べ、ノートに書く。暇になればゲームをすることだってできる。彼は天才的な発想の転換で、休日、家にいることを自分に許可をした。これが天才か。

散歩もしたが、全体的によい休日であったのでなかろうか。

さすが彼である。この最高さに彼はまだ気づけていないのだろう。落ち込む日もアゲアゲな日も。彼は最高なのである。