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つぶやき

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#評論

小説家という生き物そのものの演劇性を踏まえない作家論は、基本的に欺瞞だろう。葛西善蔵や志賀直哉の方法論を日本文学はすでに乗り越えた。
作家をダシにして社会や人間について思索するのは別だが、作家の生活や人生は小説のテクストではない。

小説ではいくらでも自分を偽れるが、批評ではそうはいかない。
そこで発せられる言葉は登場人物のものではなく自分のものであり、他でもないその言葉によって自身が傷を負うことは珍しいことでも何でもない。
芸術と学術、描写と言及の違いはそこにあるのだろう。