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【MTG】完成度が芸術品!Pauper 2-Land Spyのすゝめ

はじめに

みなさん、美しいデッキはお好きですか?ボクは大好きです。
今回は、Pauper史上最も美しいデッキ構造と断言したい、2-Land Spyの紹介をします。

MTGにはThe Spyというデッキがあります。
雑に言うと、デッキの中の土地を0枚にし、《欄干のスパイ/Balustrade Spy》を自分に打ち込むとデッキがすべて墓地に落ちるので、そこから好き勝手できるというコンボデッキです。

Balustrade Spy

レガシーなどのエターナル環境で成り立つのはご想像に難くないと思いますが、このコンボ、Pauperでも成立します。とはいえ、Pauperではデッキの中の土地が0枚だとそもそもコンボ始動が極めて困難なため、土地(森)を1枚だけ入れる形式が主流でした。
仮にこれを1-Land Spyと呼ぶなら、大きく《惨劇の記憶》型と《アスフォデルの灰色商人》型の2つがあります。
ただ、前者は25点程度までしかライフを削れず、後者はコンボパーツが多く、コンボ始動に不要なカードが多く入るという課題がありました。
また、《ギタクシア派の調査》が禁止されてからは、コンボ成立の確率も下がってしまいました。
(詳細なデッキリストについてはMTG wikiに詳しいので、気になる方はそちらをご覧ください)

これらの課題を解決したのが、下記の2-Land Spyです。
デッキのほぼすべてがコンボ始動のためのパーツになっていること、コンボ始動が1-Land Spyに比べて格段にしやすいことなど、革命的なデッキ構成となっております。
初めて見たときは、そのあまりの美しさに数時間は感動しっぱなしでした。

土地が2枚も入ってなおSpyコンボを成立できるようになった立役者は、モダンホライゾン2に収録された《豊穣な収穫/Abundant Harvest》と、カルドハイムに収録された氷雪タップインデュアルランド、《森林の地割れ/Woodland Chasm》(沼・森)です。
この2枚のおかげで、コンボ始動の確率が上がり、デッキの構成にも無駄がなくなりました。
特に、《豊穣な収穫》については、土地をすべて引ききった後でも有効活用できるという点が画期的です。
あと、《モルグの窃盗/Morgue Theft》の上位互換である《地下室からの這い上がり/Crawl from the Cellar》も追い風です。サイクリングした《通りの悪霊》を回収することで、実質的にドローカードとして使えたり、今回のコンボに必要なマナが減ったりなど、地味ですがめちゃくちゃ重要なカードです。

Abundant Harvest

さて、PauperのThe Spyの解説はこの辺りにして、デッキリストと勝ちルートを見ていきましょう。

デッキリスト

■土地(2)
1 森/Forest
1 憑依されたぬかるみ/Haunted Mire

■クリーチャー(24)
4 野生の朗詠者/Wild Cantor
4 ほくちの壁/Tinder Wall
1 マイアの回収者/Myr Retriever
4 猿人の指導霊/Simian Spirit Guide
4 欄干のスパイ/Balustrade Spy
1 ディミーア家の護衛/Dimir House Guard
4 通りの悪霊/Street Wraith
2 気前のよいエント/Generous Ent

■呪文(34)
4 暗黒の儀式/Dark Ritual
4 忌むべき者の歌/Songs of the Damned
2 強迫/Duress
1 無残な収穫/Grim Harvest
2 地下室からの這い上がり/Crawl from the Cellar
4 豊穣な収穫/Abundant Harvest
4 土地譲渡/Land Grant
4 証拠隠滅/Destroy the Evidence
4 水蓮の花びら/Lotus Petal
4 妖術師のガラクタ/Conjurer's Bauble
1 ジャック・オー・ランタン/Jack-o'-Lantern

■サイドボード
1 樹木茂る尾根/Wooded Ridgeline
2 強迫/Duress
4 紅蓮破/Pyroblast
4 レンの書庫/Library of Leng
4 鋳塊かじり/Ingot Chewer

※上記の2-Land Spyを参考に、筆者がアレンジした

このデッキのゴール・勝ち方

無限ループ解説

デッキに2枚ある土地をすべて引いた後に、《欄干のスパイ》または《証拠隠滅》を自分を対象に発動する。デッキがすべて墓地に落ちるので、そこから無限ループを決める。

  1. 《忌むべき者の歌》を唱えるなどし、19マナ以上を用意する

  2. 《地下室からの這い上がり》2枚をフラッシュバック(4×2=8マナ)、それぞれ《ディミーア家の護衛》《マイアの回収者》を手札に戻し、戦場に出す(4+2=6。計14マナ)

  3. 《ディミーア家の護衛》の能力で《マイアの回収者》を生け贄にする。《マイアの回収者》のPIG能力と《無残な収穫》の復活が発動。《マイアの回収者》で《妖術師のガラクタ》を手札に戻し、《無残な収穫》も手札に戻す(3マナ。計17マナ)。《妖術師のガラクタ》を場に出し、《忌むべき者の歌》を対象に起動。デッキが0枚なので、要するに墓地から《忌むべき者の歌》を手札に加えることになる。そのまま《忌むべき者の歌》を発動(1+1=2。計19マナ)

  4. 《無残な収穫》を《マイアの回収者》を対象に発動。あとは3.の手順を繰り返すことで無限マナ

  5. 《無残な収穫》で回収する対象を《欄干のスパイ》に。《欄干のスパイ》を戦場に出し、相手を対象にする。《ディミーア家の護衛》の能力で《欄干のスパイ》を生け贄にすることで、《無残な収穫》の復活が発動。以下、無限に《欄干のスパイ》を出し入れできるので、相手のデッキが切れるまで繰り返す

コンボ始動までの条件

上記のコンボ始動のための条件としては、以下の3点が必要となる。
・デッキの土地が0枚(2枚とも引いている)
・《欄干のスパイ》または《証拠隠滅》が手札にある
・《忌むべき者の歌》が手札にある。
 または《妖術師のガラクタ》が手札か戦場にある。

上記の条件を満たしたのち、最低限《欄干のスパイ》と《忌むべき者の歌》を唱える5マナが必須である。《証拠隠滅》の場合は+1マナ、《妖術師のガラクタ》が手札にある場合は+1マナが追加で必要になる。
《ジャック・オー・ランタン》があるので、黒マナについては《欄干のスパイ》分の黒1があれば大丈夫だが、《ジャック・オー・ランタン》が手札にあったり抜いていたりする場合は、黒2マナを捻出する必要がある。

サイドボードについて

選択肢は多くないです。
墓地対策を対策する《鋳塊かじり》、打ち消し呪文を対策する《強迫》《紅蓮破》辺りがあれば、ぶっちゃけ後は任意かと思います。

メインデッキから入れ替えるパーツですが、極力クリーチャーは抜かない方がいいです。
特に《鋳塊かじり》を入れた場合、《猿人の指導霊》を複数枚ゲームから除外する可能性や、事前に墓地から数枚クリーチャーを除外されている可能性があるので、それらを加味すると最低でも22枚は確保しておきたいですね。

おわりに

最も美しい点は、コンボのコアである《欄干のスパイ》が、そのままエンドカードになるところです。
また、コンボパーツである《ディミーア家の護衛》が、変成で《欄干のスパイ》と入れ替えられることに加えて、生け贄で再生ができることで破壊耐性を有していたりと、すべてのカードにバリューがあるのが素晴らしいです。
この芸術品のデッキ、ぜひ回してみてください。

えっ、《ボジューカの沼》に《幽霊のゆらめき》ですか?あっ…はい…あの…投了します……。

編集履歴

2023/06/20 気前のよいエント/Generous Entの実装に伴い、デッキ調整


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