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Vol.39 証人尋問にて西武信金が自らの不正を証言

2019年5月24日、金融庁が発令した業務改善命令によって明らかとなった西武信金の不適切(不法?)な融資。


<業務改善命令>
第2.処分の理由

当局による立入検査の結果や信用金庫法第89条第1項において準用する銀行法第24条第1項に基づき求めた報告を検証(注)したところ、金庫は業績優先の営業を推進するあまり、内部管理態勢の整備を怠った結果、以下のような問題が認められた。

(1)投資用不動産向けの融資にあたり、形式的な審査にとどまり、不適切な信用リスク管理態勢となっている。

i. 融資実行を優先するあまり、融資審査にあたり、投資目的の賃貸用不動産向け融資案件を持ち込む業者による融資関係資料の偽装・改ざんを金庫職員が看過している事例が多数認められる。

ii. 投資目的の賃貸用不動産向け融資について、融資期間に法定耐用年数を超える経済的耐用年数を適用する場合には適切な見積りが不可欠である中、経済的耐用年数等を証する書面を作成する外部専門家に対し、金庫職員が耐用年数や修繕費用等を指示・示唆するなどの不適切な行為が多数認められる。

https://lfb.mof.go.jp/kantou/rizai/pagekthp027000005.html


さらに、業務改善命令が発令された同日、西武信用金庫から以下の発表がありました。


(注)なお、現状当金庫で把握している計数等は以下のとおりです。
○ 投資目的の賃貸用不動産向け貸出案件を持ち込む業者による融資関係書類の偽装・改ざんを当金庫職員が看過してしまった可能性が高い件数
当金庫の認識では127 件です。そのうち、当金庫が、債務者と面談して調査した結果、何らかの偽装等があったと認められる件数が73 件ございました。その他については、引き続き確認を実施してまいります。

○ 経済的耐用年数等を証する書面を作成する外部専門家に対し、当金庫職員が耐用年数や修繕費用等を指示・示唆するなどの不適切な行為と思われる件数
現存する18 か月間のメールでのやりとりからは258 物件あると確認しています。この期間内の同書面の数との比較では約1 割に相当します。


要するに西武信用金庫自ら不正を認めているのです。


この不適切な行為の問題は


  • 融資期間に法定耐用年数を超える経済的耐用年数を適用する場合には適切な見積りが不可欠であるとされていた

  • 経済的耐用年数を用いた築古物件への融資は、国交省や不動産鑑定士協会もバックアップしていた

  • しかし、ある時期から金庫職員が外部専門家に対して耐用年数や修繕費用等を指示・示唆していた

  • 結果として担保価値に見合わない過剰な融資を反復的に実行していた

  • この不適切な融資を受けた債務者は融資を受けた時点で債務超過で出口なし


私はこの不適切な融資の被害者の一人であると確信し、その被害の回復を求めて活動しています。




2021年4月、不動産鑑定士を提訴した私。
そこから無駄に?期日を浪費し遅々として進まなかった最大の理由は、被告による意味のない主張に振り回されていたからです。
この裁判において被告は本人訴訟で対応しているのですが、被告の主張は何ら法的根拠に基づかない単なる個人の感想や想像レベル。しかもそれらの主張をさらに次の期日で変更したり取り下げたりととにかく時間を無駄にされ続けてきました。
そんなこんなで期日を迎えること15回、やっとのことで裁判の最終段階である

証人尋問

を迎えることになりました。

原告である私が申請した証人は西武信用金庫の内部統制副支店長。この職位は業務改善命令を受けて新設されたもの。
ある意味、敵対的な相手をあえて証人として申請していました。その理由は、先に和解した西武信金とのADRにおいて最初から最後まで参加していた人物だからです。この証人であれば、西武信金の過去からの主張に一貫性があるはずと思ってのことです。

しかし、この内部統制副支店長は私の代理人からの呼びかけを一切無視、何も事前調整ができないまま「裁判所からの呼び出し」となりました。となると最悪欠席ということも想定されたのですが、、、実際には出廷してきました。しかも、ADRの際に一緒に出席していた代理人も引き連れて。

尋問は私の代理人から証人に質問、次に被告から証人に質問、最後に裁判官から証人に質問、という順番で進んでいきました。
まず、私の代理人からの質問において証人は以下の証言を行いました。


  1. 被告の契約の相手方は原告であり、西武信金は取り次いだだけ

  2. 証拠を見る限り、西武信金の職員が被告に対して「費用をかけた修繕後の鑑定評価を依頼した」と思われる


1に関して、被告は一貫して「契約の相手方は西武信金」と主張していました。しかし、不動産鑑定書や請求書の宛先が原告であることからその主張には最初から無理がありました。そして今回の証言によりもはや被告の主張は崩れたということになります。
そして重要なのは2。西武信金が原告の意向を無視して被告に対して勝手に

修繕後の鑑定評価を依頼した

ことが明らかとなった瞬間です。

これは業務改善命令にも記載されている

「経済的耐用年数等を証する書面を作成する外部専門家に対し、金庫職員が耐用年数や修繕費用等を指示・示唆するなどの不適切な行為が多数認められる」


そのものでしょう。
しかも!しかもです。先のADRにおいて西武信金は

不動産鑑定士に対して何ら指示・示唆をしていない

と主張し、その前提で和解に至っているのですが、今回の証言によりその前提条件も崩れたことになります。

この西武信金の行動は、裁判官の琴線にも触れたようです。裁判官から次から次へと質問が続きました。その根本にあるのは


原告の意向を無視・確認しないまま西武信金が勝手に前提条件を付した不動産鑑定を依頼できるのか?その権利はあるのか?


これには証人もしどろもどろ、的確な証言はできませんでした。

これらのやり取りは「証人尋問調書」として裁判所にて文字起こしされ証拠として取り扱わます。



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