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愛猫とのお別れ

金曜日の夜、高齢の愛猫が倒れた。
以前から何度か体調を崩してはもうダメかも、と思わせる場面があったが、ここ最近は比較的安定していた。

以前猫が体調を崩した時、猫が何も食べなくなったことがあった。獣医には「年齢の問題ですね」と言われ、寿命が迫っていることを痛感した。

そんな猫がモンプチのプチグルメというパウチにどハマりし、プチグルメならしっかり食べてくれるようになった。総合栄養食なのでこれだけ与え続けていても問題ない。
腎臓病であったが、食べてくれない療養食よりも猫自身が喜んでくれるプチグルメを与え続けた。
猫は数時間おきにプチグルメをねだる。液体だけ舐めて固形物部分は残してしまうので、月に100袋近く開封していた。

そうしているうちに1年以上が経過。私は前回の体調不良で猫とお別れだと考えていたので、プチグルメのお陰で猫の命が延長されていると思っていた。
プチグルメを食べる欲があるうちは命に問題はない。そう考えていた。

でも2023年3月になってからプチグルメの減りが悪くなった。いよいよ延長された命の終わりが近いと悟っていた。

3月10日、金曜日。仕事から帰宅し、家族が家に揃っている時。猫が苦しそうに倒れこんだ。
ひどい貧血で発作を起こしていた。

発作がおさまった後も自力で動くことができず、抱えてベッドに移動させた。その後猫はまた苦しそうに歩き出し、ペットシーツ1枚がどす黒く染まるほどの吐血をした。

もうどうやっても助からない。これが寿命だと、このまま家で看取る事を決めた。

幸いにも家族みんな予定がない土日だったので、ほとんど寝ずに一緒に過ごした。

土曜日未明はかろうじで歩行できていた猫が、土曜日の朝には歩けなくなっていた。
本能で何度もトイレに行こうとするものの、転倒してしまうのでペットシーツの上で排泄してもらった。猫は悔しそうな声でワォーンと鳴いていた。
もう水も食事も受け付けられない身体になっていた。

日曜未明には完全に寝たきりになっていた。床ずれしたら可哀想なので2時間おきに体勢を変えてあげるが、その度に苦しそうにする。
日曜日は私の布団の上に猫を置き、一緒に横になった。近くに私がいると安心するようで、時折り腕枕をして一緒に寝たり、猫が甘えた声で話しかけてきたり、つかぬ間の穏やかな時間を一緒に過ごした。

日曜の午後には衰弱しきってしまい、もう猫の自我が残されていない状態になってしまった。
昏睡と痙攣を繰り返してつらそうだった。少しでも身体が楽になるようにマッサージを繰り返した。

翌日月曜日の介護の体制をどうするか家族と話し合った。
月曜日は私が在宅勤務なので、またほぼ寝ずの看病をし、仕事中もデスクの近くに猫を置いて看病する予定だった。家族それぞれ寝る支度をし、解散した。

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家族との解散直後。日付が変わって月曜の0:10。猫の呼吸のリズムが乱れていた。
ふぅーと深いため息をついたあと微弱な呼吸になり、荒い呼吸になる。しばらくするとまたため息をついて微弱な呼吸になり、また荒い呼吸になる。

いよいよ別れが近い、そう察し、寝室に戻った家族を呼び戻して一緒に見守った。

0:20頃、ついに呼吸が止まった。
家族と一緒にありがとうと声をかけ続ける。
呼吸は止まっているものの最後の足掻きでしゃっくりを繰り返す。
何度かしゃっくりを繰り返した後、ものすごい形相で全身でもがき始めた。

ありがとう あと少し、頑張れ と家族で声をかけ続けた

動きが止まった後もしばらく心臓は動いていた。呼吸が止まってから思ったよりも長い時間、心臓が動いてくれていた。
心臓の動きが止まるまで何度も感謝の言葉をかけ続け、撫で続けた。

悲しさだったり後悔の念をぶつけることは無く、ただひたすら「ありがとう」「おつかれさま」「最高の猫だったよ」「また会おうね」と、自然と前向きな言葉だけが出てきた。

0:30、ついに心臓が止まり、愛猫が旅立った。

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愛猫は捨て猫で、成猫になってから我が家に来た。前の環境が悪かったのか攻撃的で、保護主からも「この子はひとりでいる方がいい」と言われていた。

そんな猫だったが私に依存するくらい懐いてくれた。家の中どこにいても着いて回り、常に私が近くにいないと落ち着かない子になった。

「この子は我が家に来て幸せだったのか?」
亡くなる前も、亡くなった後も、何度もこの考えが思い浮かぶ。
でも攻撃的だった猫がベタベタな甘えん坊になった。自信を持って「この子は幸せに生きられた」と言わせていただきたい。

お別れの言葉が自然と感謝の言葉ばかりになったのは、悔いのない日々を過ごすことができた証だと思う。

愛猫を失って泣き叫ぶほど悲しい思いをしているものの、寿命まで全うさせてあげることができたかな、と、心の中にはどこか晴れやかな気持ちがある。

愛猫、ひめちゃんへ。
今まで本当にありがとう。あなたは最高に可愛くて、最高に賢くて、100点満点の猫でした。
こんなダメな飼い主に出会ってくれてありがとう。

またいつかどこかで会えることを夢見て。さようなら。

#ペットロス
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#猫との別れ
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