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劇団四季ミュージカル「キャッツ」観劇メモ

ミュージカル「キャッツ」2019.07.13昼公演@キャッツ・シアター

観ました。
この作品自体初めて触れたのですが、ミュージカルとして見たら自分の中でなかなかの衝撃がありました。
その代わり感想が直接的なものしか出てこない……まあ出すか。

* ミュージカル、というより歌とダンスのショー

 すごい動く!足が上がる!跳ぶ!舞台の作りこみもさすがです。座席の前の方は舞台と一体化した回転式で、開演時に動き出したのでびっくりとワクワクが最高だった。そしてキャストが近い!舞台から降りて来てくれるシーンも多かった。座席の間を四つん這いでスィーっと、あるいはのそりのそりと移動する姿はまさに猫。これは「どこに座っても神席」というやつだな…?

* 「ショー」と言うにはあまりにも観客を観客させてくれない

 キャスト扮する猫とよく目が合う。というか、向こうから合わせてくる感覚。そしてその大きな目をもって観客である私たち人間に語り掛けてくる。
くらくらしそうだった。ときには舞台に1匹残し他の猫は客席に降り、全員で一つの台詞を発しながら歩くシーンも。観客を舞台を観ているだけの第三者でなく、第二者「あなた」にしてくる。逃がしてくれない。
(もちろん第三者的な観客の立場だからこそ登場人物に没入し受け取れる感情もあるでしょうし、私はオタクなのでそちらの方が今は好きですが…)
キャッツのこと全く知らずに物語を楽しませてもらおうとしていたら、お前はどうなんだ、人生は、生き方は?と言われているようで少し驚いてしまった。

* 24匹の美しい猫様たち

 登場人物はみな猫なわけですが、生き方の違いやそれから生まれる仕草の個性はあれどどの猫もしなやかで、軽やかで、気高い。いろいろな猫がいて、それぞれの生き方がある。それは人間も同じだ。
私のお気に入り猫様は黒猫のミストフェリーズ(手品猫)と真っ白なシャムネコのグリドルボーン(悪女猫)。悪女猫さんは客席に投げキッスしてくれました。
観ているときは名前と24匹の猫の識別が完全にできなかった…。

* 洗練された動きとそれを表現するに足る肉体美

 スタイルがいい(直球)。猫ゆえに衣装がぴっちりしていて体のラインが出やすい、かと言ってあまりいやらしい感じはなく、毛が短くてスタイルがいいとわかる猫を見たときに抱く感想と似た感じ。
これは少し離れた感想になるけど、今回自分がいかに男女を服装や髪形で判断しているのかというのがわかってしまい少し悲しくなった。というのも衣装であまり男女(雄雌)の差異がなくて、私は見たときに女性か男性かあまりわからなかったからです。体格をよく見るとその差異に気付いたりはしたのですが…そもそもそのキャストが男性か女性かは今回の劇と関係ないので判断しようとすること自体野暮なのかもなあ。
ダンスにおける大人数の動きの統一も取れていて、よく感じる「お、動きがそろっていてすごいな」という感想を超えて完全に同一でした。ここまで別の個体が体の動きを合わせることができるのかと感動しました。一方で仕草の個性を出す部分は出しているメリハリがうまい。これだからまた観たくなってしまうんだよ。

ミュージカルと私と

私はミュージカルを観ることが好きだ。
とはいえ初めて自分の意志で劇場に足を運ぶようになったのはつい数年前、大学生の頃からだ。
ミュージカルの、さえないサブキャラも一度持ち歌の音楽が流れれば誰でも主役になれる、というところが好きだ。(厳密にはサブキャラより脇役としてモブキャラがいることも多いため、誰でも主役とはとても言い切れないけど。)
そんな中でキャッツは先の「観客を観客のままにしてくれない」という構成もあり、ますますミュージカルらしくない作品、という印象だった。主役級に舞台中央によく居た兄貴分猫のパーソナルな部分は結局触れられなかったし。

一緒に観劇した親は30年以上前に観たと言うキャッツ。当時はミュージカルといっても今のように種類が無くて、キャッツはあまり好みではなかったけどチケットを取って一人で観に行ったらしい。劇中歌「メモリー」が懐かしいと言っていた。
30年以上の時を超えて同じ作品に触れることができるって、月並みな感想だけどすごいと思った。単純に作品自体の当時と今を比べたり懐かしむだけじゃなくて、そのときの昔の自分と会える気がする。当時観劇した自分の気持ちや環境を思い出したり、それから今の自分と比べてみたり。私は今20代だから、似たようなことができるのはだいぶ先の話になる。

また10年か、15年か、30年経ったときに美しい猫たちに会いに行こう。
そのときまでキャッツと、この文章が載っているnoteも続いていたらいいなという思いを込めて。

2019.08.11追記

キャッツ新映画化するんですね!?知っていました…?私は知りませんでした。
日本では2020年1月公開だそうです。このミュージカルを、今の時代にどのように一本の映画に収めるのか気になりますね。期待。


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