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#0411202

Aさんへ

多分あなたは、覚えてはいないでしょう。H島の民宿で、泡盛に酔いつぶれたあなたの寝息を聞きながら、身じろぎもできない私がいたことを。

月明かりに照らされたあなたの横顔が息を呑むほどきれいで、それを見詰めながら、一睡もできない私がいたことを。

手を伸ばせば、あなたに触れられる。そんな決意と尻込みを繰り返しながら、何もできずに朝を迎えた私がいたことを。

あなたの前を素通りしていくだけの、旅先の登場人物の1人としてあなたと出会い、そして別れた私がいたことを。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。何らか反響をいただければ、次の記事への糧になります。