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尻屋岬という岬の先に

尻屋岬という岬の先に、寒立馬がいる。取り分け今時分、吹雪の中に立つ姿は、感動的である。そんなうろ覚えの知識にすがって、青森へやって来ました。

「寒立馬は、どこにいますか」とバスの運転手に尋ねても、「放牧馬なんでね」とにべもなく、やむを得ず岬の突端近くの適当な停留所で降りて歩き始めます。

そこには本州と北海道の隙間を縫って大陸からの風が吹き付けていました。「いくら寒立馬でも、何も好き好んでこんな場所に突っ立ってはいないだろう」。

そう気付いても、もう遅い。さっき乗っていたバスが集落で折り返して来る間の数時間、「遭難」という言葉を打ち消しながら、私たちは、そこにいました。

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