ひふみん

ひふみんこと加藤一二三棋士は、タイトル戦の大舞台で長考に沈みながら、次の一手を決めあぐねていた。その時、対局相手が席を外した。

「相手の方にぐるっと回って、盤面を見渡しました。そうしたら何と、素晴らしい手が浮かんできたんです」。この手を境に、加藤さんは、優勢を築く。

ネットの将棋中継では、盤の上下を反転させて映す機能が「ひふみんアイ」の名で親しまれている、という。

恋愛は、将棋ではない。でも、「私にひふみんアイがあったなら」。１テラバイトのハードディスクに君が録り残していった番組を１人で眺めながら、悔やむ。