見出し画像

Yのメール(2)

Yのメールにメールで返す気になれずに、かといって、あの白過ぎて静か過ぎる立方体からYに電話する息苦しさに耐えられず、部屋を抜け出してきた。

深夜の町をうろついた後、片道3車線の街道の歩道橋の上で、私は、意を決してYのケータイに電話した。Yが電話を取らないで、と祈りながら。

2コール目でYが電話に出た瞬間、私は既にシドロモドロになり、「もらったメールのことだけど」と口をついて出た私の声が冷淡で、自分でもびっくりした。

「気持ちは嬉しいけど、Yに恋愛感情なんて持てないし、持ったこともないよ」。台無しだ。がっかりだ。「恋愛感情」なんて、一体、誰が使う言葉だ。


最後まで読んでいただき、ありがとうございます。何らか反響をいただければ、次の記事への糧になります。