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【派遣元事業主(労使協定方式)要確認  厚生労働省リーフレット2件】

5月27日に厚生労働省より通知のあった、令和6年度労使協定に適用される「ハローワーク地域指数」の訂正について、8月1日に2件のリーフレットが追加で掲示されています。

  1. 派遣元事業主に求められる対応(期限あり)  「労使協定方式において一般賃金を算定するために使用する令和6年度適用分の「ハローワーク別地域指数」を訂正しました」

  2. 人材確保等支援助成金(派遣元特例コース)  ハローワーク別地域指数の訂正に伴う賃金制度の見直しには、人材確保等支援助成金(派遣元特例コース)をご活用ください


派遣労働者の同一労働同一賃金

派遣労働者の同一労働同一賃金については、令和2年に労働者派遣法の大幅な改正があり、派遣労働者の待遇を「派遣先均等均衡方式」か「労使協定方式」のいずれかの方法で決定することになっています。

①派遣先均等均衡方式
「給与」「賞与」「退職金」「各手当」「福利厚生」「教育訓練」等あらゆる待遇について、派遣先の正社員等の待遇と比較し均等均衡を図る。
派遣先からあらゆる待遇情報の提供を受ける必要がある。

②労使協定方式
①を採用したの場合、就業する派遣先が変わるごとに、派遣労働者の待遇が変動する可能性がある。
対策として、派遣元で締結する労使協定において、派遣労働者の職種ごとの賃金テーブルを設定し、派遣先が変わっても仕事内容が同一であれば一定の待遇を確保するというもの。
派遣労働者の長期的なキャリア形成に配慮した雇用管理を行うことができる方式とされ、派遣労働者の「昇給・賞与・退職金」についても協定することを必須としたことが画期的であった。
 ※この賃金テーブルについては、毎年厚生労働省が通達で示す
  「一般賃金水準」と同等以上に設定する必要がある。
 一般賃金水準 
   = 職種ごとの基準値 × 能力経験指数 × 地域指数(※)

今回のリーフレットは(※)部分の地域指数の訂正について、影響のあった派遣元事業主に対しての案内となっています。

「ハローワーク別地域指数」の新旧表
https://www.mhlw.go.jp/content/001256588.pdf

訂正前の地域指数で設定した賃金テーブルが、訂正後の地域指数で計算する一般賃金水準を下回る場合には、協定を改定する必要があります。

当然、元の賃金テーブルに基づき決定した派遣労働者の時給についても、確認しておく必要があります。

とはいえ、令和6年度の労使協定は通常前年度中に締結され、4月から適用されていますので、さすがに現行の労使協定が直ちに無効になる訳ではないことがQ&A 一般賃金通達訂正にかかるQ&A で説明されています。

経過措置期間として、今年9月30日までは法違反にはならず、行政指導の対象ともならないが、できるだけ早い目に対応とあります。
遅くとも10月1日には、改定された労使協定が適用されていなければなりません。

また、労使協定の改定後には労働者に対して、新しい労使協定の周知を、時給等の変更についは、労働条件の明示も確実に行うようにします。

新旧表を確認したところ、地域指数は上がったところもありますが、下がったところもあります。

下がったところについても、安易に賃金テーブルを引き下げないよう、こちらもQ&Aに記載がありますので、注意が必要です。

そして、新しい賃金水準について、年度頭の4月に遡って適用することを義務付けてはいませんが、「差を補うことについて労使で十分に検討を」とされています。

なお、遡って差額を支払う場合の支援策としてリーフレットにある「人材確保等支援助成金(派遣元特例コース)」が、創設されています。

【至急までの流れ】
①労使協定の改定
②改定後の労使協定内容を労働条件に適用
 ※令和6年4月1日から改定までの間の差額を補う措置の実施を含む。
③支給申請・審査
「5万円」 +「派遣労働者数×1万円」 の合計額を支給
  ※必要経費の合計が④の合計額を超える場合は、当該経費の総額を上限

【申請に必要な書類】
①助成金申請書
②労働者名簿(申請書別紙様式)
③改定前後の労使協定書
④②掲載労働者の賃金台帳
⑤その他
(経費の総額を上限として申請する場 合は経費を確認できる書面等)

一般賃金をベースに、ある程度余裕のある賃金設定をされている派遣元事業主にとっては、問題にならないところだと思いますが、
一般賃金≒派遣労働者賃金 で設定されている場合には、気の毒ですが、対応が必要です。

なお、都道府県地域指数については、訂正がありませんので、今回の対応は必要ありません。

前職で数百件の派遣労働者の待遇にかかる労使協定を見てきました。労使協定その他、派遣事業について何かお困りごとがありましたら、お気軽にお問い合わせ下さい。



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