例えば、落ちていくだけの夢を見るとして
例えば、落ちていくだけの夢を見るとして。
緩やかに安らかに、ただひたすら垂直に。
頬を掠めて遠ざかっていく景色はまだ、何処に行き着くのかを教えてはくれない。
刹那的な永遠にも思える時間の中で、意識と空間の境界がいつしか曖昧になる。
それでも…
明けない夜も、止まない雨もないのだ。
そして、醒めない夢もまた然り。
それでも…
願わくば、この夢からまだ醒めないで。
せめて、この背中を受け止めてもらえるまでは。
夢見る御魂が醒める前、その記憶に刻まれた。
貴方の落ちた場所