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【プロスペクトランキング2021】まだまだ居るよ!Bsプロスペクト紹介〜投手編〜

『プロスペクト暴力』と言われる割に……?

最下位&知名度が低いからか、他のパ・リーグの選手はある程度知られていても、オリックスの選手は殆ど知られていないんだな…ということを、仮想プロテクトリストの反応でひしひしと感じました。

リアルに10枠あれば事足りそう笑

なことはないので、今回は次世代を担う大型プロスペクトでも特に期待している選手たちに焦点を当てて出していこうと思います。今回はルーキーは含みませんが、ご存知の通り、分離ドラフト終了後で初となる、1位・2位・3位の上位3枠全てを高校生に使う、ポテンシャル全振りのドラフトになりました。
今回紹介しないルーキーの中にも、本当に素晴らしい次代を担う選手たちが多くいます。やる気に満ち溢れたら数が増えるかもしれません笑

(中京高からドラフト2位で加入した元謙太。本家・石川昂弥につぐ稀代のアスリートは、鈴木誠也3世との呼び声も)


現在、2年連続最下位・7年連続Bクラスと低迷が続く中で、永く続く再建期を終わらせるには、特に今回紹介する大型の若手選手がどれだけ主力を張って活躍できるかが焦点になってきます。

現在、主力として出ている多くの選手を控えに回せたとき、ようやく選手としての持ち味が最大限(近く)まで活かされて、主戦+控えの相乗効果でより活性化されるはずです。

そりゃそうだ、単純にレギュラーA・レギュラーBと2チーム組めて、それを状況や対戦相手やコンディションによって臨機応変に組み合わせたり入れ替えられるわけですから。

では、(現実逃避にも近いですが)オリックスが誇るプロスペクトを掲げて行きたいと思います☺

⓪プロスペクトの基準

その前に、プロスペクトの基準を定めておきます。曖昧なままでは、極論『○○歳以下は全部カウント!』ともできてしまいます。

今回は、みしマン(@mishimangn)さんが行った #プロスペクトランキング2021 での基準を採用しようと思っています。

この条件に当てはまるのは支配下20選手・育成17選手の合計37選手です。

とはいえ、若い=伸びしろがある!!と一概に言うのもまた一概にはできないもので、現実の社会と同じで、伸びる人は伸びるし伸びない人は何をしても伸びない、伸び幅も人や環境によりけりなのが事実です。向き不向きも恐らくあります。なので、今回は特に伸びると信じてやまない選手に絞っています。

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① 宮城 大弥
名前→みやぎ・ひろや
投打→左投左打
体格→171cm 85kg
年齢→20歳(21年満年齢)
出身→沖縄県宜野湾市
経歴→興南高⇒オリックス19年①

インステップから投じられる最速153km/h、Ave140km/h中盤のストレートと、変化の大きなスライダー・チェンジアップが特徴のパワーレフティー。ウエスタン・リーグでは1年目から6勝を挙げていきなりの最多勝に輝きました。

最大の特徴として挙げられるのは、もちろんこの特徴的な大きなインステップ。
上背こそ171cmと小柄なものの、リリースポイントを前にしたうえで『横の角度』を大きく付けることができます。
結果として、左打者には『背中から入ってくる』、右打者には『懐に捩じ込まれる』恐怖感を与えられることが最大の強みです。
だからこそ、投球でも横の角度を活かすために、高低ではなく左右に広く使うことが要求されていくだろうと考えられます。

1年目から一軍で計16イニングを投げて16奪三振(奪三振率9.00)、登板の全てで5回以上を投げ、防御率3点代でプロ初勝利も挙げるなど、一軍でも横の角度が通用することをある程度証明することが出来た1年でしょう。

課題としては、横の角度を広く使う中で、更に幾らかの『小さな選択肢』を身につけることではないでしょうか。

今シーズンの宮城は、変化球では大きな変化のスライダーやチェンジアップを主に使っていましたが、これらの制球面に絶対的な信頼はなく、またストレートも一軍の先発投手としては平均的な球速であったため、打者に粘られた際に球数が嵩みやすい傾向にあります。

今期一軍で登板した3登板16イニングで、合計311球、一打者あたりの平均で6.5球を投じている計算になり、これは少し気になる点。
だからこそ、ストレートの軌道から僅かに曲げるカットボール、左打者から見て逆に変化をしてくるツーシームといった、手元で動かし芯を外す変化球があることで、横の角度の恐怖感を維持しながら手数をかけずに打者を抑えられるようになるかと思います。

171cmと小柄ながら153km/hを投じるには、身体の使い方がめちゃくちゃに上手く、かつ柔軟性や可動域の広さがあり活かせているからこその術。
小さく動く変化球に関しても、本人も入団時から自己分析ができており、実際にファームでも基礎固めからではあったもののモノになり始めているので、更にパワーアップした宮城に期待したいところです☺

②前 佑囲斗
名前→まえ・ゆいと
投打→右投右打
体格→182cm 88kg
年齢→20歳(21年満年齢)
出身→三重県亀山市
経歴→津田学園高⇒オリックス19年④

恵まれた体格から投じられる、pop型の浮き上がるような球筋のストレートを武器とする右腕。最速152km/hの直球を最大の武器とするパワーピッチャーです。


日本の至宝・山本由伸から43番を引き継ぐなど入団時からの期待も大きい、次代のイケメンスター投手候補。

この投手が最も武器とするのは、やはり高校時代からかなり評価の高かった、浮き上がるような球筋のストレートでしょう。一部では『(元阪神の)藤川球児を髣髴とさせる』とまでの絶対的な武器です。

https://m.youtube.com/watch?v=Z36Mb9YdsaU


彼がなぜこのような強みを持っているかを簡単に考えてみました。

体幹がどっしりと備わっている状態で、軸足(ここでは右足)でパワーポジションが作られています。
体幹と骨盤が前傾している反面、荷重は軸足の裏に置かれている状態。ここからプレートを強く蹴った推進力を使ってホームベース側に並進するのですが、パワーを伝えやすく、なおかつ安定したリリースに繋がりやすい状態です。

骨盤と体幹が前傾しながら、荷重は足に残っている状態が、安定したリリースに繋がりやすい…ということは、バスケットボールの3ポイントシュートを観ると分かりやすいかなと思っています。
以下の写真は、Bリーグで特に3点シュートが上手く、活躍しているSG(シューティングガード)の選手の様子です。

(川崎ブレイブサンダース・SG/辻直人)

(京都ハンナリーズ・SG/松井啓十郎)

(シーホース三河・SG/SF金丸晃輔)

日本代表の辻や金丸、昨季3pt成功率のリーグ新記録を樹立した松井らを見ても、骨盤と体幹が前傾しながら、荷重が足に残っていることが、安定したリリースに繋がりやすいことがわかるかと思います。

話を前に戻すと、トップの位置での動作の良さも分かります。
肩甲骨をかなり強く寄せることができている(青線)のは、彼の肩周りの筋肉の可動域が広く、かつ使い方が上手い故に大きなパワーを蓄えることができている証です。
身近な例でいうと、弓矢を強くしならせると強く早い矢が前に進んでいく…と想像すると分かりやすいかと思います。

そして、またオレンジ線で表すように胸の張りも素晴らしいものがあり、青線で蓄えられたパワーを少しも逃すことなく持って行けることが分かります。

そして3枚目青線のように大きく肩甲骨で弧を描いて前でボールをリリース!
野球指導でよく言われる(?)『丸書いてポン!』の部分です。
結果として、ここまでで蓄えられたパワーを逃すことなく打者方向へ伝えられているため、彼の最高の武器であるpop型の浮き上がるような球筋のストレートを投じることができていると言えます。

投球後に身体が一塁側へ流れやすく、左右のコントロールが幼い点は課題として挙げられますが(与四球率5.25はかなり多い)、グラブ側の腕の使い方を改善したり、プレートの踏む位置を適宜変えていくことで改善が図られるものと思います。

この絶対的な武器のストレートを武器に、前は二軍で中継ぎ→先発と計画された育成プランを練って登板していきます。

1年目は結果、二軍で24イニングに登板し、イニング数を上回る28奪三振を記録しました。奪三振率10.80!!
これは簡単に言いますが、高卒ルーキーが成し遂げることとしては大変な異形で、2019年ルーキーで奪三振≫イニングを記録した投手は、全12球団の中でも前佑囲斗ただ1人でした。
2位がヤクルト1位ルーキーの奥川恭伸(星稜高)の8.24(19イニング)、3位がこれまたオリックス1位ルーキーの宮城大弥(興南高)の7.39(59.2イニング)。
1年目から60イニング近く投げて奪三振率7.39の宮城も大概に凄まじいのですが、やはりこの数値では高卒ルーキーでただ1人2桁に載せた前がずば抜けているといえるでしょう。

2021年シーズンは、引き続き二軍でローテーション投手として回ることで、シーズン通して投げ続ける体力を身につけること、そして課題となった左右のコントロールの幼さと変化球の精度向上を行うと考えられます。
とはいえ、1年目から彼の持つポテンシャルを証明するには、余りにも意味ある24イニングとなりました☺👏






③富山 凌雅
名前→とみやま・りょうが
投打→左投左打
体格→178cm 84kg
年齢→24歳(21年満年齢)
出身→和歌山県御坊市
経歴→九州国際大附高⇒トヨタ自動車⇒
オリックス18年④

下半身を大きく、テークバックを小さく取るフォームから、【強い】腕の振りからの小気味よいストレートと、【猛い】物怖じしない強気のメンタルで押し込んでいくリリーフ左腕です。
金子千尋(現日本ハム)、青山大紀(現スイーツ店経営)に続く、名門・トヨタ自動車からの高卒の希望。

この図の通り、やはり1番の武器は60%以上を誇る強気のストレートではないでしょうか。

https://baseballdata.jp/playerP/1800101_4.html
http://www.baseball-lab.jp/player/detail/1800101


投球配分表・チャートから分かるように、徹底して持ち味のストレートをめいいっぱいの力で投げ込み続けた富山。
そこから左投手では珍しい140km/hを超える落差の大きなフォーク、もしくはゾーンいっぱいor高めで釣って三振を奪うのが彼のお株です。

左腕の中継ぎでは、変則的なサイドスロー(F・宮西・H嘉弥真・L小川ら)やチェンジアップ使いの投手(Bs山田・E辛島ら)が比較的多くを占める中で、ストレート+フォークの高低差で制圧するパワーリリーフは近年かなり減ったように感じます。
そのかつてのフォーク使いのサウスポーを思い出させてくれる有望株の投手は?となると富山になるのではないでしょうか。

やはりこのフォークは空振りを奪うには非常に優秀な球で、特に、高いアームアングルから角度を付けた状態で、常時140km/h前後のフォークを投げてくる富山の威力は抜群です。

一軍で投げ始めるようになった初めての年とはいえ、フォークだけでの空振り率は16%。
ボールならフォアボールとなるフルカウントでの決め球として使う機会も多々あったにも関わらず、結果としてフォーク全体で四球を1つしか出していないことを踏まえると、打者から見た富山の角度とフォークの落差は想像を超えるものがあったと推測できます。

①リリースポイント(黄=ストレート・緑=フォーク)
②高めストレート
③低めフォーク
ほぼ同じアームアングルから、(大阪ドームのマウンド傾斜角が比較的キツめなのもあるが)角度を付けて抑える。手首の使い方もgood

富山が好む高めストレート+低めフォーク、そこにゾーンのストレートを組み合わせる方式は、高低差をより感じさせることの有効性をある程度見いだせたものの、同時に課題も見つかったように見えます。

特に、クロスファイアーの概念がない左打者に対しては、高め勝負を好む傾向があり、結果としてそれがフライ傾向の高さに繋がっているといえるでしょう。
コマンド能力が高くなく、空振り率も2.6%と一軍レベルではかなり低い水準のため、ここで粘られると、与四球率4.91が示すように四球に繋がったり、逆に四球を嫌がって甘く入ったときにはストレートを痛打されるといったケースが目立ちました。

※この試合では先頭鈴木を追い込みながら四球、浅村・島内に甘く入ったボールを痛打され、2死後安心した所で辰己に真ん中ストレートをバックスクリーンへ完璧に運ばれた。

1点勝負となっていく中継ぎ投手として生きるためには、四球で貯めたランナー(与四球率の悪さ)を長打で返される(被本塁打数・フライ率)ことは絶対に避けなければなりません。

と同時に、彼の持つ物怖じしない性格は、チームにエナジーを与え流れを引き込みやすい・引き戻しやすいという効果を持っているともされます。

2020年シーズンで一軍に2ヶ月ほど帯同したうえで、打たれる怖さ・抑えることの面白さの両面を味わったはず。だからこそ、『打たれる怖さ』に収縮して持ち味を消すのではなく、打たれる危険へのケアをしながらも持ち味のエナジーを与えるパワーピッチで流れを引き戻す役割に期待したいと思います☺




④村西 良太
名前→むらにし・りょうた
投打→右投左打
体格→174cm 72kg
年齢→24歳(21年満年齢)
出身→兵庫県淡路市
経歴→津名高⇒近畿大⇒オリックス19年③

【プロテクトリスト】に引っかかるかどうかは微妙なラインですが、個人的にポテンシャルモンスターと思っているのがこの村西良太です。
最速152km/hのストレートを武器にするサイドスローながら、横手投げの投手としてはNPBで唯一、スラッター+フォークを武器とする異色の投手。
近畿大からは、自殺によってこの世を去った小瀬浩之(故・24)以来、実に12年ぶりとなる指名選手です。

この選手は本当に球種構成が面白いんです。

アームアングルは完全にサイドスローなのに、まるでオーバースローが投げているかのような球質のボールを投げ、大小2種類のスライダーと回転を変えた2種類のフォークボール。

スライダーはサイドスロー特有の、利き腕逆クロス方向(右打者から見ると遠ざかる形)に緩く大きく変化する、いわゆるフリスビースライダーと呼ばれるものと、ゴロを打たせるようの縦のカットボールが、サイドスロー特有のアングルによって横変化も付き、結果としてスラッターのような軌道を見せるものの2つ。

フォークは共に130km/h後半〜140km/h前後で、指先の力を入れる場所を変えて2種類を操っているように見えます。
1つ目は、さながらオーバースローの投手が投げてるかのような大きな落差を見せるフォーク。これは手首が立っておりストーンと落ちていく形です。
もう1つが、予めシンカー方向に縫い目を向け、人差し指→中指でリリースの力加減を変えること(?)で、利き腕方向に変化しながら落ちるシンカーのようなフォーク。これが実質的にチェンジアップの役割も果たしており、スライダー・フォークともに、場合や展開や打者によって器用に使い分けている強かさがあります。


その一方、コントロールがかなりアバウトで、メンタル面からも制球を乱しやすいことが最大の欠点のように見えます。

近畿大時代から、下級生時は中継ぎ投手として登板を重ね、小寺兼功(JR東海)・岡田和馬(JR西日本)ら上回生の先発投手が抜けたラストシーズンは、先発投手としてリーグ戦だけで計99.1回と、ほぼ100イニングを投げる大車輪の活躍を果たしました。
とはいえ、4年次の99.1回での四球率は4.17と少し高め。
また、カウントが悪くなるにつれて、露骨にストライクを欲しがる傾向もあり、力の入れ加減からボールが明らかに抜けたり叩きつけて左バッターボックスへ飛んだりと、荒れたシーンも顔を覗かせました。
ボールの威力で勝る大学時代は通用していたのですが、プロ野球の打者にはそうも行かず、連続フォアボールでランナーを貯めて痛打されるなど、プロの壁の高さを痛感する1年に。

ボール自体は一軍でも十分に勝負できるだけの質があるだけに、リリースの安定に繋げることで、課題のコントロールを改善することが最優先になるでしょう。

それでも、最速152km/hのストレートに加え、2種変化のスライダーとフォークを自身の武器とするサイドハンド という彼が持つ特性はNPBでも唯一無二です。
クォータースロー投法を武器とする阪神の青柳晃洋など、このような唯一無二の投手は、1つきっかけを掴めば、サンプルが居ないことによる対応の難しさから、他の一般的な投手よりも大きく化ける要素・重宝される要素を持ち併せていると思っています。

現在右肘痛で故障離脱中ながら、持っているポテンシャルの高さを評価して、今回紹介させていただきました☺



第2章の〜野手編〜続く〜!!
いつになるかは分かりませんが、なんとか1月頭までには…?

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