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位置ゲーをしていたらステージに向けてみんなでペンライトを振っていた話

この記事は Ingress & Wayfarer Advent Calendar 2022 の12月23日担当分として木野陽(IngressのIDはRikka6)が書きました。(Twitterはこちら

長文になってしまったので目次を見て気になる部分をご覧いただければ!

1.はじめに/経緯

みなさんはコンサートやライブで盛り上がったことはありますか?
暗いホールの客席にペンライトの明かりが満ちてステージと対話するようすはものすごいそうです。わたしも映像で見たことはあるけど経験はない……

このたび、ひょんなことからゲーム大会合わせでペンライトを自主製作し、実質ライブ会場でみんなで振るというおもしろ体験をしたのでまとめてみようと思います。

木野の遊んでいるIngressという位置情報ゲームにはその全国大会(実質世界大会)となる大規模イベント「アノマリー」があります。最大規模になった2016年には1万人以上が東京・お台場に集まりましたが、感染症拡大の影響により、日本では2019年3月の東京開催以来すっかりリアル開催はお休みとなっていました。

しかし2022年、ついにアノマリーのリアル開催が帰ってきました。日本でも12/10に横浜で「EpiphanyDawn Yokohama」が催されるというのです!
感染症対策で規模はいくぶん縮小されるものの、実際にプレイヤーや開発者が集まり、Ingressでバトルをしたり、交流したりできる!!

アノマリー情報を調べてわくわくしていると、わたしの仕事仲間(辺境屋の長いほうの人)がとあるグッズをとり出しました。

六角形で暗闇で青く光る……!

アニメイベントの物販で買ったペンライトです。
わたしの仕事仲間は「蒼穹のファフナー」という作品の熱心なファンなのですが、昨年、久しぶりのリアル開催となったアニメ17周年(歴史が長い)のイベントに参加して物販でペンライトを買ったそうです。そして会場のみんなでこのペンライトを振って感無量だったらしい……横浜で。

「これのIngress版を作って、アフパで振るといいんじゃないか」

彼はペンライトを少し傾けて(6角形を縦向きにして)そう言いました。

たしかに

アフパとはアフターパーティーの略で、アノマリーのバトルの後に催される交流会も兼ねたステージイベントです。バトルの結果発表をはじめ、開発者やスポンサーが登壇しての新情報発表などで盛り上がります。

思えばIngressも10周年。久しぶりのリアルイベントだし、ライトも6角形だし、見れば見るほどイングレスに見えてきました(?)。

まだアフターパーティーの開催をはじめアノマリーの詳細情報はなかったのですが、「これ、アノマリーが復活した時のお祝いでみんなで盛り上がれるといいよね」「作ってアフパでみんなで光らすとめっちゃいいじゃん?」と話がトントン拍子に進みまして……

しかし、その当時はまだ世界で見ると感染症流行のまっただ中、アノマリーが開催されることはなく、この企画の話はお流れになっていました。

1年経っての2022年11月、プレイヤー有志の主催で、公認の自主制作グッズ頒布会も開催されることが発表されました。公式とライセンス契約を結びIngressのロゴなどを使ったグッズを頒布できるという、同人作家には破格のイベントです。つまり、Ingressのマークを使ったペンライトも公式の監修を受けて堂々と頒布できるということです。

これはもう、ペンライトを作って頒布会に出品するしかない……!
ペンライトは決して安くはないグッズなので、さすがにこしらえて無料で配るわけにはいかなかったのですが、頒布会に出品してみんなで共同購入すれば、大人数でアフパで振ることができるはず……!!
わたしはさっそく出店申し込みをしました。

2.目標とする状態

12/10EpiphanyDawnYokohamaアノマリーのアフターパーティーにおいて、みんなでペンライトを振る。

ちなみにこの目標を見据えた時点で、アノマリーまで残りあとひと月。しかも公式からのアフターパーティー関連情報は未発表でした。でもTBDじゃなくてTBAと書いてあったので開催されるはず……!という見切り発車です。

3.ペンライト製作の準備

まずはペンライトを製作するめどを立てます。デザインを起こして、アクリルペンライトを取り扱っているメーカー数社に見積もりをとりました。最近は名入れ商品としてアクリルペンライトを気軽に作れるようになっているのですね!小ロット対応のお店では10本以下でも作れたりします。

ライトのデザインは、誰でも手に取りやすいものにするためあまりよけいなことを考えずシンプルなものにしました。エージェント頒布会で公式とのライセンス契約をして扱う品物なので、ありがたくIngressのマークやロゴを使わせてもらいます。ただし、点灯時に強く光る部分を増やすためにマークには少しだけ手を加えました(六角形の内側にグラデーション部分を加筆)。

入稿したデザインと完成イメージ

ちなみに1本で11色に光る切替式の製品にしたので、青と緑のIngressの陣営を問わず使えます。ほかの色もなにかと使い道がありそうですし、単色だと数の管理が大変になりそうだったので助かりました。

カラーバリエーションのイメージ図

また、メーカーに相談して、ライト上部のアクリルパーツ単体のアイテムも製作をお願いすることができました。交換用アクリルプレートABCということで、両陣営のマークとアイドル応援っぽさ(?)を加味してあおみちゃんの図柄を用意してみました。

メーカーさんから届いた追加パーツの完成イメージ抜粋

交換プレートだけで売っている市販品をみかけなかったので、ほしいかたがほんとうにいらっしゃるのだろうか……とアンケートを取ってみたところ、まとまった数の票をいただけたので、ありがたく製作を決定しました!

4.告知から製作決定までのようす

というわけで、製作のめどがたったので、企画の告知をします。
ロット数の都合上少量では割高になってしまうのと、ほしいかたには品物が行き渡るようにしたかったので、事前にみんなの注文をなるべくたくさん集めて共同購入を行うという形式にしました。100個のご予約をいただいたら企画成立というクラウドファンディングみたいな雰囲気です。

先行予約受付期間は納期から逆算するとまさかの実質4日間でした!!!!あまりにも猶予が短くたいへん恐縮だったのですが、一晩で90以上申し込みが集まり、すぐに100個をこえたのはとてもありがたかったです。

また、なんとか申込期間内にメーカーさんから試作品が届いたので、現物の雰囲気を見ていただいてのご予約受付ができました。
実際に光るところを見るとテンションがあがります……!

駆け抜けた4日間でしたが、11/23に締め切り、先行予約をいただいた数に予備を加えて11/24にメーカーさんへ本発注!となりました。これで届くのを待つばかりです。

5.お渡しまでの手順

少し時系列が戻りますが、今回のご予約からお渡しまでの流れはこんな感じでした。
予約フォームで申し込みを受け付け→フォームを送ると予約内容の確認メールが届く→代金を入金→アノマリー前日~頒布会までのお渡し会で受け取り

多少ぶっきらぼうなところはありますが、主催側の手間を削減するために確認メールが送られるのはトラブルがない限りフォーム送信時の1回のみとし、あとは専用サイトとTwitterで情報を更新していくことにしました。(おかげでだいぶ楽に対応することができました、ありがとうございました)

予約フォームの例はこんな感じです。(実際には途中から通販に対応したり、交換用プレートを追加したりで多少フォームのバリエーションを増やすことになりました)

先行予約フォームの内容

また、フォームの送信内容を見て人の手で確認メールを出すとかなり大変なので、Google Apps Script(無料で使えます)を用いて自動で予約内容を返信するしくみを用意しました。その際、申し込み1件ごとに「予約番号」(なんでもいいけど4桁の数字にしました)を付与しておき、お渡し時に予約番号とニックネームを照合しました。

予約確認メール
予約者専用ご案内ページ

以上のような感じで案内をさせていただきました。
個別の質問やイレギュラー対応はメール、DM、Telegramを使用しました。今回の企画はわたしと仕事仲間の2名での管理でしたが、以前似た内容の企画(どんぶりの製作)をした時よりだいぶスマートに実施でき、今のところ大きなトラブルなく対応ができているので良かったと思います。

ちなみに先行予約の最終日、ついに公式からアフターパーティー開催情報が発表されました。よ、よかった……!ありがとうございます!!

6.いよいよ本番!アノマリー開催

アノマリー前日の12/9からお渡し会を実施しました。いろいろ調べたのですが、規模や天気予報も見てオープンスペースで行うことにしました。
エージェントらしく、目印はそれっぽいポータルです。

密にならないか、園内のかたへご迷惑をおかけしないか、その他おこられが発生しないかと心配する点もありましたが、問題なく実施できました。

ちなみにお渡し時の確認は、予約番号とニックネームをうかがってご注文内容を照合するという流れで行いました。簡単なフォームを用意して、番号で検索できる&受け取り済みのチェックができるようにしていました。

べんりスクリプトを作ってもらいました

(一部受け渡しのチェックを忘れてしまい、後日未渡しの連絡をしてしまったかたがいました……もうすこし確度の高い手順にしたほうが安心でした、申し訳ございません)

アノマリー当日も、午前中およびバトル終了後にお渡し会をしました。最後のほうはだんだんアフパ会場に近づいて、大さん橋の手前の位置をTwitterでつぶやいてそこに来てもらうというなかなか限界な方法でしたが、お時間ギリギリまで受け取りに来ていただけました。
限られた時間でしたが、多くの方に協力いただき、予約数の約2/3、120個以上をお渡しできたと思います。

そしていよいよ18時……公式アフターパーティー会場でわたしはドキドキしていました。できることはやってライトをいろんなかたに受け取っていただいたけれど、会場でほんとうに光るのか……!?

それは、なんだか夢のような1時間でした。

この時のために準備したので、ちょっとははずかしいセリフを言ってもいいんじゃないかみたいな気持ちでつぶやいたのが上に引用したつぶやきです。
前回の国内リアル開催アノマリーから4年近く経っていてあまりにも久しぶりだったので、懐かしかったような、新しかったような、ふわふわした気持ちでアフパを見ていました。そして、夢中でライトを振りました。

500名の会場でもし100名が振ってくれたらものすごいな……と皮算用していたのですが、さすがになかなかそうはいきませんでした(笑)。
でも、客席の最後方からみて、あちこちでライトが光っていました。各々のチームカラーになっていて、拍手のタイミングでわーっと振ってくださってる様子はじわっと感動しました。複数本振ってくれたかたもおられました。

もえつきた気持ちのつぶやきが残っていたので貼ります↓

自分ではほとんど写真が撮れていなくてあとで少しへこみましたが、後日公開された集合写真やレポート記事にも写りこんでいて嬉しくなりました。

果たしてペンライトを振ってもらうことで誰かから誰かに気持ちが届いたのか?壇上におられたかたからの明確な答えはきけていませんが、光が見えていたらよかったなあと思います。

7.頒布会・事後の手続き

アノマリーの翌日は、MDと並行してエージェント頒布会が催されました。わたしも出店者として同人誌やファングッズを頒布するかたわら、ご予約の方へのペンライトお渡しを実施しました。当日頒布分も用意し、持ち込んだ予備のペンライトのほぼすべてを販売しきることができました。

頒布会の翌日12/12までが通信販売の申込期間だったので、この申し込みを締めた後、メーカーさんに追加生産分の発注をしました。年明けに納品されるので、品物が届き次第通販の申し込みをしてくださったかた向けに発送します!これがおわればひと段落です。
なんだかんだで約300本、以前作ったどんぶりと同じくらい製作しました!みなさまの手元でまた何かもりあげたい行事があったときに光らせていただけると嬉しいです。

8.みなさまの声

ご予約フォームにひとことメッセージ欄を作っておいたところ、100以上のあたたかいお言葉をいただきました。準備と実施にあたり、すごくはげみになりました……ありがとうございました!!

それからTwitterでも感想やお写真をいろいろ書いてくださったみなさま、ありがとうございます!わたしが返信できたツイだけになりますが、ちょっと紹介させてください!

あと、アフパで振るよーって言ってくださったかたのおひとりに「赤色にできるので、RedFaction(献血応援プロジェクト)の紹介の時に赤くして振れます!」というコメントをいただいたのが印象深かったです。いろんな色にできてよかった……わたしもそうしたのじゃ

ファミ通Appの頒布会レポート記事にも写真、コメントが載っていました。いつも丁寧な記事を載せてくださっている深津庵さんありがとうございます!

このほか、いろんな場所で嬉しいコメントをいただきました。仲間内の打ち上げで活用してくれたかた、地元へのおみやげにしてくれたかたもいらっしゃってほくほくしています。みなさまどうもありがとうございました!!

9.反省とお礼

今回は告知から予約締切までも、お渡し会の時間も、とにかくすべてが短期決戦となりました。また、途中から通販対応を始めたなど変更点がぽろぽろ出てきた割に告知手段と回数が限定され、声掛けが届かなかったかたも多かったのではと思います。申し訳ございません。
余裕をもってできるに越したことはない……!

また、難しいなと思ったのはペンライトとしての価格設定でした。製作数が少なく短納期なので、生産原価がどうしても割高になってしまいます。一般的なライブの物販ブースなどでは2000~3000円ほどで取り扱いのあるものなので、今回設定した1800円は少しでも安く設定しようというラインでした。
実際コンサートによく行かれるかたからは「安い、良心的」というコメントをいただけて嬉しかったですが、それらが身近でないかたからは「うわっ高い!」というコメントもいただいたので、申し訳なかったです。

とはいえ、多くの方にご協力をいただき、大きなトラブルなくお渡しまでを終えることができました。みなさまに大感謝です。(年明けに通販分の発送が待っているのであとそこだけがんばります)

あとどうでもいい反省(ご予約受付でわいわいしてたらソジャーナ切れた)

そして謝辞です。

この企画を一緒にやってくれた(そしてスクリプトをもりもり書いてくれた)辺境屋の長いほうの人とお渡し会&頒布会のお手伝いをしてくれたgloriouswishさんに感謝を。いつもありがとうございます。
そしていろいろな相談に乗ってくださった頒布会PoCのDragonJapanさん、大変お世話になました。どうもありがとうございました!

10.まとめ

まず位置ゲーの記事で位置ゲーの話をほとんどしてない! ……のですが、そういうところも含めて何か課題にぶつかったり新しいことへの挑戦ができたりするのも「うんうんそれもまたインカツだよね」ということにさせてください。

さて、今回の企画ですが、個人的な思いもありました。その気持ちのもとは1年前にいただいた「Edgar Allan Wright」のメダルです。

Ingressのストーリーやコミュニティに貢献した者が受け取ることのできるメダルということで、たいへん光栄でした。
といいつつも「わたし勝手にファンアート描いてただけだしなあ、何か恩返しになることができればよいなあ」と日々思っていましたので、今回のペンライト企画はちょうどそんなことができるかもしれない機会でした。
イベントのもりあげとみなさまのコミュニケーションに少しでも貢献できたなら、言うことはありません。

リアルイベントの少しずつ戻ってくるなかで、また新しい人や場所との出会いを気軽に楽しめる日常が近づいていることをじわじわ実感しております。来年もすてきな年になりますように。みなさまよいお年をお迎えください。


この記事は Ingress & Wayfarer Advent Calendar 2022 の12月23日担当分として木野陽(IngressのIDはRikka6)が書きました。(Twitterはこちら


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