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約束

わたしの両親がついに離婚をすることが昨日決まった。それまでは会話が全くなくても、顔を合わせれば言い争いが始まっても、公的な文書では夫婦は夫婦だった。約束があったから。

それなのに友だちというものは。
仲の悪い夫婦なんかよりも友だち同士のほうが仲が良いのになんの約束もない、ある意味いちばん脆い関係性。気がついたら、もう二度とこの世界では会えないなんてことになっているかもしれない。それほどに脆い。
正直なところ、相手が親友ちゃんでなければ「友だちってなんの約束もない! 脆い!こわい!」なんて不安になったりはしない。

恋愛感情? そんな単純なものじゃない。
もっと大きくて、きっとずっとなくならない感情なんだけど、未熟なわたしにはそれが何か分からない。添い遂げたいとは断じて違う。わたしはわたしで誰か素敵な人と結婚したい。強いて言えば、良い表現が見つからないから妥協して言えば、親友ちゃんと姉妹になりたいってことなのかもしれない。
わたしには妹がいる。妹との関係性は何があっても絶対切れない。血縁関係という約束があるから。わたしは親友ちゃんとの間にこれを築きたかったのだと思う。ずっとそうだ、たぶんずっとそうだったんだ。わたしは親友ちゃんの親族になりたかった。恋愛関係じゃなくて、血縁関係をもちたかった。でもこんなのは後出しか。そのときのわたしが何を思っていたかは今では美化されてしまった。
気持ち悪いな、恋愛感情のほうが分かりやすいもんね。なんだかここまで来てしまうと、わたしの考えていることが異様で気持ちが悪い。
でも今は確かにこれだと思う、もしくはこれに近い感情。だってそうだ、親友ちゃんが血の繋がっていない教会の人たちのことを、兄弟姉妹、家族みたいな関係って言っていたときでさえ、わたしもそれが欲しいって思ってしまったから。わたしはその肩書きを手に入れられないのに。

死はこわい。わたしが死んで親友ちゃんが涙することがなければいいけど、地震ばかりの、災害だらけのこの国でわたしがいつ消えてしまうかは分からない。
残された人たちに、わたしと親友ちゃんの繋がりが何もないと思われるのは悲しい。友だちだったと、仲良くしていたと認めてもらえる約束がないからこそ、noteに書いて残しておきたい。
そもそもnoteを始めた当初は、自分が死んだときに家族に読んでもらおうと思って書いていた。突然わたしがいなくなっても、わたしが生前考えていたことを目にできる機会があれば、ちょっとは支えになれるだろうと思ったから。親友ちゃんに読んでもらおうという目的なんて全くなかった。親友ちゃんにだけは、絶対にアカウントをばれないようにするつもりだった。それが今では、親友ちゃんをその枠組みの中にいれてしまった。むしろ、親友ちゃんがメインターゲットになりつつある。
親友ちゃんがわたしの考えを読みたいと思っているかは分からない。それほどわたしに対して思い入れがあるかも分からない。だから親友ちゃん宛に書いている今では、これはただの自己満足だ。でも、もしもわたしがこの世界からいなくなったときには、そういえばこんなのあったなーってこのアカウントのことを思い出してくれたら嬉しい。わたしのnoteがちょっとでも親友ちゃんの心を癒せたらいいな。そのためにわたしは親友ちゃんへの重たいくらいのらぶをたくさんたくさん書いているんだから。そして、またいつもと同じ生活を送れるようになって、それを何万日も繰り返して。何十年後、この世界に満足したそのときには「ひーちゃん久しぶり」って言って会いにきてね。今度こそ、雲の上に秘密基地を一緒につくろうね。

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