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あー、言わなきゃ良かったな。その1

いつも行く病院なり、お店なりで何回も遭遇する人がいる。自分はうっすらと覚えているが、以前会社の取引先で二言三言くらい話した事がある、その程度の知り合い。
相手は気づいてるような、忘れているのか微妙な感じなのだが。

その日、午後から半休を取った私は定期受診で近所の病院に行った。
いつもは割と待合が混んでいるのだが、その時に限って何故か空いており患者は私1人であった。ラッキーだな、と思い診察を終え会計を待つ。
誰かが入って来る気配を感じたが、いつもなら気にならないのにふと顔を上げると、よく遭遇する知り合いのあの人だった。思わず目と目が合い軽く会釈をした。
あまりに何回も出会うし、今2人しかいないし、話しかけようか考えるより先に口が勝手に喋っていた。
「あの、以前〇〇会社におられた方ですよね」
「あ、なぜそれを…あぁ、そうです。。」
微妙な空気が流れる。タイミング良くすぐにその知り合いは診察に呼ばれ、また軽く会釈をして中に入って行った。
私は会計待ちだったので、その話しかけただけのタイミングでその場を後にしなければならなかった。
(あぁ、あの感じは話しかけない方が良かったやつだ)
私は自分のせいで、あの人に遭遇するたびに恥ずかしい思いを蘇らせなければならない。いやそれも、自分の蒔いた種…

あー、言わなきゃ良かったな。   

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