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漫画紹介「からかい上手の高木さん」

※再掲載記事です。

ジャンル:ラブコメ、既刊14巻

連載は小学館「ゲッサン」、作者は「それでも歩は寄せてくる」の山本崇一朗先生です。累計820万部の大ヒットラブコメなので、知名度はあると思います。ただ、何故か敷居が高いタイプの漫画なので、これを期に読んでみてほしいです。

・あらすじ

男子中学生、西片は今日も同級生の高木さんにからかわれます。負けず嫌いの西片はそれが悔しくて、いつも高木さんに勝負を仕掛けます。からかわれながらも、距離感の近さにいつも強気に出られない西片ですが、実は高木さんの方こそが……

・魅力その1、二人の関係

西片くんは年相応に幼くて、思考回路も単純なので分かりやすいです。ですが高木さんは当初、何を考えているのか分からないタイプでした。西片くん目線からすると、なるほどまさにからかわれているだけ。ですがメタ的な視点からみると、高木さんの「からかい」は大抵の場合、アプローチを仕掛けているだけです。高木さんの真意を読めずに五里霧中を徒手空拳するように足掻く西片くんと、全てを手のひらで操っているような高木さんとの関係性は、高木さんから見たクリアな視点と、西片くんから見た手のひらの上からの視点と、第三者から見たいちゃいちゃの視点の三つが楽しめます。

いつもどぎまぎしている西片君よりも高木さんの方がよっぽどこの関係を楽しんでいるのがミソです。

西片くんの事が好きすぎるあまり、神出鬼没のサトリと化した高木さんの心情を考えると、なかなか楽しいですね。

・魅力その2、付かず離れず

二人の関係はいつも、付かず離れずです。決して露骨な恋愛関係には発展しませんが、友人という枠からは明らかに逸脱しています。恋人ではないにも拘わらず、お互いがお互いを特別だと認識している仲……文字通り「友達以上恋人未満」な関係が延々と続きます。

人間関係は変化していくから面白いという考えはわたしの基本的な思想なのですが、ラブコメにおいてこの距離を維持し続けるというのも、立派な一つの魅力としてわたしの琴線を刺激しました。

・魅力その3、サブキャラは友達止まり

二人の関係は、大抵の場合二人だけで完結しています。誰かを介してのコミュニケーションという意味では第三者が絡む事もありますが、そこに二人の間を割って入るかのような無粋な人物はいません。ラブコメにおける「対抗馬の不在」というわけです。

西片くんに好意を寄せているのは高木さんだけですし、その逆も然りなのです。誰が誰と結ばれるかという、ラブコメにおける大きな波乱がまるで無いので、常に凪のような穏やかな気持ちで読む事が出来るのです。

総評

ラブコメとしては、少し変わった作風です。普遍的という意味ではどちらかと言うと日常系に近いといえば分かりやすいでしょうか。

物語の縦軸を全て捨て去って、ラブコメの甘い部分だけを抽出した漫画だと言えましょう。好きな人には、最高に刺さる事請け合いです。

私的好感度76/100、オススメ度82/100

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