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感想「トニカクカワイイ 12巻」

今月18日、「トニカクカワイイ」最新刊が発売されました。早速語っていきたいと思います。

・漫画紹介

紹介記事をリンクします。

・前巻までのあらすじ

前巻の感想記事をリンクします。

以下、最新刊のネタバレ注意!

司ちゃんの秘密に迫った前巻とは対照的に、直接的に物語の縦軸に関わりの無い恋愛色の強い話が多かった印象でした。主にナサくんがボランティアで務めるようになった女子高の生徒達とその周りを取り巻く諸々について。

一話ごとに語っていたら時間が足りなくなるので、キャラごとに語って行きます。

・ナサくん

主人公のナサくん、可愛いです。

人が良いばっかりに、基本的に振り回されっぱなしのナサくんですが、司ちゃんが相手の時だけは振り回されるだけではなく、振り回す側に回る事があるのがなかなか良い関係です。特別な相手に対してだけ態度が少し変わるというのは、恋愛的に美味しいですね。

たとえば司ちゃんが女子高生のコスプレをした回。実年齢はともかくとして、外見年齢は18歳……現役高校生と同等のナサくんとほぼ同じくらいなのだから照れる事は無いとは思うのですが……本人的には「あられもない姿」と感じているのは、彼女自身の感覚的問題なのでしょうか。

まあ、普通にコスプレですしね。

で、この時のナサくん。普段から他人の意見に流されがちなナサくんにしては珍しく、嫌がる司ちゃんに対して食い下がります。やや強引に愛を囁くナサくんは、ちょっと他では見られない感じで美味しいです。ナサくんのこういうところは今回に限らず、結構いろんな場面で点在しています。読み返すと砂糖を吐き散らかすハメになりますが、やってみると楽しいでしょう。

振り回され役のナサくんが他人を振り回す例としてもう一つ、彼がその天才性を遺憾なく発揮している場面が挙げられます。今回だと113話の職員会議をしている場面でそれが見られます。「野生の天才」「僕また何かやっちゃいました?」とか言われてるシーンで、大人達を唖然とさせている状況はまさに、彼が他人を振り回していると言えましょう。本人にはその有能さの自覚があまりありませんが。

しかし、こういう無自覚な活躍シーン、誰かを彷彿とさせますね。

前作主人公の「ハヤテ」が近いイメージだと思います(画像はランダム)。

ただしナサくんの場合は身体能力は平凡で、その分抜きんでた頭脳を有しています。性格や有能さは似通っていますが、その辺りで結構キャラクターとして違う印象がありますね。

何よりナサくんには伴侶がいます。いわゆるハーレム系主人公だったハヤテとは、割と根本的な部分が違うのです。

それでもやっぱり似てるんですよね、ナサくんとハヤテは。

そのうちナサくん、女装したりしないでしょうね……?

・司ちゃん

ヒロインの司ちゃん、可愛いです。

前回ミステリアスな姿をたくさん見せてくれた司ちゃんですが、今回は打って変わって普通の人という印象でした。

彼女にどんな謎があろうとも、ナサくんの事が好きなであるという一面に関してはどこまでも揺るがないという、そんな安心感を得た巻でした。

本当に普通なんです、彼女。定期的にナサくんに甘えたがるし、人並みに嫉妬もする……なんならちょっと重めの、多少面倒なタイプの恋人です。ナサくん自身がそれに関して何ら煩わしさを感じていないので、気にすべき部分ではありませんし。なんだこのバカップル。

印象的だったのは、118話の司ちゃん視点の回。脳内会議をはじめとする彼女視点で紐解かれるナサくんへの想いの普通さというか、裏表の無さというか、そういうものが如実に表されています。

ナサくん抜きの司ちゃんが結構挑戦的なのもミソです。彼女や綾の思い付きで話が回る事が多いので、メタ的な発言力が高く、キャラクター的に好感が持てます。意外とポンコツなのも良いです。それでいて料理をはじめとする、ナサくんが持ち合わせていないスキルを埋め合わせる力があるのが夫婦としてお似合いすぎて、二人合わせて最高のキャラだと思いました。

・東宮校長

ナサくんが通う御伽女子の校長です。えらい若い校長で、ノリが軽いです。とりあえず今のところただのモブキャラの一人なのですが……

この東宮という特徴的な苗字、聞いた事があります。「ハヤテのごとく!」におけるハヤテやナギのクラスメイトの一人が確か、この苗字だったと思います。この関連はただの小ネタなのか、のちのち何かに絡めてくるのか、要注意です。「ハヤテ」でも最終盤にてロケットパンチの神様が出てきたくらいですし、気にしておきたいところです。

それともう一つ、この人の性格……誰かを彷彿とさせます。見た目も性格も名前の関連性も全く無いのですが、妙にマリアさんとダブるんです。

作中にて三枚目を演じる事の多かったマリアさんですが、基本的には非常に有能で、物語においても重大な役割を持っていたキャラです。後半では一歩引いた姿勢のせいで出番は多くありませんでしたが、要所要所で出てきたキーウーマンでした。

そんな彼女と東宮校長がダブるのは……

口調でしょうかね。なんか段々あんまり関係無くなってきたような気がしてきました。まあとりあえず今のところ、面白いモブという事で。

・月光かぐや

御伽女子最大のキーキャラです。今回のラストで明確に司ちゃんと因縁がある事が判明しました。

これまでは後ろ姿しか見えなかった彼女ですが……あまり似合っていないマスクを身に着けています。そしてそれを外したのは一度だけ、司ちゃんに話しかけた時だけです。しかもその後、彼女は幻のように消えてしまいます。

謎の多い人物ですが……シリアスの予感はしません。きっと彼女もまたすぐに恋愛色に塗り替えられる事でしょう。これまで意味深に登場した他のキャラ達がそうだったように。

ただし彼女に関してはもう一つ、見逃せない特徴があります。

それは、非常に頭が良い事。天才であるナサくんをして「賢い子」と評される辺り、彼女もまた天才なのでしょう。

ただし人格面には問題があるらしく、校長含め教員達は手を焼いている様子。であれば精神的にはまだ未熟で、司ちゃんの生い立ちとはまた別の、見た目通りの年齢という事になるのでしょうか。

・その他

その他御伽女子の恋愛模様に関しても、全体的に進行しています。ただし踏み込んだ恋愛が特徴的なこの漫画においても、さすがに高校生の恋愛はそう簡単に進行しないようです。そりゃそうですよね。この辺りはもう少し進行してから、まとめて語りたいところです。

総評

良いラブコメでした。

12巻の満足度:90/100

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