感想「私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い! 特別編」
本日はわたモテ更新日です。何をおいても読みましょう。
・前回の感想
感想記事をリンクします。
以下、最新話のネタバレ注意!
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特別編
久々のクリスマス特別編……心が躍ります。
しかも今回のクリスマス特別編は、前回、前々回とは明確に違います。
前回、前々回……すなわち一年生時および二年生時のクリスマス特別編は、なんだかんだ時系列に沿ったタイミングで展開されてきました。
しかし現在のわたモテの時系列は、まだ二学期が始まったばかりのタイミングです。月で言うとおそらく9月。そこから一気に12月末まで飛ぶという事は、確実にいくつかのイベントをすっ飛ばしてのお話になるという事です。少なくともネモと約束した文化祭イベントは既に終わっているはずです。
時間経過によって人間関係が目まぐるしく変化するため、基本的に時系列が前後しない「わたモテ」において、この回は大事件です。わたし達の知らない人間関係を垣間見る事になる……という事なのですから。
心して読みましょう。
・放課後?
冒頭、もこっちはゆりと下校しています。二人はこれまでも一緒に下校する仲でした。これからもそれは変わらないという事ですね。
しかしその後の展開を考えるに、二人は下校後しばらく学校に残っていた事になります。受験生だから勉強でもしていたのでしょうか。春からこっち、もこっちは暇さえあれば勉強しています。同じくらいの成績で、志望校を同じくするゆりも同様でしょう。ならば二人で勉強するというシチュエーションも、当然といえば当然なのかもしれませんね。
さてこの二人、どこか懐かしい雰囲気だと思いませんか? 二人とも久しぶりに冬服になっているため、一年前と恰好が同じだからではないでしょうか。もこっちの狐マフラー、懐かしいです。
・もこっちとゆりの会話
趣味が違う二人の会話は、基本的に取り留めのないものが多いイメージですが……12月時点でもそれは同様みたいです。
クリスマスの華やかさの裏に燻る冬の厳しく暗い雰囲気を敏感に読み取るもこっち。ぼっちを脱却したとはいえ、陽キャとは程遠いもこっちには、何か思うところがあるのでしょう。子どもの頃は楽しみだったクリスマスに、今はそれほど楽しさを見いだせておらず、しかし子どもの頃ほどではなくともクリスマスというものに特別感は抱いている……と、そんな風な複雑さを言葉にしているもこっち。
それに対して間髪入れずに同意するゆり。もこっちに対して迎合しているわけではなく、素直な気持ちで同調しているのがなんとなく伝わります。こういうところ、もこっちとゆりは抜群に相性がいいですね。
趣味も性格も合わない二人は、感性が合うようです。
そんなゆりは去年、一人でクリスマスを過ごしていたようです。
ただ「一人で過ごしていた」という報告ではなく、最終的に「楽しかった」に行きつく辺り、なかなかの闇を感じます。ぼっち度というか、なんかいろいろもこっちとは方向性の異なる人間的な問題を抱えているゆり……いいキャラです。
対するもこっちは知っての通り、ゆうちゃん、小宮山さんと三人でカラオケボックスでのクリスマス会に興じていました(11巻参照)。彼氏持ちのゆうちゃんがもこっち向けのプレゼントにコンドームを選ぶというなかなかガチな下ネタ回で、非常に笑わせて頂きました。
その話を聞いたゆりは、もこっちに対して何故か咎めるような視線を向け続けます。三コマに渡って「……」と無言でもこっちを責めるゆり。
……重いですね。
元々ゆりは、もこっちが自分のあずかり知らない場面で勝手に交友関係を広げようとする事を良しとしないタイプです。代表的な例が、クラスマッチの際に雫と卓球練習に行こうとした時が挙げられます。一緒に帰る事を拒んで卓球の特訓に行こうとするもこっちに対して執拗に食って掛かり、その後自分とも一緒に卓球の練習をするよう提案するという徹底っぷり。この時ばかりはもこっちもゆりのしつこさに大きく溜め息を零していました。
心が狭いといえばそれまでですが、狭く深い交友関係を大事にする性質だと考えると、情に厚い性悪だと言えます。相手をするには厄介極まりないですが。
・ゆうちゃんと「明日香」
明日香というのは加藤さんの名前です。夏休みの合宿で本音で語り合ったもこっちと加藤さんは、お互いを「智ちゃん」「明日香」と呼び合うよう約束しました。しかし夏休みが明けていざ再開した時の喪185……前回のお話では、もこっちは緊張のあまり上手く「明日香」と口に出来ず、カオナシみたいになってました。
ですが現在、どうでしょう。ゆりの前でも淀みなく、ゆうちゃんと同じくらい自然な感じで「明日香」と口に出来ています。この後登場する加藤さんを相手にしている時も、もこっちに緊張した様子は一切見られません。
何かしらあったのでしょう。9月から12月までの間に、もこっちが加藤さんに遠慮しなくても良いと考えるようになったイベントが。
妄想が捗りますね。
・成瀬さんならできると思う
加藤さんは放課後を使って、ゆうちゃんと一緒に勉強していたようです。一緒というにはちょっとお互いの立場が違うかもしれませんが。
二人の間に絡みが出来たのは、夏休みにもこっちが髪を染めた回(喪170)から。もこっちの部屋で初めて出会った二人はその回のうちに打ち解けて、一緒の大学を目指す仲になりました。
その仲は夏休みを終え、二学期を経て尚続いているようです。二人きりで勉強しているこのシチュエーションには、今のところ他者が入り込む余地は無いようです。なんだか二人の仲が深まっているように感じます。
そんな数か月間のうちに、ゆうちゃんの学力も随分上がったようです。加藤さんもゆうちゃんの実力を認めてきているらしく、「成瀬さんならできると思う」と、高く評価しています。ゆうちゃんも目のハイライトが消えなくなっていますし、成長が感じられます。
・去年のクリスマス
……
ゆりはさあ……
さっきもこっちに同じ事訊いたじゃないですか。それでゆうちゃんがもこっちと過ごしていた事、知ってるじゃないですか。
知った上で同じ質問するの、最高にめんどくさいです。
もこっちが嘘をついていないか、自分に開示していない情報が無いかどうかを問い詰めています。しかももこっちの目の前で。もこっちは一体何を思っているのか。もはや慣れっこなんでしょうかねえ。
別にやましい事があるわけではありませんから、ゆうちゃんの答えは概ねもこっちと同様です。違うところは、小宮山さんについての言及があったくらいですか。
もこっち「ゆうちゃんとかと」
ゆうちゃん「もこっちとこみちゃんと」
小宮山さん……いえ、とかさん……
もこっち、なんか以前にも小宮山さんをとか呼ばわりしてましたね。
喪185にてもこっちに対して妙な距離感の小宮山さんが描写されていましたが……何事も無く今まで通りの関係が続いているようで安心しました。もこっちと小宮山さんとの関係は、ニコ先生ご本人が自ら小説アンソロジーのネタにするほどに鉄板です。それが不変である事は、この上なく喜ばしい事なのではないでしょうか。控えめに言って最高です。
・中学生の時の写真
これは……なんだか伏線っぽいですね。
そういえば「わたモテ」のセルフスピンオフ「私の友達がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!」の続編が今度ガンガンジョーカーにて連載されるそうですが……その前フリだったりするのでしょうか。
現時点では何とも言えませんが……めっちゃ楽しみです。
・加藤さんの写真
「えッ!!?」
「ドスケベ・ザ・サ〇バージャパン2077じゃんこんなの!!!」
……
なにそれ?
ネタがコアすぎるのかわたしが無知すぎるのかは分かりませんが、これまでに無いくらい不明なネタが出てきました。どうやらそういうダンサーグループがあるようです。とりあえず字面が面白いので笑いましたが。
しかしこの写真、結構情報量多いですね。美保夏帆風夏の他にもう一人、この間の回で風夏にエロ知識を教えていた人がいます。彼女はこの時一体どういうポジションで、どういう経緯をもって加藤さんグループから離れていったのでしょうか。
そしてもこっち堕ちする前の、在りし日の風夏がいます。本当に風夏は、もこっち堕ちさえしなければ完璧ですね。なんだか真面目そうな顔です。彼女達の一年生時の情報ももっと欲しいものです。
・クリスマスの約束
クリスマスパーティーを望むゆうちゃんと、彼女の成績を懸念して難色を示す加藤さん。そこに助け船を出すように、もこっちが乗り出します。
去年のクリスマス……コンドームでした約束を。
成瀬さん?
そりゃ加藤さんも真顔になるというものです。ここまでの会話では一体何の事やら意味が分かりませんもの。っていうか普通に卑猥な想像しちゃいますしね。
そしてもこっち、どうしてスッとコンドームが出てくるんですか?
まさかこの時点で使う機会がある、というわけではないでしょうが……というかその場合この時の会話に矛盾が生じますし。それも含めてギャグとして笑えました。
・何これ
……
ゆり、コンドーム知らないの?
これ、闇深くないです? ラブホは知っていて、エロ知識もある程度あるのに、コンドームだけ知らないのっておかしくないですか?
でも冷静に考えると、コンドームの知識ってどこで得るのかと言われると……まあネット知識か、友人との会話とかでしょう。
ゆりはあまりネットサーフィンに興じる性格ではありませんし、交友関係はほぼゼロに等しいため、知る機会がなかったのでしょう。唯一の情報源といえばせいぜいまこっちくらいでしょうが、まこっちはまこっちで良くも悪くも清純ぶるタイプなので、その手の話は避けていたでしょう。結果的に、もこっちに「頭吉田さん?」などという謎の煽りを受けてしまったゆり……普通に不憫です。
・帰りのゆり視点
本編ではもこっち視点がほとんどのため、新鮮な〆でした。特別編ならではですね。
しかしゆり、ここまで思い返すと、4人の輪に入っていそうでいませんね。4人が映っているカットの全てが、なんとなくゆりが疎外感を抱いているように見えて仕方がありません。最後のページは特にそれが強調されていて、少し寂しさを覚えます。
が、ゆりはそうではないようです。加藤さんもゆうちゃんも眼中にないといった風に、思い起こすのは好きな三人の事。
ゆりらしい思考は損なわれず、成長も変化もせず、そこにあるようです。それはそれで、味わい深いお話だと思いました。
総評
今回、6ページなんですよね。それなのに、密度が濃いです。
いずれ本編で訪れるであろう時間軸のお話というのは、非常に楽しく読めました。
特別編の満足度:100/100
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