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漫画感想「ハイスコアガールダッシュ 1巻」

先月25日、「ハイスコアガールダッシュ」の1巻が発売されました。

「ハイスコアガール」の続編という事で、サブヒロインの日高が主人公という事で去年の12月末から連載スタートした異色作がようやく単行本発売に至ったという事です。

正直、滅茶苦茶待ちわびていました。

そして読んで良かったです。やっぱり最高に面白かったです。

語ります。

・漫画紹介

紹介記事をリンクします。

以下、最新刊のネタバレ注意!

・1-CREDIT

高校時代から10年、かつての主要キャラの年齢が一気に上がりました。

「ハイスコアガール」の連載終了が2018年とわずか3年前である事を考えると、その変化は目まぐるしいですね。

・鬼塚さん

かつてハルオや土井のチンチンの骨を見ようとした恐怖のヒロインでしたが、晴れて結婚したようです。

学生時代から日高と仲の良かった鬼塚さんですが、まだ日高と交流があるというのはなんだか良いですね。前作からの続投キャラというだけですが、それでも嬉しいものですね。

・土井

……

お前教員かよ!

しかも日高と同じ学校なのかよ!

しかも勤め先、ハルオ達の通ってた中学じゃん!!

……さすがはベテラン漫画家押切先生。続編の美味しいところを余すところなくぶちこんできます。かつてと同じ場所が物語の舞台というだけで燃えるのに、土井という既存キャラが同年代に配置されているという安心感。日高が早速苦境に立たされているというのに、安心して読んでいられます。

やはり土井はムードメーカーですね。

・つまんねー担任

28歳の日高は生徒達の評判通り普通です。

可もなく不可もなく、年齢相応に落ち着いていて、教師らしい言動に徹しています。

ゲームに向けた情熱も、恋愛に向けた愛情も無くした日高は、中学前半の頃に戻ってしまったようです。周りはともかく日高自身は空虚な生活に身を投じているというのがよく伝わってきました。

続編の一話として、理想的な導入です。

・2-CREDIT

前作からの続投キャラはもちろんですが、生徒キャラもなかなか濃そうです。第一話から自殺騒動なんて、押切先生の別漫画の作風なら一気に鬱展開まっしぐらなんて事にもなりかねませんでしたし……なかなか面白いです。

・校長先生

なにこの人……

めっちゃ濃くて笑います。間違いなく後々ひと悶着ある容姿と性格の持ち主です。萌美先生より強敵っぽく見えます。

・サッカー

土井のこのノリ、好きです。

生徒の謎ボキャブラリーなセリフと土井自身の動きの派手さも相まって、全体的にシュールな絵ですね。

でも言ってる事は真っ当です。土井のくせに日高より上手く立ち回っているのは意外です。元々の土井は世渡り上手に見えて下手なキャラでしたが……大人になってその辺りを学んだのかもしれません。キャラの成長が垣間見えて良いですね。

日高へ飲みの誘いをする時も爽やかです。下心を全く感じさせない爽やかムーブ、まるで宮尾のようです。正直、土井株爆上がりですね。

・山井

どうやら続編では、彼が生徒の中でもメインで動くようです。

感情が欠落したようないじめられっ子で、パーソナリティーが見えてきません。どうにでも転がりそうなキャラですね。

・岡村

他のいじめっ子と違ってどうも訳知り顔なのが気になります。いじめっ子グループに属してはいるものの、傍にいるだけで特に害意を持っていない感じが山井との関係をある程度想像させられます。現状は舞台装置に過ぎない感じですが。

・片想い真っ只中

……

日高先生、可愛い。

やっぱりあの時期は現在の日高にとって黒歴史なのですね。そりゃそうでしょう。輝いてはいましたが……

・宮尾

結局土井の誘いに乗って飲み会に来た日高は、宮尾と出会います。

この三人は妙に安定感がありますね。よく考えると土井と日高なんて実は一度も同じ学校に通っていなかったにも拘わらず。大学では一緒だったりしたのでしょうか。

・愛がほしい

切実なセリフに笑います。土井のみならず宮尾も同じ状況のようなのが意外ですが。

土井と違って中学高校とモテまくっていた宮尾ですが、現在はその気配も無いようです。何かあったのでしょうか。何もなかったのでしょうか。

そして一応日高も同じ感情は持ち合わせているようです。あるいは土井達の態度に呆れているだけかもしれませんが。

日高の癇癪は28歳現在でも健在のようで、ちょっと安心しました。

・3-CREDIT

沼田先生はキャラが濃いですね。時代の流れを感じさせるようなポリゴン……申し訳程度のハイスコア要素ですね。

・元気かなぁ

日高の言う「あの人」はまだ影も形も登場していません。この言い方なら「どちら」の事を言っているのかは分かりませんが……少なくとも宮尾と土井との飲み会に参加しなかったのは確かです。折り合いが合わなかったのか、あるいは気軽に会えない場所にいるのか……気になります。

続編に合わせて情報を小出しにしていくスタイル、好きすぎて狂おしいです、

・星奈

滅茶苦茶マイペースなキャラが出てきました。コミュニケーション能力の欠片も無さそうなキャラですが、この支離滅裂さは一周回って面白いです。

・羽生

……

このいじめっ子、弱くない?

山井に負け、星奈に負けそうになり、片桐に一発KO。まだ三話目なのに三回目の負けを喫するクソザコイキリ男、これはギャクキャラ一直線ですね。

・片桐

星奈が殴られそうになってから飛んできた辺り、関係性が匂ってきます。まだ全く事情が明らかになっていない以上何とも言えませんが……生徒間での関係性が結構複雑で面白くなっていました。

そして彼女が落としたゲームに反応する日高。

かつてゲーマーだった彼女ですが……

・4-CREDIT

星奈の一人称は自分の下の名前である「未来」ですが、この読みに毎回丁寧にルビが振られているのは、何か意味があるのでしょうか。他のキャラには見られない特徴なので、ちょっとだけ気になります。

・物事の本質

中学生らしい妙な上から目線ですが……片桐は何が言いたいのでしょうか。単に日高を傷つけたかっただけかもしれませんが……不穏なセリフです。

・こんなもの

やっぱり日高は能動的にゲームから離れているのですね。かつての輝きが眩しかっただけに、ちょっと寂しいです。一応この時点での最新機種である「PSP」の事を知っている以上、情報としての知識はあるようですが……

・100万くらいよこせ

片桐家はDVの気があるようです。ありがちな展開ですが、日高には荷が重い問題に思えます。

……

これ本当に解決します?

ちゃんとハッピーエンドで物語〆るんです?

なんかちょっと不安になってきました。ファンブックによると「ゲームが命を助けるお話」という事でしたが……

日高の幸せを切に願います。

・5-CREDIT

……ん?

山井、もしかして「ゆうやみ特攻隊」コースですか?

ここに来てホラー展開はぶっ飛んでいますが……いよいよ日高の手に負えなくなりそうです。

・優しいだけではむずかしい

厄介さんだらけの教員の中でも、教頭先生は常識人ですね。日高に対して年長者として優しくアドバイスする姿はまさに教職の鑑。かっこいい大人です。

・有栖先輩

まーた濃いキャラが出てきたものです。

不良の元締め的なポジションですかね。初対面の後輩によく分からない理由で5000円を進呈する狂人ムーブですが……何がしたいかは割と明確な分狂気はそこまで感じません。

そして満を持して登場するゲーセン……熱いですね。

・6-CREDIT

……

なんだこの扉絵!?

いや、良いと思いますけどね。

・不思議なやつ

やっぱり片桐と星奈は中学以前の仲のようですね。

友達とはちょっと違う距離感ですが……それはそれで良いですね。

片桐のセリフから見る限り、星奈は何かしらの病気を抱えている風です。次から次へと厄介な性質が露呈するものです。現状唯一問題が見えないのは沢田くらいですが、この分だと彼女もヤバそうですね。

・寄り道

段階を踏んで主要人物達が一堂に会する舞台が着々と整っていくこの感じ、ドキドキします。この後の展開がおぼろげながら分かっていても、ワクワクが止まらないです。

・じゃあ私服は?

……

「ダメッ」の日高、くそかわ。

さて、ついにゲーセン入りした日高。溜めに溜めたフラストレーションの行方は……

・7-CREDIT

日高自身がゲーセンに入り浸っていた以上、何も言えませんよね。一日に二度も同じ質問で閉口するその真面目さ、好きです。

・恩義で人を放さないよう

ここの山井、鋭くて好きです。

こういう解釈が当事者で繰り出せるのは、山井の無関心さの成せる業ですね。

・傷ついた

……

なんやこいつ……

ちょっとでもシリアスになりそうな場面に挟まれるシュールな描写……クセになります。

・童貞をいただく

現状有栖さんは性別負傷ですが……いや、どっちみちヤバいやつなのでどっちでも一緒ではありますが。

・ケジメ

山井は「ロボットみたい」と称されるほど色んな物事に無関心ですが、山井なりに拘りがある部分は譲れない頑固さがありますね。この性質、後々キーになってきそうです。

キャラクターとしてはこの頑固さ、主人公向きですね。

・絶対にあなたには負けない

……

遂に来ましたね。

満を持して来ましたね。

散々焦らされましたが、遂にやってきましたね。

ここから先の展開は最高です。

・8-CREDIT

ざっくり言うと日高無双ですね。

・この先生を頼るしかない

ここに来て山井が感情を表に出してきたのが興味深いです。単純に日高を取り巻く環境の一つとしての演出と言えばそうなのですが、ここから山井の評価がガラっと変わる前置きのように感じられます。

・ガーキャン

かつてハルオとの対戦で魅せたガーキャンの嵐。ブランクを感じさせない熟練したゲーマーの腕。教師として戦う新たなステージ。

熱いです。すさまじく熱いです。

本来の日高の実力を考えると、そもそも不良崩れのにわかゲーマーなんて相手にならないレベルです。実際ほとんど手も足も出させずに完封勝ちしたわけですが……

そんな圧倒的、一方的な勝利という結末であるにも拘わらず、すごく熱い格ゲー描写でした。

これまでの日高を取り巻く鬱憤の全てを叩き潰すかの如き圧倒的カタルシスを感じずにはいられませんでした。

・あの時の情熱

そして満を持しての大野見開き登場。

かっこよすぎて泣きます。状況は全く分かりませんが。

少なくとも19か20の頃までは大野と交流があったという事。そしてそれを境にゲームから離れてしまった事。この二つの事実が現在の日高を形成していたわけですね。

まだまだ先が長そうです、ハイスコアガールダッシュ。どんどんやって下さい。

・突然のイメチェン

若かりし頃の情熱を思い出して変わった日高。年齢を感じさせない堂々とした立ち振る舞いに、ちょっとだけ砕けた態度。止まっていた日高の時が動き出したような、爽やかなラストでした。

総評

とりあえず1巻で綺麗に区切りがついた格好ですね。

でもまだ生徒達の抱える問題が多数残っています。いずれもゲームじゃ解決できそうにない風ですが……ここからどういう展開に持っていくのでしょう。全く想像がつかなくて、楽しみでなりません。

1巻の満足度:99/100

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