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感想「かくしごと 11巻」

※再掲載記事です。

先週に買った漫画の感想です。

かくしごと11巻、ついに出ました。待ち望んでいました。神と久米田先生に感謝します。

・アニメ化

4月2日から放送開始だそうです。

控えめに言って最高です。小躍りしたいくらいです。

PV見ました。滅茶苦茶お洒落な感じにまとまっていて、爽やかな印象でした。オープニング曲も綺麗なイメージで、ここ最近のアニメの中でも群を抜いて期待しています。

キャラデザもうまく原作に寄せていて、ファンとしては大満足です。CVもイメージぴったりでした。これだけいろいろな要素が綺麗にまとまっているのは、珍しいのではないでしょうか。

今から楽しみです。

・次で最終巻

終わりが近いのは悲しいです。いつまでも続きそうな作風だからこそ、一層寂寥感を覚えます。

けれどだからこそ、物語が輝くのでしょう。いずれ終わる日常だからこそ、いつまでも続きそうな世界に魅力が灯るのです。

そして漫画が終わるという事は、最終回が見られるという事。その作品のファンとして、これ以上幸せな事は無いでしょう。

最後まで、楽しませて頂きます。

以下、ネタバレ注意

・激烈美化

ギャグ回ですね。いえ、毎回ギャグ回ではあるのですが。後藤先生の飛躍した屁理屈にプロダクションの皆が振り回されたり、子煩悩な後藤パパと姫ちゃんのやりとりが微笑ましかったり、おかしな勘違いで騒ぎ立てたり、この漫画の基本的な流れを汲む回でした。

それゆえ語るところは少ないのですが、面白かったです。

さて、この回の十丸院さんの言動が少し怪しかったのですが……

どうせ十丸院さんだから、という安心感がありますね。

いくら次で最終巻だからといって、不穏なヒキで騙そうとしても、そうはいきません。いえ、ちょっと不安にはなりましたけれど。

十丸院さん、リアルな危うさがあって少し怖かったりします。この手のトラブルメーカーって、傍目で見ている分には良くても、絶対にその渦中に巻き込まれたくないものです。その人の人格が整っていればいるほど、そういう気持ちを持っている事そのものに罪悪感を覚えてしまって、だから少し苦手です。

でも十丸院さんは相当な外道ですし、何より漫画のキャラとしては非常においしい役回りなので、大好きです。

そんな彼の黒い噂……うーん、怖くない。

どうでもいいけど十丸院さん、名前皐月なのに、誕生日11月なんですね。捻くれてます。

・帰ってきた十丸院

姫ちゃんかわいい回です。

十丸院さんの黒い噂はやっぱり誤解でしたか。いえ、分かっていました。このアンジャッシュ的な勘違いでの暴走は、この漫画の代名詞ともいえる王道な面白さで、今回は特にキレッキレでした。

十丸院さんがアダルト系のカメラマンを引き連れて姫ちゃんの下へと訪れた……と思い込んだ時の後藤パパの暴走っぷりが清々しくて大好きです。それまで弱気なスタンスだったパパがわき目も降らずにバイクを走らせるその姿はまさに子煩悩な父親の理想像そのもの。こういう部分で優しさというか父性というか、綺麗な感情が垣間見えるから、この漫画は綺麗なのです。

さて、後藤パパと行動を共にしていたアイドル志望のなるちゃんですが、ここでまさかの挫折。確かに単行本の未来の時間軸でのお話ではアイドルではなくルポライターとして活動していましたが……そうですね、よくよく考えると、アイドルとルポライターが両立できるわけがありません。未来の彼女の姿が夢破れた末のものだとしたら、少し悲しいお話です。

なるちゃんが前向きに転身したのが救いです。

なるちゃん挫折の原因は、アイドル仲間の出世ではなく写真に写った姫ちゃんでした。後藤パパ補正無しでも姫ちゃんがかわいいというのは、打ち上げ回で姫ちゃんが大量に貰った名刺から読み取れましたが、まさかなるちゃんの心を折ってしまうほどだとは思いませんでした。この辺り、最終回付近の重要な伏線になりそうですね。

そういえばなるちゃん、後藤さんに憧れている節があったのですが……今はどうなのでしょう。彼女は久美さんや汐越先生のような、スタンスの変わらないヒロイン的なポジションとは少し異なる立ち位置ですね。このまま連載が続けば「さよなら絶望先生」における某ストーカー少女のような立ち位置になりそうな進行役としての扱いやすさは、物語の締めに一役買いそうですね。そういえば「さよなら絶望先生」の第X話でも、ライターが主役の話でしたし、やっぱり扱いやすいのでしょう。

・スルーステップ

後藤パパ回です。

母の日というのは、シングルファーザーにとっては複雑でしょうね。姫ちゃんが素直な子だからこそ、パパの懊悩もここに極まります。姫ちゃんに悲しい思いをさせたくないあまり、大量のカーネーションで誤魔化そうとする辺り、後藤パパは結構ポンコツです。それ以上に天然な姫ちゃんにも困りものですが。

ラブコメパートもなかなか良かったです。母の日のカーネーションをラブコメに繋げるとは、新鮮な展開でした。姫ちゃんはもう少し、自分の行動の影響力を考えるべきだとは思います。いえ、かわいいのでいいのですが。

母の日に対して真剣に向き合うピュアな姫ちゃんと、それを見守り優しく導く後藤パパの二人は、いつ見ても微笑ましいです。終わり方まで綺麗でした。

さて、この回姫ちゃんは絵への関心をさらに深めます。未来の時間軸において、姫ちゃんが芸術家の血を色濃く宿している事を知っている今、その関心も納得です。この辺りも回収されそうですね。

・NO.しませんから。

嘘じゃん。アニメ化するじゃん。

いえ、作中の話ですけれど……それはそれでアニメ化するに決まっています。メタ的に観ると、ですが。

しかしこのエピソード、久米田先生ご自身の体験談ですよね、絶対。「かってに改蔵」の時もアニメ化が流れたという旨のお話を耳にしましたし、この辺結構デリケートなのでしょうか。

いえ、「さよなら絶望先生」は三回もアニメ化していますし、どうなのでしょう。山塊もアニメ化している漫画作品なんてそうそうありませんし、久米田先生はどう見ても成功している類の漫画家先生です。それでもこういうネタを引っ張ってきて、しかも嫌みが無いのは、経験の賜物なのでしょうね。

さて、作中のお話です。後藤先生の漫画「風のタイツ」がアニメ化するようです。これは非常にまずい展開ですね。後藤先生は漫画家である事を隠しているわりに、本名で活動を続けています。どうあれ姫ちゃんにバレる可能性が爆発的に上がってしまうのです。アニメ化作品の作者がすべからく有名になるとは限りませんが……神経質な後藤先生は大変です。

と思いきや、意外と楽観的。アニメが流れる事に慣れているご様子。あまりにも露骨なフリで、笑ってしまいます。

しかし今回、本当にメタ要素が多いですね。一子先生の「浮かれた原作者が声優と結婚したり」って、絶対お弟子さんの事ですよね。この辺りのプロレス、本当好きです。仲良さそうで。

終わり方は意味深でした。まるで姫ちゃんの誕生日時点には、既に後藤パパはそれを祝う事が出来ないかのように。

いえ、時間軸で言えばそんなわけはないのですが……最終巻が怖いです。いえ、出たら買います。三冊買いますとも。

・単行本書下ろし

後藤先生、愛されてますね。みんな普段から文句を言ったり呆れたりしていましたが、先生の現在を知って気軽に集まれる辺り、とても楽しそうです。こういう職場に憧れます。

しかし羅砂ちゃん、看板作家なんですね。当初はほとんどまともに漫画も描けないキャラだったのに、成長したものです。まあ七年も経っていればそうなるのかもしれませんね。

さて、姫ちゃんの行動で物語は一気にクライマックスに向かいそうです。高校生になっても父親が大好きな素直な姫ちゃんは、後藤パパを想って駆けます。親子愛はまだ健在です。

総評

笑いあり、不安あり、感動ありの最高の一冊でした。次巻が待ち遠しいような怖いような、でも絶対読みたいです。

11巻の満足度:97/100


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