見出し画像

ゲーム紹介「MOTHER」

漫画ばかり紹介していては芸がないので、ゲームの紹介とかもしてみます。まず、わたしの一番好きなゲームのお話を聞いて下さい。

「MOTHER」です。初出はファミコンで、ゲームボーイアドバンスにて続編の「MOTHER2」とともに「MOTHER1+2」として採録されています。

製作者はコピーライターの糸井重里先生です。この方、コピーライターであるだけでなく、「となりのトトロ」でメイやサツキのお父さん役として声優活動を行ったり、タレントをしていたり、会社を経営していたりと、総じて手が広いマルチタレントです。それでいてこの「MOTHER」というゲームの完成度は、非常に高いので、舌を巻くばかりです。

ジャンルはロールプレイングです。ドット絵とターン制戦闘というありきたりのシステムながら、そのユニークな作風が個性的なためか、コアなファンが多いタイプの名作です。かくいうわたしもその一人ですが。

知名度そのものはかなり高いと思います。任天堂のオールスターゲーム、「大乱闘スマッシュブラザーズ」に出演している「リュカ」「ネス」はそれぞれ「MOTEHR」の続編である「MOTHER3」「MOTHER2」の主人公であるため、ゲームそのものは知らずとも、その二人を知っている人は多いでしょう。

さてこのゲーム……一度このnoteで紹介しましたが、今度はもっと深く語ります。時間の都合もあるので言葉は短くまとめるよう努めますが、それでもこのゲームの面白さが伝われば幸いです。

・あらすじ

舞台はアメリカ。少し不思議な力が使える少年が自宅で起きたポルターガイスト現象をきっかけに、冒険に出かける事に。冒険の先で出会うのは、様々な不思議。歌うカナリア、死者が蘇る墓地、狂暴化した動物が檻を抜け出し襲い掛かる動物園。

そして世界の危機を知った少年は、地球を支配せんと侵略を進める宇宙人と戦う事に……

・魅力その1、ポップでグロテスクな世界

MOTHERの世界は基本的にポップというか、楽しげです。たくさんのNPCがさりげなくゲームのヒントを喋る中、全く関係無い微笑ましくも皮肉が効いた人物も少なくなく、ゲームの攻略とは無関係にたくさんの人物に話しかけたくなります。この辺りの会話テキストのセンスは、糸井重里先生のすごみといったところでしょう。

また、世界そのものもどこかメルヘンチックで、不思議な事が多かったりします。たとえば主人公は旅の中でメロディーを集めるという目的を得るのですが、主人公が欲するメロディーを持っているのは普通の人間ではなく、かといって単純に敵が持っているという事もなく、非常にユニークなキャラクターが持っています。物言わぬサボテンだったり、パワーストーンのような物体だったりと、まるで妖精が存在するおとぎの国のような世界観で、ふわふわするような気分を味わえます。

他にも主人公が使う「超能力」、旅の途中で訪れる不思議の国「マジカント」など、楽しい不思議が溢れています。

その一方で、グロテスクというか、恐ろしげな世界観も同居しています。

そもそも主人公の家を襲ったポルターガイストからして既に不気味ですし、その後向かう場所はゾンビがひしめく墓場だったり、無人で不気味な動物園だったりと、楽しい不思議に紛れて不穏な空気が入り混じります。そしてその演出は物語が進むごとに、不穏さに傾いていきます。

冒険の楽しさと怖さが交わった、不思議で楽しいゲームです。

・魅力その2、愉快な小ネタ満載

このゲームには、「意味が無いもの」が多いです。

たとえばゲーム後半で手に入る「あいのことば」「のろいのことば」というアイテム。これらは戦闘中に使用できる類のアイテムなのですが、使用したとしても全く戦闘に影響がありません。使用時のテキストを楽しむだけのアイテムです。

ドラクエで言う「うまのふん」みたいなものです。錬金が無かった時代、うまのふんには本当に使い道が無かったものです。

ただこの「MOTHER」独特なのは、そういったアイテムが複数存在するという事。そしてそのような無意味がアイテムだけに留まらない事。

ゲーム内のマップは非常に広く、その多くは「電車」「戦車」といったアイテムでショートカットする事が可能なのでストーリー進行上細々と探索する必要こそありませんが、そこにたくさんのネタが隠されている事についてはもはや言うまでもないでしょう。

電車で向かう場所に徒歩で行くと、トンネルの中で白骨死体に出会えたり、戦車で移動できる広大な砂漠マップのたった一マスに「地雷」が仕掛けてあったりとやればやるほどゲームとしての面白さや深みを知る事ができる、いわゆる「スルメゲー」と言えるでしょう。

・魅力その3、戦闘が主軸ではないゲーム性

このゲームは敵と戦うロールプレイングですが、主軸はあくまで冒険であり、戦闘ではありません。その分ゲームのストーリーや雰囲気が楽しめるので、それはそれでこのゲームの魅力です。

面白いのが、イベント戦の多さ。このゲームは非常にイベント戦が多いです。後半のボスに関しては、ほとんどがイベント戦と言っても良いくらいでしょう。

レベルを上げて戦闘を楽しむロールプレイングにおいて、イベント戦はよほど劇的な場面でなければ歓迎されません。せっかく強くしたキャラクターがゲームシステムの都合で簡単に蹂躙されるのはあまり気分が良くはありませんし、だったらそれまで育てたのは何だったのか憤慨する事もあるでしょう。

なのでイベント戦というのは本来、禁じ手とさえ言っても良いくらい避けるべきなのです。

が、イベント戦盛りだくさんのこのゲームは、決して駄作ではありません。それだけストーリーが魅力的という事です。

総評

やたらといろいろなものを褒めるタイプのわたしですが、このゲームに関しては別格だと自覚しています。

わたしが今まで触れたRPGの中で、「MOTHER」は紛れもなく最高だと言えます。数多あるロールプレイングというジャンルにおける、一つの究極系がこのゲームと言えましょう。

最高のゲームですし、もっと流行ってほしいと心から願います。

私的好感度:100/100、オススメ度:100/100

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?