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感想「僕の心のヤバイやつ Karte.64」

僕ヤバ最新話、更新です!

怒涛の二週連続更新に加え、最新4巻も発売中! 現在最も熱い漫画、僕ヤバを是非読みましょう。

・漫画紹介

紹介記事をリンクします。

・前回の感想

感想記事をリンクします。

以下、最新話のネタバレ注意!

Karte.64 僕らは大人じゃない

毎度思うのですが、柱の文が秀逸で笑えます。人生をかけた"かくれんぼ"というのはいささか大げさですが、当事者である市川の心情としてはこれくらいが丁度良いのでしょう。芥川龍之介の「トロッコ」を彷彿とさせる登場人物目線での大げさな心情描写……素敵です。

それはそうと、本編を語ります。

・お友達来てるの?

時間が無かったためにか、市川の来訪そのものを隠す事は出来なかったようです。玄関に置かれた市川の靴を見て、山田母は友人が来ている事に気が付きました。

市川……小柄で良かったですね。身体が小さいから当然靴のサイズも小さいのか、来ているのが男子だとは気づかれなかったみたいです。山田も咄嗟に市川と体格が近いばやしこの名前を出して難を逃れています。

まあばやしこ、良くも悪くも少年みたいなとこありますしね。男ものの靴を履いていても違和感無いような気がします。これがにゃあさんやビッチさんならそうはいかなかったでしょう。男前で頼れるビッチさんと違い、縁の下の力持ちなばやしこ、好きです。

・友達はよく来るから…っ

直前の慌てる二人も可愛いですが、このコマの山田も必死さが滲み出ていて好きです。

このセリフそのものは市川を安心させるための事実確認ですし、その次の市川のセリフもまた、「そりゃ女友だちはよく来るだろうけど、男友達は話が別でしょ」的なニュアンスのツッコミに過ぎないのですが……それに対する山田の過剰反応が卑しいですね。

「ない」で済む返答に「ないないないよ!!」と怒涛の三倍返し。この段階まで来て変に誤解されたくないという山田の下心が見え見えで、すごく良いと思います。

・ちゃんとした格好で…いずれ…

……

山田はさあ……

いちいち思考が重くて好きです。まあ初詣で相手の両親に良い心証を与える事に成功した山田としては、市川の方も上手く紹介したいと考えるのは自然といえば自然ですかね。両親に挨拶という、結婚を目前にした男女にしか訪れないであろう鬼門イベントを付き合ってすらない中学生がしようとしているのがこの上無く不自然なわけですが。

しかし今更ですが市川、ピンチですよね。

ノーパン状態は辛うじて免れたものの、山田のジャージに上下身を包んでいるという逃げ場の無さ。せめて最初のままの服装ならば、最悪見つかっても何とか誤魔化せなくもないのですが……

女子の家で二人きりになって、お風呂を貰って、しかも相手の服を着ていて……さすがに詰んでますよ、これ。状況証拠だけで即逮捕出来るレベルなんじゃないでしょうか。満更市川にやましい意識が全く無いと言えなくもないのがまた苦しいところ。

・山田に嘘をつかせてしまった

しかし今回の件、市川に非はありません。どちらかというと、両親が帰宅する前にお開きにしないとまずいという事を理解した上でタイムテーブルの管理を怠った山田に非がありますが、直前の込み入った会話もありますし、一概に誰を責めるべきというわけではないでしょう。

それでも嘘を「つかせてしまった」と、まるで自分のせいだと言わんばかりに責任を感じるのは、市川らしいですね。溜め込んで背負い込んで、爆発させずに自己嫌悪して、最終的に離れていく……自己評価の低い市川の負のサイクルです。最終段階まで行く心配はもう無さそうですが……これまで培ってきたマイナス思考はちょっとやそっとじゃ拂拭されないようです。

・お湯加減ばっちり

……

…………

……………………

あのさあ……

山田は何のつもりなんですかね。市川がお風呂を使用した形跡が無いかを確かめている……というのはまあ分からないでもないですが。

なんだねその顔は。

このページの全ての山田から卑しさが溢れだしてきています。落ち着かない様子できょろきょろとお風呂場全体を見渡す時も、どこか名残惜しそうに湯舟の様子を確かめている時も……

挙句の果てに退散しようとするとこの山田……こんな表情「ロロッロ!」でも見ませんでしたよ。今回の山田、相当ヤバイですね。自分の行いを顧みて恥じない分、市川よりも倒錯的で笑えます。

・顔真っ赤じゃない!!

そんな娘の煩悩など知る由もない山田母、山田の体調を心配します。

よほど山田が普段から裏表の無い子どもだったためか、それとも意外と子煩悩なのか、授業参観の時に見られた厳しさは全く見られません。

市川と同じく読者がイメージとして持っていた山田母の人物像と著しく食い違うその様子に、これまた市川と一緒に頭に疑問符が浮かびます。

山田の可愛い部屋着を見て真似をしようとする茶目っ気まで持ち合わせた、ごく普通の優しい母親像……素敵です。山田母は外面がきちんとしているだけで、中身は娘想いなのでしょうか。前回発覚した心温まるエピソードの裏付けが取れたようで、少しほっとしました。

それはそれとして、市川が不思議そうにしているのが面白いです。こういうどうでもいい事でなら、どんどん悩んでほしいところです。この漫画、勘違いネタに定評がありますし、今後の布石になりそうです。

・パパも一旦帰ってくる

「一旦」帰ってくるってどういう状況でしょうか。山田父は一体どういう仕事をしているのでしょう。どういうシチュエーションなら「一旦帰る」事になるでしょうか。状況が謎ですが……まあそれは山田母も同様ですか。

・パパはどんな人?

ここで山田が言う「似てる」とは、「市川に似てる」という事でしょうけれど……一体どの辺りが似ているのでしょうか。この辺はもうちょっと後の描写も含めて後でまとめて語ります。

・ちぃちゃんアレルギーなかった!?

まさかのフェイント山田母……不意打ちでちょっと笑いました。

しかしここでまたしても山田母の優しさが目に見えてきます。娘の親友とはいえ、きちんとアレルギーについてを把握して、その問題を思い出すや否や急いで部屋に突撃して体調を心配するというムーブは、優しさ以外には説明がつかないものです。この場合、市川が隠れるために布団に入っていたのも山田母の動揺を誘う一助になったのかもしれませんが。

しかもよく見ると山田母、完全に着替え途中じゃないですか。パンツ丸出しにしてまで娘の親友の体調を慮る山田母……こんな優しい母親がこの世にいても良いものでしょうか。厳しいという前情報があったがために、優しさがより際立ちます。

・嘘つかせてごめん

責任を感じる市川を見て、山田は市川を押し倒す……という少々強引な構図にちょっとびっくりしましたが……

二度三度見返してようやく理解しました。違いました。そうじゃありません。何気なく市川の目に映った謎のオブジェクト……この事を誤魔化すために、山田はやや強引に市川の思考を別の方向に持って行こうとし、押し倒したのでしょう。

そのオブジェクト、すなわち紅茶花伝……

……

あっ……

職業見学のやつですね、これ。未だに部屋に置いているとは……さすが山田。思ったより強力なカードをお持ちだったようです。記念品というと聞こえは良いですが……なんかちょっと変態チック。SSS隊を彷彿とさせるムーブ……うーん、これは純愛!

・ママに初めて隠しごとした

これはなんか、セリフのニュアンスに15禁な波動を感じますね。ワードチョイスが冴えわたってるのりお先生、大好きです。

さて、無事にタワマンを脱出した市川ですが……

・巨人か…!?

なるほど……確かに似ています。

……

いや、やっぱそんなに似てないでしょ。

さすがは山田の親だと言わんばかりの超長身は、市川とは似ても似つかないです。この人が山田の父親というのはもはや疑いようのない事実として……

目が怖いです。こんなん市川じゃなくてもヒュッってなりますよ。

巨人さんのコートの下は、汚れたコックコート。料理人なのでしょうか。巨体過ぎてその他の情報がちょっと入って来ません。

山田評で「似ている」というのは外見ではなく、内面なのでしょうか。こう見えて自己評価が低かったり口下手だったりするとなると……なかなか濃いキャラクターになりそうですね。

っていうか草次郎さんといい森繁博士といい、父親キャラは基本キャラ濃いんですよね。むしろ市川父の薄さが信じられないレベルなくらいなので、山田父の存在感は納得がいきます。今後、彼がメインで登場する話があるのでしょうか。面白そうなのであってほしいです。

・二度と行か……

お手本のような即オチ。インスタントな大オチとしては秀逸でした。

総評

今回、いろいろな事が明らかになりました。今まで謎に満ちていた山田周りのあれこれが解禁されました。それが今後どういう風に展開に影響を与えてくるか……楽しみでなりません。

Karte.64の満足度:95/100

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