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漫画紹介「ハイスコアガール」

ジャンル:ラブコメ、全10巻

「ハイスコアガール」は2018年までビッグガンガンに連載されていたラブコメ漫画で、作者は「でろでろ」「ゆうやみ特攻隊」の押切蓮介先生です。

二度のアニメ化で完結まで映像化されている作品なので有名です。滅茶苦茶面白いので紹介します。

・あらすじ

舞台は1990年代、アーケードゲーム全盛期。

ゲームだけが取り柄の落ちこぼれ小学生が場末のゲームセンターで出会ったのは、同じクラスのお嬢様。

かたや目の上のたんこぶ、かたやハメ技上等のダーティープレイヤー。最悪の印象から始まった二人の仲は、ゲームを通して少しずつ変わっていく。

・魅力その1、完成された小学生編

この漫画では作中で時間が経過し、登場人物が成長します。その都合上物語を三分割するとすれば、小学生編、中学生編、高校生編という事になります。

そのうち小学生編は1巻だけです。

全10巻の漫画なので物語全体の比率としてはわずか1/10の量ですが、個人的には小学生編が最も輝いていると思います。

尺の短さは密度の高さと同等です。短い話数で二人が徐々に惹かれ合う様が丁寧に描かれていて、無駄が全くありません。

小学生という未熟な年齢ゆえに恋愛模様はそれほど強くありませんが、その分泥臭さとノスタルジーに溢れていて、物語としての完成度は非常に高く、何度も読み返したくなる名作です。

・魅力その2、全力で卑しいサブヒロイン

小学生編では一対一のラブコメでしたが、中学生編からは新しいヒロインが登場します。

要するにダブルヒロイン制です。

メインヒロインと異なる性格とスタンスでラブコメを展開してくるので、小学生編とは異なる刺激が楽しめます。

ですがここで問題になるのは、主人公側のスタンス。ダブルヒロイン制にも拘わらず、主人公は一貫してメインヒロインの方を向いています。

サブヒロインが隣にいるのにメインヒロインの事をずっと考えているという場面が結構ざらで、その一方通行っぷりがツボになります。

読者側から見た明らかな負けヒロイン。当人もそれを自覚しています。

だからこそ、距離の詰め方が飛びぬけています。

積極的と表現するには卑しすぎるヒロインムーブ、最高に輝いています。

・魅力その3、ゲームが起こす奇跡

ゲームが題材のこの漫画では、しばしばゲームのキャラクターが登場人物に語り掛けます。実体のない彼らは演出のためだけの、本来存在しない登場人物で、シリアスな場面で賑やかしとして出てきたり、心の中でのボケやツッコミに反応したりとメタ的な部分で漫画的な読みやすさを演出します。

また、時には物語の展開に大きく影響を与えてくれます。

自分自身の気持ちと向き合うために背を押したり、偶然の遭遇を助けたりと、ゲームのキャラクターが主人公の成長や人間関係を助けてくれるのです。

ゲーム好きとしてはこの演出、たまらなく好きです。

奇跡というある種のご都合展開を、ゲームキャラクターの「援助」という魅力的なかたちに落とし込んでいるこの手法、控えめに言って最高です。

総評

最高のラブコメ漫画だと思います。

1巻だけでもある種完結しているようなかたちなので、まずは1巻だけ手に取って読んでみてほしいところです。

私的好感度:97/100、オススメ度:100/100

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