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漫画感想「ワンパンマン 23巻」

今月4日、リメイク版「ワンパンマン」の最新刊が発売されました。ちょっとだけ語ります。

以下、最新刊のネタバレ注意!

・背中

単行本化前に大幅に加筆・修正がされた回です。

怪人協会に人質として捕らえられたワガンマの父、ナリンキ氏が派遣した傭兵部隊達。怪人「弩S」に正気を奪われた彼らは、アマイマスクによって討伐され、死亡しました。

が、その回は修正され、傭兵部隊達は生き残りました。居合わせたイアイアン、オカマイタチ、ブシドリルの三名はアマイマスクと別れ、傭兵達を地上に送り届ける役を引き受けます。そのため、当然その後の展開も変わっていきます。

とはいえ、大筋は変わっていないようです。三剣士達は原作同様、怪人「魔ロン毛」と対峙します。そこまでは同じなのですが……

ここから「エビル天然水」との戦闘に繋がるには、どういう経緯を辿るのでしょうか。それともその辺りの展開そのものが変わるのでしょうか。ただでさえ原作とリメイク版とで混同しがちな展開なのに、さらに修正前後で齟齬が生じているので、正直わけわかんなくなってきています。無心になって単行本を読み返すのが吉でしょう。

さて、この回の感想ですが……

ブシドリルの剣のタケノコみたいな部分、取れるんですね……

一人だけイロモノな形状の武器を使っていたから気になってたんですが……まさかそんな使い方をするとは思いませんでした。

あと単純に三剣士達の出番が増えた事で、各々のパーソナリティーが明らかになりましたね。特に顕著なのがイアイアン。横柄な態度を取る相手が多く、他の二人が憤慨する中、落ち着いた言動で事を運ぶ冷静さを発揮していました。さすがはA級2位。リーダーに相応しい性格です。

思えばこの加筆・修正も、イアイアンがアマイマスクの思惑を読み取って行動したところから始まっています。結果論ではありますが、彼の行動はこの漫画の展開を大きく変えました。この漫画をループものとして捉えるならば、主人公クラスの活躍と言っても過言ではないでしょう。前提がナンセンスではありますが。

・真贋

この回も単行本化の前に加筆・修正されています。っていうかこの巻、修正されてない回がほとんどありませんが。

大きく変わったのは、アトミック侍と怪人「機神G5」との戦闘。修正前は、アトミック侍の太刀筋をコピーしたG5の猛攻が丁寧に描かれていましたが、修正後の決着は一瞬でした。元々相手を細切れにする戦い方がスタンダードなアトミック侍の戦い方としては、こっちの方が合っている気がします。漫画的にも、テンポいいですしね。

しかしこう見るとアトミック侍、かっこいいですね。リメイク版では特に、他の面々と比べてもザコ怪人との戦闘シーンが多いような気がします。修正前後の記憶が混同していて、そう感じるだけかもしれませんが。

見開きのアトミック斬がかっこいいから、記憶に残りやすいのです。

・増えるヤバイ奴

例によって加筆・修正されています。

童帝がフェニックス男との戦いに辛勝し、人質のワガンマを地上に送り届けたところです。

大きく変わったのは、フェニックス男との戦闘においてサイタマが合流している事。そして「もう一人の子ども」に対する童帝の認識。

前者はそれほど意味のある要素ではないように感じます。仮にも主人公が絡んでいる場面なのですが、結局サイタマは地下に戻るわけですし。

後者に関しては、修正前には「人質はもう一人いた」=「人質だったワガンマがそれを知らないわけがない」という風な考えで、即座にワガンマに対して疑いの目が向けられていましたが、修正後は「他の監禁室があった」という解釈です。

それにより、ワガンマが自分から「タレオ(もう一人の人質)を見捨てた」事を報告するようになり、生意気なクソガキに成長の兆しが垣間見える構図になりました。漫画的にこちらの方が綺麗に締まっているので、この部分に関しては修正後の方が好きです。

あと、アトミック侍と「黒い精子」、ゾンビマンと「ホームレス帝」との戦闘の様子がちょっと変わってますね。

アトミック侍は、相手の細胞全てを消し去る技「アトミック集中斬」を使わなくなり、戦闘が短くなっています。ゾンビマンの方は若干バトルシーンに変更が加わったくらいですか。いずれも修正の労力を考えると、とんでもない変更です。読者として、バトルシーンが増えるのはありがたいのですが……

・ラブエボリューション

何故か一部怪人のキャラクターデザインが大きく修正されています。修正前の象の怪人「バキューマ」は強そうだったのですが、修正後は妙にスリムですね。なんかルンバみたいな乗り物に乗ってますし……自己主張が激しいです。何かに影響されたのでしょうか。

そして何度見ても、ぷりぷりプリズナーはえげつないですね。話は通じないし人間じゃないし、たまたま正義感が良い方向に向いているだけで、普通に法も犯している辺り、狂人って感じがします。好きです。

・番外編 範

単行本のみのおまけです。

なんという事もない、豚神とアマイマスクの掘り下げですね。

アマイマスクの方は、ガロウ編後のための印象付けでしょう。人間性に重きを置いているのは、彼の心情を考えると頷けるお話です。

豚神の方は……なんだか新鮮な感じですね。S級の面々の中でも良識的な性格だというのは知っていましたが、いかんせん食べている姿か戦闘中ばかりが描写されていたので、普通に誰かと話をしたりしている光景というのは、今回初めて描写されたのかもしれません。

結構重要そうな人物なのに、サイタマとの絡みが全く無いせいで出番が少なく、謎が多いキャラです。機会があれば、もっと掘り下げてほしいものです。

総評

バトルシーンが見ごたえ満載な回でした。

今後の単行本予定の回も、随時修正されていくのが楽しみです。

23巻の満足度:74/100

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