見出し画像

感想「魔法陣グルグル2 13巻」

「魔法陣グルグル」の正統派続編、「グルグル2」の最新刊を読みました。非常に面白かったので感想を語りたいと思います。

まずは簡単な紹介から。初代「グルグル」の方は別の記事で紹介しているので、そちらをご参照下さい。

・あらすじ

ニケとククリが魔王ギリを打倒して二週間。世界に新たな魔王が現れた。

かつて世界を救った勇者として、再びニケの力が求められた。

しかしククリは旅を経て、子どもにしか使えない魔法「グルグル」が使えなくなっており、魔王を討伐するどころではなかった。

それでもニケと一緒に冒険に行きたい一心で、ククリは自力で子ども心を取り戻し、グルグルを再習得する。

かくして再び冒険の幕が開ける。

その先に待つ魔王はなんと、ククリと同じグルグル使いで……

以下、13巻のネタバレ注意!

・前巻までのあらすじ

世界が封じ込まれたツボがザコ魔物「タテジワネズミ」の物になったので、グルグル使いの少女に代わって彼らが魔王を務める事に。生来ザコの魔物が魔王になった事で、世界はもう滅茶苦茶に。おまけにニケには未だに元魔王が掛けた呪いが宿ったままで、パーティーが分断されてしまう。

・ニケ離脱

しょっぱなから知らんおっさんのドアップで始まりました13巻。一ページ目からアクが強い強い。キタキタ親父とも合わさって、元少年漫画とは思えない絵面に。この漫画、変なおっさん多いです。名前入りのキャラを全部並べたら、おっさんが半分くらいを占めるんじゃないかと思えるくらいの物量です。そりゃキタキタ親父のスピンオフも出ますわ。

当然のようにオヤジを置いていこうとするジュジュと、全く反論しようとしないククリ。ククリって天真爛漫に見えて、意外と行動が正直なんですよね。オヤジの濃さが耐えられない、実に普通の女の子です。

人の良いトマくんでさえオヤジスルーなのは笑います。

しかしパーティーの中にニケが一人いないというだけで、絵面の違和感がすごいです。ジュジュにしろトマくんにしろ、初代からの準レギュラーという扱いで何度もパーティーに加入しているというのにこの違和感は……やっぱりニケの重要さが見て取れます。どこかでオヤジも言っていましたが、ニケはああ見えてパーティーの要なのです。いないとバランスが崩れてしまうわけです。

ニケがいなくなってポンコツになるククリが情けなくて好きです。わずか4ページにしてこのドタバタ感、大好きです。

・レイドとデキルコ

なんだかんだでこの二人、安定感ありますよね。マイペースなデキルコと野望に燃えるレイドの凸凹コンビ、絶妙に間抜けです。

間抜けながらもしっかり自分の力を信じて突き進むレイド、すごくいいです、

「俺は負けることがない!!」「なぜなら負けないからだ!」

こういう事を言うの、すごくいいです。レイドには一度くらい魔王になってほしいものです。

しかしこいつ、確か「魔界のプリンス」とかいう二つ名だったんですよね。凄腕の魔法使いのカヤにも、呆れられながらも一定の尊敬を受けている辺り、単なる自称ではないのでしょう。その割には魔王ギリやその腹心達、新魔王達からレイドの事が言及される事は無く、謎のポジションと言わざるを得ません。一応今回登場したボス「デグーロ」は、魔王軍としての序列が崩壊した現在においてもレイドを様付けで呼んでいましたが……謎です。彼の秘密が明らかになる日は果たして……来るのでしょうか。

・タテジワのツボ流出

まさかの「世界」捨てられ展開……! 魔王タテジワネズミとはなんだったのか。

どうもここ最近、特に話が混沌としてませんか? 衛藤先生、大丈夫です?

迷走しているとは思いません。話が前に進んでいないとはいえ、ここ最近のギャグ展開は非常に面白いです。冒険モノのギャグパートは引き延ばしだのなんだの言われて嫌われがちですが、ここまで面白いなら全然問題はありません。むしろずっとこういう展開が続くのさえウエルカムです。

ただ、ここまでの二転三転は何かしらの理由があるのではないかと勘繰ってしまいます。元々「グルグル2」はギャグだけでなく、冒険活劇という面で見ても抜きん出た展開が期待出来る漫画です。タテジワネズミのツボの行方がまたしてもとんでもない方向に進みそうで、楽しみです。

・入れ替わる勇者パーティー

「誰たち!?」で死ぬほど笑いました。性懲りもなくおっさんだらけのパーティーなのは、元魔王の悪意を感じざるを得ません。悪意というよりいたずら心というか……

完全にギャグ顔して出てきた幹部も、わけが分からないでしょうね。なんて顔をすればいいのかもわからなそうです。絵面がひど過ぎてお腹がよじれそうです。

・おかしら登場

待ってました!

こういうの、「2」のいいとこですよね。前作キャラは登場するだけでおいしいです。トマくんやキタキタ親父の時も興奮したものですが、やっぱり初代を読んでいるとおかしらの存在は忘れられません。

しかしこれで、前作の準レギュラーキャラもおおかた登場し尽くした感じですね。あとは闇のおねーさんくらいですが……果たして彼女は登場するのでしょうか。そういえばおかしらとのフラグも立っていましたし、楽しみです。

と、ここまでが一話の感想なのですが……

自分で思っていたよりもずっといろいろ出てきます。語っても語っても語りつくせそうな気がしません。ので、ちょっと巻ごとの流れを見てまとまった感想を語ります。本当はもっとじっくり語りたい名作なのですが、時間が許してくれそうにありません。残念極まります。

・ククリについて

ククリは今回、散々ですね。ニケと分断されて、いろんなところに飛ばされては変態や濃い面々に振り回されて。イベントが重なってはごちゃついて、もう滅茶苦茶で笑いました。何気に新たな力も手に入れていましたが……ちょっとそれどころじゃなさそうです。

でも彼女、振り回されるくらいが丁度良い感じがします。天然さで周りを振り回すより、振り回されている方が可愛いです。

・龍ニケ対アヒルおかしら

死ぬほど笑いました。

漫画一冊でここまで笑ったのは数年振りかもしれません。絵面も勢いも卑怯すぎました。その後も二人がコマに映るたびに笑いが止まらなくて、シュールギャグの魅力の神髄に触れた気分です。

この感動は、文字では決して伝わらないでしょう。

・ジュジュについて

やっぱりジュジュは戦闘能力が高いです。ニケやククリがかなり変則的な戦闘をする中、正統派な強さを持つという意味では安定していますね。常識も弁えていますし、勇者一行の中では一番まともです。トマくんは常識人ですが、ちょっと暴走癖がありますからね。

辛辣なのも相変わらずです。「そんなクソザコでも殺生はダメよ!!」とか、「ダックがよく焼けた~~~~~~~っ!!」とかのセリフに、彼女の魅力が詰まっています。この辺りで終始ツッコミキャラに甘んじていたのも面白いです。他のキャラのアクの強さに負けている感じ、好きです。

あと、ジュジュとおかしらの関係は良いですね、互いの立場や年齢なんかを一切考慮せずに憎まれ口を叩き合い、同時にお互いの能力を認め合ってる関係というのは、恋愛や友愛とは全く無縁の良さがあります。

・デキルコについて

言いたい事をはっきり言うタイプの彼女は、口数が少ないカヤと自分の世界に浸りがちなレイドとの間に入って話を転がす役割として、非常に役に立っています。

デキルコがグルミン族の石像を見て「これはちがうっ!」って言うところ、なんか妙に既視感を覚えました。あれですね、「少女終末旅行」のユーリに激似でした。だからなんだと言われると、可愛いというお話です。

・トマくんについて

タテジワのツボを手に入れるいう大役をあっさり果たすトマくん、相変わらず地味で有能です。しかしこのまますんなりツボを奪還できるとも思えませんし、ひと悶着ある事でしょう。トマくんの身に降りかかるであろう不幸を思うと、笑いが止まりません。

そして後半のムキムキ魔物形態のトマくん、大好きです。そのせいでおともだち召喚に引っ掛からなくなる辺り、トマくんらしいです。

・元魔王とタテジワ

この人達が仲良いの、無条件で笑えそうで怖いです。異色過ぎて好きです。

しかしこの元魔王、現在魔王の座を離れてはいますが……一応勇者一行と敵対しながらも、それほど憎みあってもいない様子で、不思議な関係ですよね。彼女の行動原理もいまいち不明ですし、作中で浮いた感じのジョーカーキャラと言えましょう。かみさまのもようの効力が無くとも、グルグル使いとしてはククリより数段上の力の持ち主でしょうし、まだまだ楽しませてくれそうです。

・キタキタ親父について

なんだこのおっさん……平常運転じゃないか!

いや、さすがにいつもより数段混沌としています。

オヤジ、ずるいんですよねえ。絵面のインパクトが強い上にキャラが濃くて、多用しても人気が落ちないヨゴレ役で、容赦なくこちらの笑いを誘ってきます。こんなおっさんが勇者パーティーの準レギュラーとは、素敵滅法この上無いです。

・ストーリーについて

渦中のツボはトマくんが握っている以上、ツボを求めて進撃する魔物勢と、その他の混沌とした状況が問題でしょう。

正直この物語がどういう結末を辿るのか、まるで予想がつきません。とりあえず現在宙ぶらりんな魔王の座に誰が収まるのか、という辺りが鍵なのでしょうが……分かりません。本当に予測のつかない、良い展開です。

総評

ストーリーも見逃せませんが、何よりギャグ。歴代でもトップレベルの面白さだったと思います。最高です。記憶を消して何度も読みたい漫画です。

13巻の満足度:100/100


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?