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漫画感想「海浜秀学院のシロイハル 4章」

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谷川ニコ先生がマンガワンにて連載中の漫画「海浜秀学院のシロイハル」の最新話が更新されました。

良くも悪くも振り切った漫画で、非常に独特で面白いです。好き嫌いは別れそうですが、とにもかくにも一度読んでみる事をオススメします。

裏サンデーにて、1~2章まで読む事もできます。

・漫画紹介

紹介記事をリンクします。

以下、最新話のネタバレ注意!

・新キャラ登場

早速ですが、1ページ目から新キャラ登場です。まだ4話目という事で、コマの奥や幕間での動きが出来る人物が少ないためもあるでしょうが、この漫画は非常にテンポが迅速です。だからこそ振り切った勢いが面白いのです。

さて新キャラ、名前を棗さんというようです。叶が「さん」付けかつ敬語で話しているところからして、高等部の2年生か3年生といったところでしょう。舞台設定はまだ春で、どちらでも違和感の無い状況です。これが秋とか冬とかなら受験云々の問題も絡んでくるでしょうが……

棗さん、なんとも言えない容姿をしています。叶よりも背が低く、いくらか童顔のように見え、美形とはまた違う整った顔立ちを見せています。この感じのキャラ造形は「クズとメガネと文学少女」では見なかったタイプです。それでも敢えて近いキャラを探すなら「わたモテ」の荻野や「ちょく!」の直をちょっと大人にした感じですが……雰囲気はその二人と全然違う感じです。なんだか新しい展開を感じさせてくれる……そんなキャラです。

まあ、登場したページで平然と「ちんこ」と口にしている辺り、世界観を壊すキャラには成り得ないでしょうが。このページ、なんかシュールで好きです。

さて親しげに叶に話しかける棗さん。この少ない情報量の中で既に「叶が教室で陰茎を露出していた事」「叶がオナニーの研究をしている事」が表ざたになっている事が分かります。さすが寮生活、噂が早い。

学生生活という観点において恥ずべき部分(陰茎の事ではなく性癖の話)をあけっぴろげにしている(陰茎の事ではない)というのは、からかいや孤立の対象になりかねないアンタッチャブルな行為と思うのですが、当の本人が怖がっているのが親への情報の漏洩のみで、校内に留まる範囲内においては何一つ恥じていないというのは面白いです。叶は良くも悪くもマイペースなのでしょう。この作者の主役キャラ、そんなんばっかですね。

さて、二人の間で「相談」やら「協力」やら、およそ自慰行為に関しての話とは思えない謎の言葉が出たのはまた後述するとして……

・新キャラ(中学生)

またしても新キャラです。

ただこのキャラに関してはあまり重要なキャラではなさそうで、一話限りのポジションの可能性もありますが。妙に芋っぽいというか幼いというか、これまた見た事のない雰囲気のキャラです。が、登場シーンが18禁の動画サイトを検索しようとして頬を赤らめているところである時点で、やっぱり世界観を壊さないキャラだと安心出来ると思います。

共用PCでの18禁動画の閲覧は禁止。まあ当たり前ですよね。むしろそんな当たり前な事が規則として明文化されているのがギャグっぽくて笑えますが。

というかよく共用PCで18禁動画を観ようと思うものです。叶が彼を見つけたように、共用PCの周りには人がいるようですし、そんな中でもしもクラスメイトに見つかった日には、これまたいろいろな問題が発生しそうなものです。後の言動はかなり常識人っぽいですが、この人もなかなかネジが外れていそうです。

さてこの人、「どうしても我慢できなくて……」と。どうやら本気でネタを探していたようです。ネタを見つけてその場で陰茎を露出させたなら、行きつく先は叶と同じ道だというのに。

ですが彼にはそこまで切羽詰まるだけの理由があるようです。その理由を興味深く思ったのか神妙な顔をして「聞こう」と叶。

すごく下らない話になるのは分かり切っているのに、シリアスな感じのコマがなんかシュールで笑えます。いや、叶は初登場からずっと神妙な顔ですし、ずっと真面目な調子ですけれど。

・理由

ある日僕はいつものように自分の部屋でシコってました……

……

…………

……………………

作中の棗さんがわたしの気持ちを代弁してくださいました。こういうツッコミが入ってくれると、会話が成立しているみたいでありがたいですね。異次元から現実に引き戻されるこの感覚……ほっとします。それはそれとして字面が面白いので笑いますが。

さて回想の人……たかゆきという名前が出ましたが、どうやら強烈な体験をしたようです。

たった三コマしか登場していないたかゆきの母親の表情が死ぬほど印象に残ります。下手すれば夢に出てきそうなインパクトの真顔芸、笑うしかありませんでした。母親のアップとたかゆきの声にならない喘ぎ声の絶妙な気持ち悪さがツボです。よくこんな悲壮感に溢れる絵面が描けるものです。改めて谷川ニコ先生の表現力の高さに感服します。

そんな事があり、母親の顔に取りつかれたたかゆき。あの顔を見たらまあ……そうなるのもやむなしかもしれませんねえ。

でもこの場合、多分母親の方もトラウマなんじゃないでしょうか。きっとたかゆきも相応の表情をしていたでしょうし、痛み分けでしょう。いや、だからなんだという話ですけれどね。

・生温い事を

お母さんごとヌいてしまえば問題なかろうに!!

……なんやねん、その口調は。

この一言で、叶の変態レベルの高さが垣間見えたような気がします。冷静に考えるとこいつ、相当やべーやつですね。いや、今更冷静に構える意味なんて無さそうですけれど。

さて、そんな上級変態者の叶。迷える中学生たかゆきに手を差し伸べます。棗さんの「料理漫画みたい」というツッコミが笑えるのはともかくとして、この言動は物語的に重要だと思います。

元々叶が作っていたノートは、叶自身が変化に乏しい寮生活の刺激のため、そして得た刺激を皆で共有するためという崇高……かどうかは甚だ怪しいところですが、叶なりの奉仕活動でした。もっともそれは奉仕というよりも自分の軌跡を何かに残したいと思う、あるいは自分の活躍を他人に見せたい・認められたいという承認欲求(自慰だけに)かもしれませんが……どうあれ叶は自分の利益を度外視して他人を導くという精神性を持ち合わせているようです。

やり方は褒められたものではありませんが、これも青春……ではないでしょうか。

さて後日、叶に導かれるままに棗さんの部屋を訊ねるたかゆき。彼がそこで見たものは……

・セーラー服の棗さん

……

…………

……………………

ええ……

なんだこの展開は……わたしは夢でも見ているのでしょうか。

わたしの中で薄ぼんやりと存在していたラインを軽々と飛び越えていったような、そんな感じがします。

これは……ドン引きですねえ!

最高のオカズってまさか、棗先輩自身!?

そんなんアリなんですか!?

やべー領域なんじゃないんですか!?

いや、もう……なんか、圧倒されました。完全にこちらの斜め上を行く発想、脱帽です。

というか手助けってこれ、棗さんどうするんです? たかゆきがお金を払う展開になったら、棗さんはどう動くんです? なんかもういろいろとアウトな気がしてならないんですが……

でも笑えるのが卑怯だと思います。

・イキりだすたかゆき

さすが中学生、お手本のようなイキり方。

寮生活の中学生としては無理からぬ態度でしょうが……これ、女装男子だと気がついてないやつでは……?

これを期にたかゆきが危険な領域に足を踏み入れなければよいのですが……

まあ無理ですよね。

たかゆきの行く末には、「ライト姉妹」の環季ちゃんを彷彿とさせる何かがあります。ぜひとも道を踏み外してほしいものです。

総評

スピード感のある展開で毎ページ笑えました。濃い下ネタの連続ですが、全編通して妙に爽やかな雰囲気が漂っていて、割と清涼な感じで読める良作です。ぜひともオススメしたい漫画です。

4章の満足度:100/100

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