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感想「私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い! 喪192(前編)」

本日、わたモテ更新日です!

面白かったので語ります。

・前回の感想

感想記事をリンクします。

以下、最新話のネタバレ注意!

喪192 モテないし文化祭までの毎日(前編)

実に具体的なタイトルです。つまり時系列を前後しない限り、喪193からは文化祭が始まるという事ですね。

ここしばらくキバ子関連のストーリーが進んでいた反面、文化祭に向けてのもこっち周りのやり取りは全くと言っていいほど進んでいませんでした。

今回と前後編であと一話……果たしてもこっち、大丈夫なのでしょうか。前回までのネモの急かし方を見る限り、相当切羽詰まっているようですが……

この漫画は基本的にコメディーですが、辛い部分はこれでもかというくらい鋭く抉ってくるので、怖くて仕方がありません。

それはそうと扉絵の構図はなんだか懐かしいですね。屋上へ続く扉の前に並べられた椅子と机と、それに座るもこっち。あの頃とは立場が全く違いますが、もこっちらしい佇まいです。こういうの、好き。

・なんでもいい

今回はオムニバス形式ですね。

時系列は映画プレゼンの翌日……という事は、キバ子や二木さんのごたごたの裏側ですね。この辺の時系列は段々怪しくなってきました。単行本が待ち遠しいです。

もこっちとゆりが吉田さんと遭遇しています。「二木さんを探している」という状況からして、おそらく昼休みでしょう。

しかしこの三人、なんだか見ていてすごく落ち着きますね。修学旅行組とでも定義すべきでしょうか。出会いから仲良くなる過程まで特殊だったためか、三人の間の空気感が独特です。

三年生になって、皆の交友関係は広がりました。もこっちには加藤さんや風夏が、吉田さんには二木さんが、ゆりにはネモ……はちょっと違うかもしれませんが。

けれどやはりこの三人は独特です。三人が三人とも、他の二人の事を少しだけ特別に扱っているというのが率直な印象ですが……伝わるでしょうか。少しだけ、というのがミソです。

もこっちが思い付きでその場にしゃがみ込んで、言葉無くそれに同調する二人……良いですね。言葉にしなくても伝わるという感じがとても良いです。

・吉田さんって酒タバコやらないよね?

……

さりげなさすぎて聞き流しそうになりますが、完全にもこっちの悪い癖です。極度のヤンキー煽りです。けれどそんなもこっちの軽口にもすっかり慣れて、軽く聞き流す対応をする吉田さんの態度から、気安さが感じられます。

・20越えた3人で集まって吸おう

……

それはつまり、20になってもこの付き合いは続けるつもりという事ですよね。言外の友情確認、素敵です。

もこっちはあまり卒業後の話はしません。千葉西へのオープンキャンパス時、ゆりと進路の話をした際、吉田さんとの付き合いが少なくなる事に言及した時くらいでしょうか。将来の夢とかは冗談で何度も言っていますが、具体的な事はあまり言いませんよね。在学中なので当然といえば当然でしょうけれど。

ともあれもこっちは卒業後も残したい友人関係があるという事です。

もこっちと真逆のスタンスを取っていたのがサチだと考えると、なかなか面白いですよね。

・AVを飲酒して喫煙しながら観る?

……

地獄かな?

お酒がデカすぎるのがシュール過ぎてまず一つ笑いました。

もこっちのイメージの中のAVがわけわかんない類のフェイントしてるのが謎過ぎてもう一つ笑いました。

一コマでこんなに笑ったのは久しぶりです。シュールさとは恐ろしいものですね。

・ここでダベるだけ

つっけんどんな態度ながらも三人での時間を悪しからず思っている吉田さん、素直じゃなさそうで素直で可愛いです。

終始不機嫌そうな表情なのに楽しそう……というとなんだか矛盾していますが、吉田さんにはそういう安心感があります。

映画や文化祭の話にはあまり絡んでいない吉田さんですが、ここで改めてスポットが当たった事により、活躍が期待されます。

・油断

……

ネモはさあ……

ウケを狙うのは良いのですが、絶妙に加藤さんに対するデリカシーが足りません。いや、デリカシー云々言うのならそもそも議題がデリカシーの欠片も無いのですが。

二年の頃も、もこっちの声真似で清田くん達相手にウケを狙っていましたね。あの時ももこっちがその場にいなかったので、ちょっと感じ悪い風にも捉えられる雰囲気になってしまっていました。当の本人や加藤さんが見ている時にはうぇーいだったので問題にはなりませんでしたけれど。

まあネモに悪気は無いんですよね。そもそもネモは中学時代の経験から、そういう類の陰口みたいな真似を嫌っているでしょうし。

タイミングですよね。

加藤さん、怖いです。

そしてネモの死んだ目、滅茶苦茶可愛くて面白いです。

・先輩

久しぶりの雫後輩登場です。風夏とのシゴき対決以来でしょうか。今のところまだぎりぎりヨゴレな印象は無い彼女……このまま分水嶺を漂っていて欲しいところです。

・ちょっとお願いあるんですけど

……

おっと?

意味深な描写です。今回言及されていない辺り、露骨な伏線です。

雫は一体誰と何の話をしていたのでしょう。

「先輩とお昼で…」

『知ってます。だから電話かけたんで……』

ここの会話から、電話口の相手は雫が言う「先輩」について一定の知識を有しているという事になります。そしてその「先輩」にまつわる何かを雫に求めています。

さらに、電話口の相手は雫に対して敬語です。反対に雫はタメ口と、上下関係がある事が分かります。学生の上下関係といえばすなわち年齢。つまり電話口の人は雫よりも年下だと予想出来ます。

極めつけは、雫が電話の相手をもこっちに誤魔化している事。現状、雫からのもこっちへの感情は、尊敬を超えて崇拝の域に足を踏み入れていると言っていいでしょう。雫目線でのもこっち登場シーンからも、その感情は前回の登場時と比べても全く褪せていない事が分かります。そんな雫が先輩を相手に大した意味の無い嘘やごまかしを進んで行うとは考えられません。おそらく電話の向こうの人は、もこっちが相手なら正体を隠すべきだという理由を持っていて、その理由は雫が納得するだけの説得力を持っているという事でしょう。

ここまで状況証拠が揃えば……いえ、このうちの一つだけでも十分でしょう。

もこっちの事を知っているという事は、ほぼ間違いなく電話口の相手は既存キャラ。既存キャラで雫と関わりがある人物は、ほとんどいません。

そもそもこの漫画の主要キャラで雫よりも年下なのは一人しかいません。

そして自分の名を聞けば必ずもこっちが尋常ではない反応を示すであろう事を自覚している人物は……やはり一人しかいないでしょう。

……

…………

……………………

きーちゃん!!!!!??

そうです。

きーちゃんはゴールデンウィークの学校で雫と邂逅し、なおかつもこっちのいない場所で二人きりになる機会がありました。片や女子の友達がいない孤独を嘆き、片やもこっちの交友関係を気にしていた……雫と電話番号を交換していても不思議ではありません。

きーちゃん……確かに彼女はゴールデンウィークでの宣言時、夏休みには来ませんでした。

でも文化祭に来ないなんて言ってませんでしたよね?

もしも文化祭にきーちゃんが来るとしたら……恐ろしい事になるでしょう。

楽しみでなりません。

さて、待望の先輩とのお昼ですが……

・私は…輪には入れてないんで

ああ……

クラスマッチや七夕を経て女子の友達が出来るどころか溝が深まったような描写すらあった雫は今も尚、爪弾き者のようです。

ここまで来るともう何らかのイベントが来ない限り、雫に友人は出来ないでしょう。もこっちの時みたく敬遠されているだけでなく、明確に嫌われているわけですし。

どのみち可哀想です。

さてもこっち、雫のためにぼっち時代を振り返ります。こちらはこちらで非常にお腹が痛くなるような過去ですが、ゆうちゃんと今江先輩のおかげで綺麗なエピソードに仕上がっています。

そして今、雫にはもこっちがいます。

・私のこと手伝う?

今江先輩扮する犬の着ぐるみを思い浮かべた後にこのセリフ……もこっちは自分なりに今江先輩に倣って雫を救おうとしているのが読み取れます。

・でもせっかくだし

とはいえ今江先輩の真似をしてばかりではなく、もこっちならではの提案をするのも成長が感じられて良いです。

そしてここからの流れ、滅茶苦茶好きです。

まずは雫の意見。もこっちが一年の頃の経験を参考にメイド喫茶を希望するという後追い精神、殊勝で雫らしいです。

そしてそんな雫に対して入れ知恵するもこっちのセリフ……

「基本DKはバカだから」

「これまたJKもバカだから」

……

なんかちょっとこち亀っぽいと思ったのはわたしだけでしょうか。言ってる事の畜生度はいつものもこっちなのですが、いつも以上に淡々としていて笑えます。後輩に対して見栄も虚勢も張らずに、悪辣さを全面に押し出したセリフのオンパレード……字面が面白いのもさることながら、飾らない先輩後輩の関係が形成されているのがよく分かって、非常にマーベラスです。

・(インスタ映え確実絶対本番禁止のムチムチ肉欲Kぽ風アイドル)激辛メイド喫茶(ドスケベ風)

……

…………

……………………

ええ……

また下ネタ……

正直死ぬほど笑いました。

一体どういう人生を何周歩めばこんなえげつない言葉の羅列を思いつくのか……あまりにもカオス過ぎます。

クラスで完全に浮いている状態で先輩からこんなアイデアを持ち掛けられて、それを素直にそのまま出す雫……先輩への信頼度がヤバないですか?

そして通っちゃうからまたえげつないです。

ご都合主義と言えば聞こえは良いですが、確かにこんなパワーワードのメガ盛り丼みたいなのが出てきたら、まず無視出来ないでしょうからね。

また一つ、先輩を妄信する要素が増えてしまった雫……このままもこっちに依存し続けそうでちょっと怖いです。

総評

前回までで激動のキバ子編だった事もあり、もこっち主人公復帰の今回はかなりハードルが上がっていたのですが……

ハードルなんてなかった。

笑いどころも綺麗どころも抑えまくっていて、振り子みたいに感情が揺さぶられてしまいました。控えめに言って最高です。

喪192(前編)の満足度:100/100

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