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思い出した あなたからの手紙 遠い記憶を掘り返して 話したんだ 画面の向こうへ 不器用で 制服のまま ただ 一緒にいたかった 毎日通った ライブハウス あなたの声 あなたの音 思い出せる記憶の場所は まだ すぐに蘇るほど 近すぎて せつないよ
リクエストどおり ノンアルコールの微炭酸 画面の向こうで「聞こえる?」 確認してる 君の横顔 センスの良い配置 後ろの飾りつけ 普段のニットが似合うね そして 乾杯をした いつもの年なら 会えない 見えない笑顔を 分けてもらえた 今夜は 特別な クリスマスイブ 甘えた鳴き声が 画面の中で小さく響く 普段の音を聞かせてくれる 落ち着いた 君の声 せつない思い出話 BGMはSE いつか聴いた音が流れ そして 温かい瞳 これまでの年なら 知らない 意外すぎる本音 教えてく
聞こえなくなったサイレン 慣れてしまったのかな あんなに人がいない街を見て 変われるかもしれないと思ったのに 良くない戻りかた 底に溜まった不安が叫び出す どんな考えも自由でいい 信じたいものを信じればいい 押しつけなければ 巻き込まないなら その駅の中央改札前では 怒鳴っていた「騙されている」 大きな声は 耳を塞ぎたい 聞きたくないよ 怖いだけだ 私がいないところで 好きなだけ 威嚇すればいい どんな考えも自由でいい 信じたいものを信じればいい 脅さなければ 捻じ
きれい は どんな色 きれい は どんな形 大丈夫 手が届かないし 私は なれないから きれい は どんな匂い きれい は どんな音
明け方 ぼんやりとした空気 肌を刺すいくつかの痛みの前で 今日も 変わらず 上り 沈む ある一面だけの天体 身を包めと誘う 忘れろと説く 感覚を零下まで 解放できると 色も温度も移り変われば 小さな自分が 消えると信じた 永い記憶は 失われて きっと 美しく羽化するのだ 凍えていた ひとりの夜を思い出す 皮膚の痛みと 寂しさの痛みの前で その夜も 変わらず 上り 沈んだ 美しい姿を保つ 狂ってしまえと誘う 逃げろと説く ほんのわずかな羞恥心を 捨てられず 色も温度も
君が好きだと知る前から ずっと昔から 好きだった 酸味のあるイチゴではなく 甘さが重なっていたから 好きだと言えなかった 言いたくなかった ある人が好きなものだったから 絶対に 好きじゃない 複雑で 単純で 忘れてしまった いったい 本当は どんな気持ち どこにも居なかったような 空白の年表が 目の前にあるような 君が好きだと知ってから ずっと昔から 好きだったって いくつも食べられない今 やっと 気がついたんだ
ここは2階なのに 電線のない空が見える 今の私の小さな広い世界 あのころのあの場所にはつながらないけど どこかにいる君には見える 鳥が鳴けば ベランダへ出て 借景の椿の満開を眺め 誰かがバルコニーでタバコを吸う フィルムのように 流れていく ここは街中なのに 足音は 廊下だけで響く 今の私の小さな小さなお城 歩くのが好きだったころには戻れないけど 万の一つ コメントならできる 会場に入ると SEが流れた 機材が配置された舞台を眺め スマートフォンの電源をそっと切り
みつからないものを探していたのだと そう 諦めていた 手が届かない 生涯見られないものは 確かにある たとえば 雪が積もった平原で 降る彗星を 君と見つめられたら 次の瞬間に 最期が訪れても 今なら 悔いはないと