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Treat with RESPECT

去年のサークルの本公演の最後の稽古の日、の前日。
なんとなく緊張してしまって、留学時代のシアターのノートを見返していた。シアター系の授業のこととか、スタッフをやりながら学んだこととかが書いてあるノート。そこに書いてあったのが

treat with respect

だった。直訳すると「敬意を持って扱え」てな感じか。

あーそうそう、これこれ、と思った。

実際のアメリカでの現場は意外とそうではなかったという現実はあるが、基本的にこのマインドはあると思う。教育という枠の中でやっているから、お互いがやっていること、準備してきたことが目に見えやすいというのはあるし、そこをリスペクトする態度を育てるのがシアターアーツの役目なのかな、と見ていて思った。

なんでもそうなんだけど、今回は舞台とかエンタメだけに絞って話をすると、こういう類の「あってもなくてもいいけどあったほうが人生豊か」系のものは作るのに本当にたくさんの時間と人手とお金がかかっている。だけれども、それは本当に見えにくい。というかお客さんからは見えなくていい。我々裏方は見せない努力をしているくらいだ。

だからこそ、ものづくりの仲間たちはそれをリスペクトしなければならない。そんなことは改めて言うことではないのだけれども、本番期間というのは恐ろしく、そういうことがすっぽり抜けてしまう。

時間、お金、体力・・・。無限に湧いて出てくるわけではないものと戦い続けるのが本番だ。計算通りにいかないことなんてざら。リーダーたちを中心に視野が狭くなり、仲間へのあたりも言葉遣いも強くなる。余裕がなくなる。

そういう時に大事にしたいのがこのrespectというマインドだと思っている。
カッと来る前に「まてよ、俺が苦しいということはこの人も苦しいんだ」と気づく心は何かを作るにあたって、というか生きるにあたってとても大切だと思う。
今までやってきたこと、準備してきたこと、今やっていること、そういうすべての「人の手によるもの」そして「その人の存在」に対するリスペクト、これがあってすべてが成り立つ気がしてならない。

ちょっと話は違うが、シアターで何を学べた?と聞かれたら真っ先に「humanity」と答えるようにしていた。芸術を学ぶこと、創ることは、すなわち人を学ぶことだった。

繰り返しになるが、お客さんにとってその日までの努力なぞ知ったこっちゃないので、準備云々とか知らん状態で「面白かった」とか「つまらなかった」とか言っていいと、個人的には思っている。「準備は大変だったと思うのですが〜」という言葉は本当に嬉しいが、準備を見せているわけではないので。つまらなかったらそれはそれまでの努力が足りなかっただけ。


ところで、私が一番好きな英単語は「respect」だ。正確に言うと、一番好きな外来語が「リスペクト」なのかもしれない。Respectという単語には「尊敬」とか「敬意」という訳が付いていると思うのだけれど、日本語で言う「リスペクト」はまたちょっと違う。
尊敬、というよりは、リスペクト、なんだよなあ。
愛を感じるワードでとても好き。

公演前にいい言葉を思い出したな、と思った。
どんなことに対しても、リスペクトとrespectの気持ちを忘れたくないな。

いただいたサポートでココアを飲みながら、また新しい文章を書きたいと思います。